トリノFC情報局

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直近5シーズンのベストイレブンを選出してみた

先日の第6節インテル戦では終了間際に失点しあと一歩のところで敗れたトーロ。ゴールを決めたブロゾヴィッチのマークを外してしまったイルカンがSNSで謝罪したが、18歳の若武者に非難のコメントは一切寄せられておらず、彼を励まし激励するティフォージの多さには個人的に感銘を受けた。そもそもあんな難しい試合のあんな難しいタイミングで投入された割には相当良くやったと捉えるべき。この経験を糧にした彼の更なる成長が楽しみだ。

このゴールによりトリノは0-1で惜敗したが、謝罪したイルカンには温かいコメントが寄せられた

さて今回は直近5シーズンでのトーロにおけるベストイレブンを筆者の独断と偏見で選出していく。それってあなたの感想ですよね的な記事になる事は間違いないため、ぜひコメントなどで意見を頂ければ幸いだ。対象となるのはシーズン途中でミハイロヴィッチからマッツァーリへと政権交代した17/18、そのマッツァーリと共に欧州の切符を掴みかけた18/19、更なる躍進への期待とは裏腹にまさかの残留争いに巻き込まれた19/20、新監督ジャンパオロの下一時は最下位に沈むも残留請負人ニコラに救われた20/21、そしてユリッチトーロが始動した昨季21/22。なおフォーメーションはマッツァーリやユリッチが採用し最もポジティブなイメージが多い3-4-2-1とする。早速ポジション別に見ていこう。

 

監督

ミハイロヴィッチマッツァーリ→ロンゴ→ジャンパオロ→ニコラ→ユリッチの順に変遷してきた監督事情。結果を出せなかったジャンパオロはさておき(割といいサッカーをしてはいた)、他の5人はそれなりの成果を上げているため難しい。ミハイロヴィッチ無くしてベロッティの爆発は有り得なかったし、ルキッチの才能を最初に見出したのも彼。ロンゴやニコラがいなければ恐らくトリノは今頃セリエBにいただろうし、眠れる雄牛に新たな命を吹き込んだのは紛れもなくユリッチだ。ただ結果という意味で見ればマッツァーリが最も大きな成果を挙げたと個人的には思う。

数ヶ月前「ブレーメルを育てたのは私だ!」と主張していたが実際その通りである

かつてナポリを強豪へと復活させたマッツァーリの下、18/19シーズンのトリノはカンピオナートを7位でフィニッシュ。勝点3制度が導入されて以降クラブ史上最多となる勝点63を獲得している。シーズンを通してわずかに7敗、失点数が37とセリエAで5番目に少ない強固な守備を形成し台風の眼となった。ヨーロッパリーグプレーオフウォルヴァーハンプトンに敗れ最終的に欧州の出場権を逃しはしたものの、近年では1番ワクワクさせられるシーズンだった事は間違いない。

 

ゴールキーパー

ここ5シーズンで正守護神を務めた期間が最も長く、そして最も多くのピンチを救ったシリグで満場一致だろう。足下の技術という弱点を除けば完璧なゴールキーパーであった。17/18のシーズン前にパリ・サンジェルマンからフリーで加入した事実は、ペトラーキ元SDの成立させた最もクレイジーな取引の一つとして記憶されている。

個人的にはシリグといえばこのユニフォームという印象だ

センターバック

"ムーロ・グラナータ(エンジ色の壁)”と呼ばれ鉄壁の守備陣を形成した18/19シーズンに、3バックの中央でディフェンスリーダーを務めたエンクルなくしてあの躍進は語れないだろう。芸術的かつ激しい守備技術もさる事ながら、DF離れした足下のテクニックも懐かしい。当時新加入だったブレーメルも後にインタビューで「エンクルから学んだ」と語っており、彼の成長にも一役買っている。そのエンクルの右でプレーしたイッツォも個人的には入れたい。超人的な一対一の強さを誇り相手アタッカーをファウルすれすれのタックルで吹き飛ばしたかと思えば、痛がり倒れる相手をさらに上から怒鳴りつけるというガラの悪さももはやカッコいいレベルであった。今夏ユヴェントスにスパイとして送り込まれたブレーメルについては語る必要もないだろう。昨季セリエA最優秀DF賞を受賞した彼を外すわけにはいかない。

