トリノFC情報局

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【2021/2022シーズン】トリノFC通信簿

今季から野心溢れる新監督とともに新たなスタートを切ったトリノ。「セリエA残留と未来への土台作り」という現実的な目標をもって臨んだ2021/2022シーズン、トリノセリエA13勝11分14敗の10位コッパ・イタリアベスト16という成績で終えた。カンピオナートで負け越している上カップ戦でもインパクトを残せなかったとはいえ、チームはシーズンを通してポジティブな印象を抱かせるパフォーマンスを見せたと言って差し支えないだろう。

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一貫してマンツーマンディフェンス&ハイプレス→ショートカウンターの戦術でシーズンを戦い抜いたトリノはリーグ屈指の堅牢な守備で上位チームらを苦しめたが、一方で攻撃に関しては主力選手に負傷離脱が相次いだ影響もあって、作り出した多くのチャンス数に対してゴール数が伸び悩んでしまった。あとはネットを揺らすだけという試合は数多くあっただけに、最後まで欧州カップ戦争いに食い込めなかったのは唯一悔やまれる点だろう。ただ、ユリッチ政権発足初年度でチームはかなり成長した。全体としての点数であれば6.5くらいは付けられる。

監督 イヴァン・ユリッチ 7.5

十八番である3-4-2-1のフォーメーションを一貫して採用。メルギム・ヴォイヴォダが「マンマミーア」と嘆くほどのキツいトレーニングでトリノを走れるチームへと変え、さらにはリーグで5番目に少ない失点数(41失点)を誇る堅守を構築している。さらに、社交辞令という言葉を知らないこの男はメディアやフロントに対しても全く気を遣わずクラブの問題点を次々と糾弾。ウルバーノ・カイロ会長やダヴィデ・ヴァニャーティSDに対しても「お前らちゃんとやれや」と言わんばかりの態度でケツを蹴り上げ、クラブ全体に喝を入れた。彼を新監督に招聘した事による利益はピッチの上だけに及ばないと言えるだろう。

 

1. エトリト・ベリシャ 5.5

セリエA 10試合出場 8失点 4クリーンシート

コッパ・イタリア 1試合出場 2失点

 

前半戦は第2GKとしてベンチを温めたがシーズン終盤にレギュラーを奪取。1-1で引き分けた第29節インテル戦をはじめ当たった試合ではスーパーセーブを連発し能力の高さを示したが、試合ごとにムラが目立ち残念ながらパフォーマンスの安定感は皆無だった。現時点では来季も正ゴールキーパーという位置付けだが、正直なところ到底レギュラーは任せられない。来たるべき夏のメルカートに向け首脳陣は新たな正ゴールキーパー候補を物色中との報道もあり、来季も残留するのであれば再び控えに回る事になりそう。

 

3. グレイソン・ブレーメル 9.0☆

セリエA 33試合出場 3得点 1アシスト

コッパ・イタリア 0試合出場

 

セリエA最優秀DF賞を受賞した今季の彼のパフォーマンスの素晴らしさは、今さらここで言及する必要もないだろう。リーグ屈指の堅守を築いた守備陣のリーダーとしての役割を完璧にこなしアンドレア・ベロッティやロランド・マンドラーゴラ不在時はキャプテンマークも巻いた。トリノにおいて間違いなく今季のベストプレーヤーだったと言える。彼のステップアップは火を見るよりも明らかではあるが、やはり寂しいものだ。しかしプレーヤーとして1人の男として大きく成長したトリノから、より大きな舞台へと羽ばたく彼を笑顔と拍手とともに送り出したいと思う。ありがとう、グレイソン。幸運を祈る

 

4. トンマーゾ・ポベガ 7.0

セリエA 33試合出場 4得点 3アシスト

コッパ・イタリア 0試合出場

 

彼もユリッチのもとで大きく成長した選手の1人。ミランからのドライローンで加入した彼をユリッチは当初「他クラブの若手の修行場にウチを使われるのは好きじゃない」とポベガを干しかねないようなコメントを残したものの、蓋を開けてみるとサスペンションや怪我を除いてほぼ全ての試合に出場。本職のメディアーノだけでなくトレクァルティスタとしての新境地も開拓し、アッズーリにも晴れて初招集を受けるまでに至った。スクデットを獲得したミランに帰る事が濃厚とされるがトリノは完全移籍での獲得に動いているとの報道もあり、「様子を見てみよう」といった状況だ。

