【あけおメイテ】19/20シーズン トリノFC 前半戦の通信簿
あけおメイテ、ことよロッロということで2020年最初の記事では前半戦の振り返りをしていきたい。現在19試合を消化しているトーロは8勝3分8敗の8位に位置しており、やや期待外れといった印象だ。単純な比較をすると、今季は前半戦だけで昨季まるまる1シーズンの敗戦数(7敗)を超えていることになるし、順位の上でも一桁と二桁を行ったり来たり。欧州争いを序盤から繰り広げる予定も大幅に狂ってしまった。
言い訳をするのであれば予期せぬEL予選出場で急遽キャンプインを早めざるを得ず、挙げ句の果てにはウォルヴァーハンプトンというEL予選最強のチームと強度の高い試合を繰り広げたことで、フィジカル的にもメンタル的にも疲弊してしまったことが影響しているのは間違いない。実際ここに来て怪我人も続出しており、メディカルスタッフも大忙しといったところだ。ティフォージからはカイロ陣営の退陣とマッツァーリ解任が繰り返し要求される有様で、トーロを取り巻く雰囲気は極めてダークなものになっている。
さて、前置きはこの辺にして本題に入ろう。
監督 ワルテル・マッツァーリ 5.0
やや遅れたとはいえ希望した新戦力も到着し、マイナス要素のない状態で臨んだ前半戦だったが結果を出せていない。プレシーズンで継続して試した3-4-2-1も最近になってようやく使い始めたし、時には4バックも使用したりと一貫性のなさが目立つ。また、メンバーを固定し過ぎる嫌いがありスカッド内のヒエラルキーは完全にマンネリ化。チーム内でのポジティブな競争は全く見られなくなってしまった。カイロは彼への変わらぬ信頼を強調しているもののティフォージからの信頼は完全に地に落ちており、今季末までとなっている契約が延長されることは無さそうな雰囲気だ。何より審判に罵声を浴びせまくるのはガラが悪過ぎる。
4. リャンコ・ヴォイノヴィッチ 5.5
セリエA 6試合出場
多過ぎる。とにかく怪我が多過ぎる。またかよ!と何回言わせれば気が済むのだろうか。自身最大の敵である負傷グセを克服しいざレギュラー奪取!と意気込んだ今季も主戦場は治療台の上。ピッチに立てばレギュラーに相応しいパフォーマンスを見せるのだが、ここまで稼働率が悪いと正直移籍の噂が出ても仕方ないように思う。問題が彼にあるのか、トーロのメディカルスタッフにあるのかは分からないが、もはや何かしらの対策が必要なレベルだ。関係ないけど奥さんがめっちゃ綺麗なので皆さんにはぜひ確認して欲しい。
5. アルマンド・イッツォ 6.5
セリエA 19試合出場1得点
昨季ほどのバケモノぶりではないものの、基本的には一定のパフォーマンスを維持。負傷もせず全試合にフル出場している点は本当に凄イッツォ。アッズーリにも継続的に招集され、チームの不調とは裏腹に個人としてはイッツォイッツォ(一歩一歩)前へ進んでいる印象だ。ボールを相手ごと削り取るディフェンスはイタリアを代表するレベル。2年後のワールドカップでメンバー入りを果たすためにも、トーロの調子を押し上げるような活躍を期待したい。
7. サシャ・ルキッチ 6.0
セリエA 13試合出場
完全にレギュラー奪取とはいっていないものの、忠実にタスクをこなすチームプレイヤーとして及第点のプレーぶり。メイテの不調を鑑みると、チーム内での序列は上がっていると言っていいだろう。対人守備にやや改善の余地があるものの、ボールを簡単に取られないテクニックや視野の広さはこれからの成長にも大きな期待が持てる。ややラフプレーが多い傾向があるが、その辺はたぶん背番号88が吹き込んだのだろう。あいつの罪は重い。
8. ダニエレ・バゼッリ 5.5
セリエA 15試合出場2アシスト
中盤の構成力アップは彼のプレー次第と言っても過言ではないが、インパクトを残すには至らず。シーズン序盤は長短のパスを織り交ぜたゲームメイクとそのイケメンぶりで司令塔の役割を無難にこなしていたが、プレシーズンから続いた過度なプレータイムが祟り徐々にコンディションが低下。イケメンではあるが結果的に昨年末ついに負傷離脱してしまった。ただ守備での貢献度は依然として高い上イケメンなため、復帰後のパフォーマンスに期待したい。
9. アンドレア・ベロッティ 6.5
セリエA 17試合出場9得点2アシスト
9ゴールの内訳はリゴーレが5つ。流れの中からは4ゴールのみという成績ではあるが、それでも今のトーロが"戦術ガッロ"なことに変わりはない。愛情のないロングボールも身体を張ってマイボールにし、時にはファウルを誘うプレーで味方を大いに助けている。ボールを持った時のワクワク感も戻ってきた印象があり、味方が彼にもっと良質なラストパスを供給できれば得点数もまだまだ伸びそう。サボらず相手を追いかけ回すチェイシングも非常に光っており、彼抜きのトーロは文字通り骨なしチキンのようなものだろう。鶏だけに。IPPON!