マッツァーリトーロ守備の要エンクル。ブレーメルは彼の背中を見て育った

ウイングバック

まず名前が挙がるのはアンサルディ。ここ5シーズン全てにおいてトリノに在籍し、序列の下がった昨季以外は主力としてプレーした。高い成功率を誇ったドリブル突破や正確なクロスで幾多の得点機を演出。スタメンの座を失った昨季は練習のたびにヴォイヴォダにアドバイスを与え、彼の覚醒にも大きく貢献している。左は彼で確定だろうが、一方で右は少し難しい。17/18からの約2シーズン半ほどレギュラーを務めたデ・シルヴェストリも素晴らしかったし、現レギュラーのシンゴも捨てがたい。まあここは未来への期待も込めてシンゴを選出するとしよう。速すぎて「電車」と呼ばれ始めている彼の更なる暴れっぷりがこれからも楽しみである。

トリノの左サイドと言えばアンサルディ。彼がボールを持てば何かが起きた

センターハーフ

ここは「主力としてプレーした期間」と「残したインパクト・貢献度の大きさ」のどちらに重きを置くかで選出する選手が変わってきそう。期間という意味で言えば何でも屋のバゼッリと潰し屋のリンコンになるだろうが、インパクトや貢献度なら何でも屋二世のルキッチ、フィジカルモンスターのメイテや元主将候補のマンドラーゴラも入ってくる。ただ期間×インパクトとするなら鋼のフィジカルで中盤を耕し17/18シーズンからチームを支えたリンコンと、20/21シーズンのセリエA残留に大きく貢献し、買い取られていれば今もレギュラークラスだったであろうマンドラーゴラをピックアップしたい。まずリンコンは運動量とフィジカルを武器に中盤でセカンドボールの回収やフィルター役を担当し、前線へのリンクマンとしても機能。創造性という意味では凡庸だったが、マッツァーリによる18/19の「壊すサッカー」においては中心的存在となっていた。マンドラーゴラは20/21の冬に加入し、ニコラのチームで3-5-2のアンカーとして残留争いをしていたチームをピッチの中央から鼓舞。ユリッチにとって彼の展開力や球際の強さ、キャプテンシーは今でも恋しいことだろう。

次期主将候補だったマンドラーゴラ。彼の退団は大きな痛手だ

トップ下

数多くの負傷離脱さえなければトーロでキャリアを終えていたであろうファルケがまず浮かぶ。左足から放たれる無慈悲なコースのシュートや切れ味抜群のカットイン、時折中盤まで降りてゲームメイクに参加するそのパフォーマンスは、まさにクリエイティビティを具現化した存在だった。守備面でもサボらず相手を追いかけ回す献身性も持ち合わせており、近年のトーロでは最も活躍したトレクァルティスタであったと言える。そんなファルケの隣で候補となるのはリャイッチとブレカロの2人だが、ここは2人の残したスタッツを比較し判断したい。直近5シーズンで言えば17/18のみの在籍だったリャイッチの成績は27試合の出場で6ゴール9アシスト、対して21/22シーズンのみの在籍だったブレカロは32試合7ゴール2アシストという状況。どちらも素晴らしいが、10試合以上を欠場しながらも卓越したファンタジーアで15もの得点機に絡んだリャイッチをここは選びたい。王子様キャラとして知られ、飼い慣らすのが難しいところももはや魅力の一つだった。

バイタルエリアのプリンスことリャイッチ。彼が背負った背番号10は今では弟分的存在だったルキッチに継承

ワントップ

ここは間違いなくセネガルの大スターことニアン、な訳がない。長らく主将として数多くのゴールをトーロにもたらしたベロッティの選出は疑う余地もないだろう。スランプに陥った時期もあったが、直近5シーズン全てでエースとしてプレーし大車輪の活躍を見せてくれた。個人的には沈黙を貫いたまま退団した今夏の彼の選択には失望したが、ローマのユニフォームを着た彼を見て言いようのない寂しさに襲われた。まだまだ未練タラタラである。

押しも押されぬ大エースだったベロッティ

並べてみるとこんな感じ。ぜひ読者のあなたのベストイレブンも教えて欲しい。