 

5. アルマンド・イッツォ 6.0

セリエA 11試合出場

コッパ・イタリア 2試合出場

 

プレシーズンの時点では不動のレギュラーという位置付けだったが、シーズン開幕直後に負傷で約1ヶ月間戦線を離脱。その期間に復調を果たしたコフィ・ジジにレギュラーを奪われた上、ダヴィド・ズィマの台頭もあり昨季に続いて再び一時戦力外扱いというまさかの事態に陥ったものの、シーズン後半に訪れたジジとズィマ欠場の機会を見事に活かしレギュラーの座を奪い返す事に成功している。2年連続で同じ状況に置かれたにもかかわらず諦めなかった彼の姿勢はまさに"漢"だ。30歳になりセンターバックとして脂の乗った来季はシーズンを通してレギュラーを守り抜きたい。

 

6. ダヴィド・ズィマ 6.5

セリエA 20試合出場

コッパ・イタリア 0試合出場

 

21歳という若さでのセリエA初挑戦となるシーズンだったが、期待以上のパフォーマンスを見せたと言えるだろう。高さを活かした空中戦と一対一の粘り強さ、そして高い戦術眼で瞬く間にイタリアの水に馴染んでいる。主に3バックの右で出場したが、ブレーメル不在時は中央でもプレー。ティフォージの間では「ブレーメルの後釜はズィマでいいのでは?」との意見も見られるほど。ユリッチ曰く「まだまだ学ぶべき事は多い」が伸びしろは十分。次なるブレーメルは彼になるかもしれない。

 

7. シモーネ・ザザ -

セリエA 9試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

4年前の加入以降期待を裏切り続けてきた今季ついに戦力外に。カンピオナートでの出場数こそ9と思ったより多いものの、合計プレー時間はわずか115分。出た試合でどんなプレーを見せていたか全く印象にないため評価不能である。契約は残り1年なため買い手さえ付けば退団は確実だ。

 

9. アンドレア・ベロッティ 6.0

セリエA 22試合出場 8得点 1アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

負傷に悩まされシーズンの約3分の1を欠場したものの、チーム内得点王となったのはやはり流石。この得点数でトップになれてしまうトリノ攻撃陣の決定力の無さも同時に浮き彫りになったわけだが、得点以外の場面でもファウルを誘う技術やキープ力でチームに大きく貢献した。去就について様々な噂が飛び交う中でもトリノのためにひたむきにゴールを狙う姿には、来季もトリノのキャプテンとして残ってくれそうな期待を持ってしまう。なお、ユリッチは記者会見で「ベロッティ?さっさと契約延長にサインすべきだ」とコメント。全くもってその通りである。

 

10. サシャ・ルキッチ 7.5

セリエA 35試合出場 5得点 4アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

5年前の加入以降その高い能力を燻らせ続けてきたが、ユリッチの就任によりついに才能が開花。シーズン前ヴァレンティーノ・マッツォーラの栄光の10番を背負う事に対し大きな批判を浴びたが、今や彼以上にその数字に相応しい者はいない。もともと持っていたピッチの広範囲をカバーする運動量とゲームメイク力に加え、今季は課題だった守備力が大きく改善された印象だ。熱くなりやすい性格は相変わらずだが、それもうまく活かせば強みのひとつ。中盤の選手の中ではチームベストの出来だった。

 

11. マルコ・ピアツァ 5.5

セリエA 24試合出場 3得点

コッパ・イタリア 2試合出場

 

これまでのキャリアにおいて多過ぎる負傷離脱に悩まされ続けてきたピアツァだが、それはトリノでも変わる事はなかった。加入当初は左シャドーのレギュラー候補だったが、ヨシップ・ブレカロの活躍と自身の度重なる負傷離脱により徐々にベンチに座る時間が大半に。コンディションの良い状態でピッチに立てば能力の高さを示していただけに、コンスタントにプレーできなかった点が非常に悔やまれる。加入形態はユヴェントスからの買取オプション付ローンだったが、残念ながら買い取られない事は確実だ。

 