10. イアゴ・ファルケ 5.0
セリエA 4試合出場
ここまでピッチに立ったのはなんとたったの98分。背番号10を背負いトーロの攻撃陣を牽引する活躍が期待されたものの、恐るべき稼働率の悪さで完全に期待を裏切っている。現地メディアの調査によると、ここ約1年の彼はなんとほぼ1ヶ月に1度しかピッチに立っていない計算になるそう。移籍の噂も例年にも増して大きくなっており、不本意ながらもイアゴ部活辞めるってよが全国で上映開始されそうな勢いだ。つまんね。
11. シモーネ・ザザ 5.5
セリエA 13試合出場3得点1アシスト
調子は上がっている。確実に。だがまだベロッティの負担を軽減させるパフォーマンスには至っておらず、ティフォージからは依然として放出を望む声が聞こえる状況である。得点数の少なさに代表されるように攻撃面での貢献度の低さはあるものの、気持ちのこもったプレーは見せており個人的にはまだトーロで見たい選手だ。プレシーズンでは好調だったため、使い方次第では案外あっさり活躍しそうな気もするが。あと髪の毛剃らなかったらどうなるのかも見たい。
14. ケヴィン・ボニファーツィ 5.5
セリエA 3試合出場1得点
開幕3試合では継続してスタメン起用されたが、その後突如としてベンチに降格。負傷離脱などもあったにせよ、そこからのカンピオナートでは1度もチャンスを与えられていない。コッパ・イタリアのジェノア戦ではピッチに立ったが、マッツァーリからは完全にカップ戦要員の扱いを受けている。ハッキリ言って謎だ。関暁夫にはぜひこの謎の真相に迫って欲しい。ポテンシャルと能力を考えてもスタメンに値する選手なだけに、これからの期待を込めてこの点数とした。どうか移籍しないで...
15. クリスティアン・アンサルディ 7.5
セリエA 13試合出場4得点2アシスト
2年前にトーロにやって来たが、ぶっちゃけインテルで成功できなかった理由が分からないほどだ。そんなレベルの選手であることに疑いの余地はない。今セリエAで最も危険なサイドバック・ウイングバックの1人だろう。得点も奪えてアシストも期待できる上、テクニックを活かした剥がしやビルドアップは常に高いレベルをキープしている。Instagramのストーリーは専ら宗教的な投稿ばかりなためちょっと引くが、それを差し引いても改めてトーロに来てくれてありがとう。
18. サミル・ウイカニ -
セリエA 0試合出場
ケガニ、タラバガニ、ウイカニ!(ここで両手をハサミにして上に突き上げる)でお馴染み。控えキーパーとして加入したためここまで公式戦での出番はゼロとなっている。ぜひプレーしているところを見たいが、シリグが万全な限りゴールマウスに立つ可能性はなさそうだ。カニ食べたい。
20. シモーネ・エデラ 4.0
セリエA 2試合出場
長いリハビリ期間を終えた後2度チャンスを与えられていることから、マッツァーリ的にはまだ可能性を捨て切れない部分もあるのだろう。ただ、今季初出場となったジェノア戦では2分間で2枚のカードを頂戴しソッコーでお役御免というスーパープレーで会場を沸かせている。プレーのクオリティは正直セリエAのレベルにあるとは言い難く、トーロで居場所があるとは考えにくいのが現実だ。2年前には将来性を感じさせるアグレッシブなパフォーマンスで高評価を得ていたが、この1年は完全に伸び悩んでいる。移籍という選択肢も視野に入れ、環境を変えた方が彼のためにもなるのではないだろうか?