13. リカルド・ロドリゲス 7.0

セリエA 34試合出場 1アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場

 

今季のトリノにおいてベストサプライズ賞を授与するとしたら、このスイス代表ディフェンダーが筆頭候補になるはず。加入1年目の昨季は散々な出来だったため放出候補の1人としてピックアップされていたものの、ユリッチによって3バックにおけるセンターバックのポジションを与えられ完全復活。堅実な守備と正確なビルドアップ、そして機を見たインナーラップを武器に不動のレギュラーとして見事なパフォーマンスを見せた。年間通してプレーの質が落ちなかった事も評価に値するだろう。

 

14. ヨシップ・ブレカロ 7.0

セリエA 32試合出場 7得点 2アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

セリエA初挑戦ながらも左シャドーのポジションで躍動。持ち味のドリブルだけでなくライン間に落ちて縦パスを引き出し、そこからサイドに展開し攻撃のスイッチ役を担うなど今季のトリノ攻撃の中核として活躍した。後半戦は若干パフォーマンスの質が落ちてしまったが、トリノでのプレーに対するモチベーションが低下した事が大きな要因だろう。事実、4月ごろ代理人を変更したブレカロはクラブに対し「チャンピオンズリーグでプレーしたい」とトリノに残る意志がない事を表明。これによりクラブは買取オプションを行使しない事を決断し退団が確定した。

 

15. クリスティアン・アンサルディ 6.0

セリエA 19試合出場 3アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

トリノでの4シーズン目を迎えた今季はベンチが定位置に。スタメンでの出場はわずか5試合だったが、そんな中でも3つのアシストを決めたのは流石である。さらに今季は先輩プレーヤーとして後輩選手の成長にも大きく貢献ウイングバックとしてのプレーのいろはをヴォイヴォダに叩き込み、彼のパフォーマンス向上に大きな影響を与えている。トリノとの契約は6月いっぱいで満了となるが、既にSNSで退団の挨拶を済ませており、トリノでのプレーにピリオドを打った。5年間ありがとう、クリスティアン

 

17. ウィルフリード・シンゴ 6.5

セリエA 35試合出場 3得点 4アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

トップチーム昇格3シーズン目を迎えた今季もシンゴの成長は止まらない。右のウイングバックで不動の地位を築き、驚異的なスピードとダイナミックなプレーで見る者を楽しませてくれた。ラインの低い守備ブロックを敷く相手に苦労する場面が見受けられるが、そういった守備網を攻略する術が身に付けばアフリカ最高クラスのサイドバックになれるはず。プレーがダイナミック過ぎる分、雑なパスなどもたまに見受けられたが、それを差し引いても見事なパフォーマンスだったと言えるだろう。

 

19. アントニオ・サナブリア 5.5

セリエA 29試合出場 6ゴール 5アシスト

コッパ・イタリア 0試合出場

 

ベロッティの離脱期間が長かった今季はワントップのレギュラーとしてプレー。6ゴールを記録してはいるものの、彼に訪れたチャンスの多さを考えれば物足りない数字である。ワンタッチプレーの上手さや効果的なポストプレーはいくつもあったが、ゴール前での怖さは圧倒的に足りなかった。攻撃のアクセントとしてなら十分に機能するが、エースストライカーとして据えるには正直器不足か。ベロッティの契約延長が叶わなかった場合、センターフォワードは確実に補強が必要となりそうだ。

 

20. シモーネ・エデラ -

セリエA 0試合出場

コッパ・イタリア 0試合出場

 

昨年5月に負った前十字靭帯断裂の重傷により、今季は治療とリハビリに費やした1年となった。プリマヴェーラ出身の元有望株ではあるが、確実にユリッチのプランには入っていないため、来季は新たなクラブを探す事になるだろう。得意の左足を活かしたドリブルに負傷の影響が出なければ、活躍できる場はあるはずだ。

 

22. デニス・プラート 6.0

セリエA 23試合出場 2得点 2アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

恐らく今季のトリノで1番"サッカーが上手い"のは彼だろう。思い返せば繰り出すプレーの全てが天才肌のそれだったように感じる。右シャドーのレギュラーとして数々のチャンスメイクに貢献したが、唯一悔やまれるのが負傷離脱期間の長さ。彼が不在の試合でトリノは攻撃の機能不全を起こしており、シーズンを通してプレーしてくれればチームとしてのゴール数ももう少し伸びたはずだ。ただユリッチからの信頼は非常に厚くクラブに対しレスターからの買取をリクエストしたとの報道も出ているため、是非とも残留してもらいたいところだ。

 

23. デンバ・セック 6.0

セリエA 6試合出場

コッパ・イタリア 0試合出場

 

冬にSPALから加入した際は将来への投資との見方が強くまだセリエAでプレーするには早いイメージだったが、長い手足を活かしたドリブル突破はスタメン出場した第34節スペツィア戦をはじめ既にセリエAでも通用する事を証明。途中出場した第32節ミラン戦では試合終了後にユリッチに直接ブチギレられていたが、それも期待の表れだ。ポテンシャルはユリッチも認めているため、自身に大きな伸びしろがある事を示せたという意味においてこの半年間はポジティブなものだったのではないだろうか。

 

26. コフィ・ジジ 6.0

セリエA 25試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

イッツォの負傷離脱もありシーズン前半戦は右のセンターバックでレギュラーの座を獲得。粘り強い守備と切れ味抜群のタックルで加入当初の評価を取り戻したが、シーズンを通して3つものリゴーレを献上しているのだけはいただけない。ペナルティエリア内での慎重さを欠くディフェンスを繰り返してしまった事、そしてイッツォの復活により後半戦は主に再びベンチに座る事となったものの、リゴーレさえ与えなければレギュラーに値する実力者である事は誰の目にも明らかだった。

 

27. メルギム・ヴォイヴォダ 6.5

セリエA 29試合出場 3アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

シーズン開始当初は右ウイングバックのシンゴの控えという立場だったが、シーズン中盤に左にコンバートされレギュラーを奪取。前述の通りアンサルディからのアドバイスが非常に大きいとは本人も語っており、アンサルディが得意とするキックフェイントから逆足に持ち替えての正確なクロスを見事に受け継いでいる。トリッキーなボールタッチと豊富すぎる運動量で左シャドーのブレカロと強力なアタッキングユニットを形成した。左サイドに回った事によりカットインからのシュートという新たな引き出しも手に入れたため、アシストだけでなく来季はゴールにも期待したい。

 

28. サムエレ・リッチ 6.5

セリエA 21試合出場 1得点 1アシスト(エンポリ)、12試合出場(トリノ)

コッパ・イタリア 3試合出場(エンポリ)

 

冬の加入後数試合は出場機会がなかったが、その"順応期間"を経てピッチに立つとレギュラー争いに名乗りを挙げるようなパフォーマンスを見せてくれた。マンドラーゴラの負傷離脱もあったとはいえ、シーズン終盤はほとんどの試合にスタメン出場しルキッチとの連携を深めている。パスセンスや展開力も装備しながら同時にボール奪取の能力にも秀でているため、レジスタというよりトゥットカンピスタ(万能型)という表現の方が近い印象がある。ユリッチのもとで彼がどのような進化を遂げていくのか、非常に楽しみだ。

 

32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ 5.0★

セリエA 27試合出場 33失点 4クリーンシート

コッパ・イタリア 1試合出場 1クリーンシート

 

元から期待値が低かったという事を差し引いても、今季のトリノでは間違いなくワーストプレーヤーだった。ゴールキーパーからのビルドアップを重視するユリッチによって足元のスキルの高さを買われ正ゴールキーパーを任されたものの、肝心の"ゴールを守る"仕事がセリエAのレベルに達していないというのが正直なところである。少しだけ調子の良かった昨年11月ごろセルビア代表デビューを果たしたが、このままでは二度と呼ばれないだろう。シーズン終盤にベリシャにレギュラーを奪われた後から退団の噂が絶えない状況だ。

 

34. オラ・アイナ 5.5

セリエA 21試合出場

コッパ・イタリア 2試合出場

 