21. アレハンドロ・ベレンゲル 6.5
セリエA 12試合出場5得点
今トーロで最も旬な選手だろう。2年前の加入以降ウイングバックやウイング、メッザーラなど様々なポジションで起用されたが今季からは主にシャドーという新ロールを手にし徐々にレギュラーを奪取していった。好不調の波が激しいのが弱点だったが、根気強く使い続けたマッツァーリの指導もあってコンスタントに結果が出せる選手に。比較的小柄だが確かなスキルと機動力で前線のベロッティをサポートしている。ピッチ内でこそキャプテンをサポートしているが、ピッチ外ではイタリア人彼女の手厚いサポートを受けているようで、実に腹立たしい。
22. ヴィンチェンツォ・ミリコ 6.0
セリエA 2試合出場
エデラと同じく出番はたったの2度だったが、正直意味が全く違う。カカーに憧れて22番を背負うこの若武者はトップチームでも居場所があることを短いプレータイムの中でも示している。プロ1年目にもかかわらずしっかりと周囲を見渡して冷静に判断するプレーも見受けられ、高いポテンシャルを秘めていることは誰の目にも明らかだ。その辺は敢えてSNSでノロケまくった挙句の失恋を経験することでメンタルを鍛えたのだろう。意識高い。
23. スアリオ・メイテ 5.0
セリエA 16試合出場2アシスト
昨年の今頃はポグバとモドリッチを足して2で割ったような選手とか言われていたが、今のプレーぶりではもはや両者に失礼だ。考えられないようなパスミスを繰り返すし、不用意なボールロストもかなり目立つ。夏に中盤を補強しなかっただけに、トーロとしても彼の低調はかなり計算外。ティフォージの心ないブーイングがミスを誘発しているとも考えられるため、もう一度温かい目で見てやるべきだろう。ちなみに、今季の不調は髪の毛が邪魔なだけ説は筆者の中で結構根強い。
24. シモーネ・ヴェルディ 5.5
セリエA 17試合出場3アシスト
シーズン序盤は完全に"ニアンの再来"としてがっかりするようなプレーぶりだったが、ここ最近のパフォーマンスは上昇傾向にあり、ベロッティらとのコンビネーションを深めればより危険な存在になれる予感も。この調子で調子を上げていけば、初ゴールもそう遠くはないはず。ファルケが復帰した際もレギュラーを維持できるかで今季の成否が決まってきそうだ。隣でプレーするベレンゲルの好調に乗っかりたいところ。将来的には東京ヴェルディでプレーして欲しい。
25. アントニオ・ロザーティ -
セリエA 0試合出場
とにかくキャラが好きすぎるので、残り1年の契約期間の中で試合に出ているところを見せて欲しい。ロッカールームの盛り上げ役としてはコンスタントなパフォーマンスを見せており、チームメイトたちも大いに助かっていることだろう。またクラブ公式Instagramを乗っ取ってふざけたストーリーをアップして欲しい。
27. ヴィットーリオ ・パリジーニ -
セリエA 0試合出場
負傷離脱の期間が長かったとはいえ、全く出番が与えられないことに何ら不思議はない。序列では既にミリコに抜かれており、エデラと同じく現状トップチームで居場所はなさそうだ。あと車を運転しながらストーリーを撮影するのはシンプルに危ないのでやめて欲しい。ジェノア移籍が濃厚と報じられているが、果たしてどうなるか。
29. ロレンツォ・デ・シルヴェストリ 5.5
セリエA 13試合出場
元から質より量で勝負するタイプではあるが、それにしても質が低すぎる。プレスを掛けられると簡単にロストするし、パスの精度も正直酷い。守備時の粘り強さは健在だが、正直全体的に能力面の衰えが隠し切れない印象だ。チームの不調と比例してパフォーマンスを落としている可能性もあるが、今季末までとなっている契約も延長の気配がない。ロザーティと同じくキャラは大好きな選手だが、このままいけば6月にサヨナラとなるだろう。
30. コフィ・ジジ 5.5
セリエA 9試合出場
モレッティの引退後左センターバックのレギュラーを正式に引き継ぐと予想されたが、シーズン序盤はエンクル事件の影響で慣れない中央でのプレーを強いられ評価をやや落とした。その後はトーロ戦士の例に漏れずしっかり負傷離脱してしばらくプレーから遠ざかったが、ここに来て再びレギュラー争いに名乗り。まだトップフォームではない感もあるが、他のライバルにはない経験値を武器にポジション奪還を達成して欲しいところだ。最近気づいたが発音はジジというよりヂヂなのでは。
33. ニコラ・エンクル 7.0