シーズン序盤は左ウイングバックにおいて大半の試合でスタメン出場したが、相変わらず微妙なプレーぶりに終始アフリカネーションズカップに参加しチームを離れている期間にヴォイヴォダが安定したパフォーマンスを見せたため、後半戦はベンチが定位置となった。攻撃の面においてもパスミスやボールロストが目立ったが、何よりも守備面において軽いディフェンスが散見されるという弱点を全く克服出来ていない。右ウイングバックとして最後の2試合にフル出場したがこのチャンスをも活かせず。来季も残るのであれば基本的にベンチから試合を眺める事になるだろう。

 

38. ロランド・マンドラーゴラ 5.5

セリエA 21試合出場 2アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場 1得点

 

出場した試合ではいずれも及第点のパフォーマンスを見せたが、彼の能力を考えれば正直物足りない印象だった。コンビを組む事の多かったルキッチに比べ存在感の感じられない試合もちらほら。後半戦は負傷の影響もあってコンディションが整わない中新加入のリッチが台頭したため、もはや絶対的なレギュラーではなくなった格好だ。ただ、トップフォームさえ取り戻せばチームの柱となれる選手だけに、現在交渉中であると報じられるユヴェントスからの完全移籍実現を願いたいところである。

 

64. ピエトロ・ペッレグリ 5.5

セリエA 6試合出場(ミラン)、9試合出場 1得点(トリノ)

コッパ・イタリア 0試合出場

 

ユリッチがジェノアでデビューさせた教え子だけあって、負傷癖が治らない割には比較的多くの出場機会をゲット。トリノでのこの半年間で自身に眠るポテンシャルは確かに見せた。持ち味のポストプレーに加え荒削りながらも果敢なドリブルは強豪相手でも確実に通用していたように思えるが、サナブリア同様ゴール前での怖さが足りない上やはり怪我が多過ぎる。この負傷癖のせいで来季もトリノに残るかどうかには大きなクエスチョンマークが付いてしまうが、個人的にはもう少しトリノで見てみたい。

 

70. マグナス・ワルミング -

セリエA 4試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

デンマーク2部リーグからセリエAへと急激なステップアップを遂げた今季、指揮官を納得させる事に失敗。夏からトリノに加入したにもかかわらず同ポジションで冬加入組のセックに出場試合数で負けている事からも、ユリッチにとってはまだ戦力として計算出来ないという事だろう。コンスタントな出場機会さえ得られれば伸びそうな器だけに、来季はローン修行などで自身の価値を監督にアピールしたいところだ。

 

77. カロル・リネッティ 5.0

セリエA 16試合出場 2アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場 1アシスト

 

率直な感想を述べるなら中途半端センターハーフを主戦場とするリネッティだがメディアーノで起用するにはプレー強度が足りず、トレクァルティスタで起用するにはクオリティが足りない。ユリッチ流3-4-2-1のフォーメーションには居場所がない印象だ。現所属選手の中で最もユリッチ戦術にフィットしていない選手と言わざるを得ない。トリノには昨シーズン大きな期待とともに加入したが2年目の今季もインパクトを残せず。セックやリッチが加入した今立場はさらに厳しいものとなっており、新天地を求める事はほぼ確実だ。

 

89. ルカ・ジェメッロ -

セリエA 1試合出場 1クリーンシート

コッパ・イタリア 0試合出場

 

近未来の正守護神候補筆頭であるジェメッロは今季第3キーパーとしての立場でチームに残留。第21節フィオレンティーナ戦でトップチームデビューを果たし見事にクリーンシートを達成している。安定感はベリシャやミリンコヴィッチ=サヴィッチを既に上回っており、現代的なゴールキーパーとして足元の技術も堅実。ティフォージからは「シーズン後半戦はジェメッロを正キーパーに」との声も非常に多く挙がったほどだ。ゴールキーパーの補強次第ではローン修行に出向く可能性もあるが、出来るだけ高いレベルのカテゴリーで腕を磨いて欲しいものだ。

 

93. モハメド・ファレス -

セリエA 9試合出場 2得点 1アシスト(ジェノア)

コッパ・イタリア 0試合出場

 

冬にジェノアでのローンを打ち切り、4年越しとなるトリノ加入が実現したものの加入数日後の練習中に前十字靭帯断裂の大怪我を負ってしまった。個人的には4年前からアンサルディの後継者として望んだ選手だったためこのような結末は非常に残念だが、トリノでの公式戦は1試合も出場がないままラツィオに返却される事が濃厚。本人にとっても悔しい結果となったため、新天地での再起を期待したい。

 

99. アレッサンドロ・ブオンジョルノ 6.5


セリエA 23試合出場 2アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場

 

3バックの左でロドリゲスとハイレベルなポジション争いを繰り広げた。22歳という年齢ながらも落ち着き払ったその守備技術で今季もさらに評価を高めた印象だ。3バックの両脇にインナーラップでの攻撃参加を求めるユリッチのリクエストにも柔軟に対応。状況を見据えた上でのオフザボールの動きからは戦術理解度の高さが窺える。ズィマと同じくブレーメル不在時に中央でもプレーしたがこちらでもユリッチの期待に応えており、ついに先日イタリア代表合宿にも晴れて初となる招集を受けた。来季もロドリゲスとのポジション争いに挑み、レギュラーの座を狙う。

【DAZN Talks】ヴォイヴォダ :「当たり前の毎日が幸福の連続」

今季からユリッチに左ウイングバックという新たな役割を与えられ、見事にレギュラーの座を掴んでいるメルギム・ヴォイヴォダ。繊細な足下のスキルや両足を器用に使いこなすプレーぶりで、クリスティアン・アンサルディの正統後継者として評価を高めている。そんなヴォイヴォダが先日、DAZN TalksというDAZN Italiaが提供する番組に出演した。生い立ちやトリノでの日々、そしてプライベートなど様々な質問に答えている。

 

ちなみにDAZN TalksはTwitch*上で視聴者が参加できる形式の番組で、Twitchアカウントを通して選手に直接質問ができるという魅力的なコンテンツである。あまり大きな声では言えないかも知れないが、VPNに接続しTwitchのアカウントを作成すれば恐らく日本からでも視聴可能だ。セリエA各チームの選手たちが定期的に出演しているため、興味がある方はぜひ調べてみて欲しい。

*Amazonが提供するライブストリーミング配信プラットフォーム

 

では、早速視聴者からの質問やコメントを見ていこう。

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ー結婚してるんだっけ?

いや、まだだよ。

 

ー君はすぐ恋に落ちるタイプ?それとも時間が掛かるタイプ?

僕は恋に落ちたことがあまり無い。今の僕はサッカーに集中してるけど、その時はいずれ訪れると思うよ。母からのプレッシャーもあるしね...

 

ーファンタカルチョ*は好き?

*活躍しそうな選手11人を試合がある都度選出し、実際の活躍度合いによって変動するポイント獲得数を競うゲーム

イタリアに来たばかりの時は存在を知らなかったけど、ジジやルキッチに説明されて知った。彼らはいつもプレーしているよ。ある試合で僕はイエローカードを貰ったんだけど、その事をなぜか2人に怒られちゃったんだよね。僕はプレーしていないけど、それでなんとなくファンタカルチョの仕組みが分かったよ。怒られるのが嫌だから、それ以来カードは貰ってないんだ(笑) 2試合連続でアシストを決めた時はなんか褒められたよ。ファンタカルチョをやってるフィジオテラピストのパオロもいつも僕に謎のプレッシャーを掛けて来るんだ。他の選手だとザザ、ベロッティ、ポベガなんかもやってるみたいだよ。

 

ーチームの中で君のニックネームは何?なんて呼ばれてるの?

僕のファーストネームは"メルギム"だけど、ユリッチが最初間違えて"メグリム"って呼んできたんだ。今ではチーム全員がそう呼んでくるようになってしまったよ(笑) イタリア語を普段使っている人たちに僕の名前が発音しづらいのは分かってるから、今さら訂正するつもりも無いけどね。

 

ーチームで1番仲が良いのは誰?

もちろんみんなと仲が良いけど、1番笑えるヤツはイッツォだね。アンサルディも人生楽しんでる感が凄いよ。ただ1人挙げるとするならやっぱりイッツォ。今日はちょうど彼の誕生日*だね。愛してるぜブラザー!誕生日おめでとう!

*この日はイッツォの誕生日の3月2日

 

ーアンサルディの存在はあなたの成長に影響を与えている?