セリエA 13試合出場
まあなんというか色々あったが、ピッチに戻ってからのパフォーマンスぶりは流石の一言。彼の中でも何か吹っ切れたものがあるのだろう。大声を出してチームメイトに喝を入れる姿は、半年前まで移籍を希望しチームに背を向けていた男のそれとはとても思えない。ディフェンスリーダーとしてのコーチングはもちろん、クレバーかつ執拗なマーキングと極上のボールスキルでトーロの守備陣に安定をもたらしている。彼との契約は残り1年となっているが、なんとか延長を果たして欲しいものだ。とりあえずカイロはエンクルに謝れ。
34. オラ・アイナ 4.5
セリエA 16試合出場1アシスト
メイテと同じく昨季に比べ劣化ぶりが酷い。何を取っても常にトーロの穴であり続け、攻守ともに散々な出来だったと言わざるを得ないだろう。年齢的にもまだまだこれからの選手なため、この苦境を逆にチャンスだと捉えてリスタートしてもらいたいところ。ただ、メイテ同様流石に現地のティフォージどももブーイングを浴びせ過ぎ。萎縮するに決まってんだろバカかよ。アイナには好き勝手言えるただのファンの声など無視して精進して欲しいと願うばかりだ。
36. グレイソン・ブレーメル 6.5
セリエA 11試合出場1得点1アシスト
群雄割拠の左センターバックのポジション争いだが、今最もレギュラーに近いのはこの男だろう。今季既に2度の退場処分を喰らっており、その辺りのリスクマネジメントは未熟な印象だが、それを差し引いても見事なパフォーマンスを見せていると言えよう。若いながら完成されたフィジカルを躊躇なくぶつけてボールを奪い取る守備は、昨年よりも強度が増した印象。ビルドアップのパスも堅実で、左足も問題なく使える点はさすがブラジリアンといったところか。なんとなく着替えが遅いイメージがあるので、その辺のスピードは上げて欲しい。
39. サルヴァトーレ・シリグ 8.0
セリエA 19試合出場
ここまでのトーロは合計で26失点を喫しているが、彼がいなければ間違いなくもう少し多くの失点数を記録していたしその超人的な反応は常にトーロの守備陣を鼓舞し続けた...などと評価するよりも、ただ一言気持ち悪いと言った方が分かりやすいだろう。試合を見ていても「止めた!!すげー!!!」より「え...?それ止めちゃうの...?(ドン引き)」みたいなリアクションの方が個人的には多かった。正直人間を辞めた可能性が高い。いてくれてありがとうよりも、いなかったらどうなってんだろ...という恐怖の方が強いくらいだ。後半戦は彼の仕事を減らすパフォーマンスを守備陣には求めたい。
88. トマス・リンコン 6.0
16試合出場1得点2アシスト
中盤の選手では最も安定したプレーを見せた。汚れ役を買って出る献身性もさることながら、ベテランならではのプレーの堅実さも見事。闘争心剥き出しのチャージは相変わらず見る者を熱くさせる。彼にしては珍しく今季はまだ3枚しかカードを貰っていない点も評価に値するポイントだ。カウンター重視のサッカーを志向する上ではマッツァーリにとっても不可欠なピースと言える。しかし、加入1年目は線も細く完全なテクニシャンタイプだったルキッチをガチムチの世界に引き込もうとしている点は責任を感じて欲しい。
93. ディエゴ・ラクサール 5.5
セリエA 14試合出場1アシスト
同ポジションのアンサルディがほぼ完璧だったという事実はあるにせよ、ほとんどが途中出場という点はやや期待外れだ。合計プレータイムも19試合(1710分)でわずかに486分。アンサルディを休ませる駒のはずが、逆にアンサルディによって休ませられている。ただ出場した際のプレーは悪くなく、買取オプションが行使されるかどうかは後半戦の出来次第といったところだろう。トーロのフロントが2年近く前から追っていた選手なだけに、フィットすれば確実に重要な戦力となれるはず。次節からは巻き返しを期待したい。
【まとめ】全体的に期待外れ。及第点以下多し
シリグやベロッティらの個人能力頼みのサッカーでチームとしては大きく期待を裏切ったトーロだが、前半戦を折り返しての勝点は27。なんとこれ、昨季の現時点と同じ数字なのだそうだ。昨季はここから怒涛の無敗記録を打ち立て最後まで欧州争いを演じたわけだし、今季もぜひ再現を目指して欲しいところ。そのためにはここまで及第点以下の出来となっている選手たちの奮起が不可欠だ。指揮官マッツァーリを含め、後半戦は気持ちを切り替えて突っ走ってくれ!フォルツァトーロ!!