彼と話すのはとても好きだ。とても経験豊富な選手だからね。いつもたくさんのアドバイスを貰っているよ。例えばドリブルを仕掛けるかシンプルにプレーするかの判断とかね。彼はいつも若い選手に対してアドバイスをしてくれる素晴らしい先輩だと思うよ。

 

ーユリッチとの関係はどう?

僕はプロフェッショナルだから、監督との距離感は大事にしている。だけど、彼がチームの前で話す時、なるべく僕はメモを取るようにしているんだ。そして彼が要求した事をピッチで表現できるよう努力している。彼が言う事は正しい事ばかりだからね。たくさんの事を彼から教わっているよ。

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ーユリッチとのエピソードは何かある?

僕を抱きしめて"お前は俺の大事な戦士だ"って言ってくれた事がある。嬉しかったね。クラブや監督への僕の忠誠心を彼に理解してもらっている事が分かったよ。

 

ーユリッチのトレーニングはやっぱりキツいの?

マンマミーアって言いたくなるレベルでキツいよ...ただ、正しい手法ではある。常に強い気持ちを持ってハードワークする。これが僕らのメンタリティだ。

 

ー君のアイドルは誰?

ロナウジーニョ。彼はいつも笑顔を忘れずプレーしていたからね。僕と同じポジションでならダニ・アウヴェス。言うまでもなく偉大なスペシャリストだね。

 

ークルヴァ・マラトーナ*の声援は力になっている?

*トリノのサポーターが陣取る観客席

もちろん。僕らには彼らが必要だ。残念ながらコロナのせいでしばらく一緒に戦えなかったけどね。彼らの熱い声援は大好きだよ。試合も70分くらいになると足に疲労を感じ始めるけど、そんな時彼らがエネルギーを分けてくれるんだ。

 

ースペルガへ最初に行った時の感想を聞かせて。

個人的に行ったのは去年だ。コロナのせいでチームでの訪問は出来なかったけど、友人とプライベートで行ったよ。歴史を作ったこのユニフォームを纏う事に誇りを感じたね。

 

ートーロから最初にコンタクトがあった時はどうだった?

美しい歴史を持つクラブはすごく好きだ。僕が前いたスタンダール・リエージュもこの点においてトーロと似てると思うよ。ヴァニャーティSDから最初に連絡を貰った時、すぐにイエスと言った。トーロの魅力的な歴史の話を聞かせて貰い、僕はすぐに魅了されたんだ。今ここにいる事がとても幸せだよ。目に見える結果を残したいね。

 

ーイタリアのサッカーに適応する上で苦労した事は?

ベルギーとイタリアはあらゆる面において異なるね。ここイタリアはより戦術的で、とても頭を使う。例えばベルギーではスペースを見つけ次第すぐに使うけど、イタリアではそこを使うべき適切なタイミングの判断も求められる。ベルギーでのサッカーは本能的な要素が濃かったけど、イタリアでは従うべきセオリーが常に存在しているんだ。

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DAZN Talksの放送風景。中央の美女はジャーナリストのバルバラ・チリッロ(Barbara Cirillo)嬢と当方にて調査済み。

 

ー"メルギム・ヴォイヴォダ"という男について聞かせて。

僕はドイツで生まれた。当時僕たちの国コソヴォは戦争中だったからね。僕の父も兵士として参加していたよ。その後コソヴォに帰り、1年半を過ごした。戦争が終わった後家族でベルギーに移り、そこで僕は育ったんだ。僕はこれまでの人生でたくさんの犠牲を払ってきた。その経験が僕という人間を作っていると思うよ。当たり前の日常がいかに幸せかを理解する事ができる。

 

ーたしか君の家はとても大家族だよね。

そうだね。僕には姪っ子もいるんだ。母は"孫が欲しい"と僕にいつもプレッシャーを掛けてくるよ。いつ結婚するの?彼女はできた?って電話してくるんだ(笑)

 

トリノの街に家族を招待した事はある?

僕はこの街が大好きだ。コロナのせいもあってまだ探索していない場所もあるんだけど、姪っ子たちとアルバに行った事はあるよ。ここは食べ物が本当に美味しいね。

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アルバの風景。トリノから南東に約50km離れているが、鉄道も整備されており日帰りでの観光も可能。白トリュフや赤ワインが名産として知られる。

ー食べ物は何が好き?

パスタがめちゃくちゃ好きだよ。魚が入ってると最高だね。

 

トリノに訪れる人々に食べ物で何をオススメする?

プリンや肉入りのラヴィオリ。僕の家に来れば振る舞ってあげるよ。

 

ー料理するんだね。

たまにね。母が家に来た時は作ったりする程度だよ。

 

ーロッカールームでよく踊ってるのは誰?

イッツォ。そしてアンサルディ。音楽を掛けるのはアイナだけど、踊るのはイッツォだ。DJアイナはよくヒップホップを掛けるけど、イタリアの曲も掛けてるよ。

 

ーユリッチは厳格なイメージがあるけど、彼がロッカールームに入って来たら君たちは静かになるの?

そんな事もないよ。僕らは家族みたいなものだし、働く時は働く、冗談を言う時は一緒に笑う。全員で夕食を食べに行く事もあるしね。

 

ー将来の自分はイメージできる?

分からない。僕は一日一日を大事に生きているからね。当たり前の毎日が幸福の連続なんだよ。だから5年後や10年後自分がどうしているかは分からないね。

 

ー試合前、君を焚き付けるものは何?

僕の兄だ。7つ歳上なんだけど、幼い頃から色んな事を彼から教わった。サッカーを教えてくれたのも兄だったんだ。父には"プロサッカー選手になれる人間は少ないのだから、勉強を頑張りなさい"と言われていたけど、一方で兄はいつも僕に可能性を感じてくれていた。今でも試合後にダメ出しを食らったりするし、改善すべき点を教えてくれたりするんだよ。

 

ーチームで1番オシャレなのは?

僕だね。うん、冗談だよ。これもイッツォかな。からかってる訳じゃなくて、本当だよ。彼の私服姿はとてもカッコいいと思う。ベルギーではこんなにエレガントな着こなしをする人を見た事がないよ。あとはマンドラーゴラやルキッチもとてもオシャレだね。

 

ーアンサルディって結構ダサいよね?(ボルハ・バレーロからのコメント)

そうだね(笑) 彼は服装に気を遣わないからよくからかわれてるんだけど、あんまり気にしてないみたいだよ。

 

ーぶっちゃけブレーメルってそんな凄いの?

本当にバケモノだよ。物凄い成長を遂げているね。彼はまだ若いし、ここからさらに成長するだろう。契約延長もしたし、まだまだここにいて欲しいね。

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ーブレーメルのどういうところが凄い?

まずフィジカルが凄く強いけど、1番はトレーニング量だね。彼は常にジムかピッチにいるイメージだ。彼の成長は、努力をそばで見てきた僕からすれば案の定って感じだよ。

 

ーベロッティやヴァンヤとの関係は?

ヴァンヤとは1年間スタンダールで一緒にプレーしたから、よく知る仲って感じだね。僕がトーロに来た時は驚いていたよ。イタリアでの生活に慣れるよう助けてくれた。"セリエAこそが本当のサッカーだ"って言ってたよ。ベロッティはトーロを象徴する選手で、セリエAで100ものゴールを記録してきた。尊敬に値するよ。チームのために全てを尽くす男だね。

 

ー試合前のルーティーンはある?

ピッチで神に祈りを捧げている。お互いのチームに怪我人が出ない事、そしてチームの勝利のためにね。それ以外は特にないかな。

 

ーオフの時間は何をするのが好き?

1人でいる時は、テレビを見たりNetflixを見たり、あとは音楽を聴いたりしてるかな。家でゆっくり過ごすのがとても好きなんだ。

 

ーサッカー選手になっていなかったら、何になりたかった?

これは即答できる。整備士とか電気技師とか、手を使って作業する仕事に就いていたと思う。学校には行ってたけど勉強が好きではなかったから、サッカー選手としてお金を貰っているのはとても幸運な事だと思っているよ。

 

ー音楽は何を聴くの?

フランスの音楽をよく聴くよ。お願いだから、今歌ってとか言わないでね?

 

ー記憶に残ってる試合はある?

トーロでのデビュー戦。アウェイのフィオレンティーナ戦だったんだけど、ユニフォームを着てピッチに立った瞬間、自分がセリエAというハイレベルな舞台に辿り着いた事を実感した。もう1つはサポーターでいっぱいのスタジアムで、コソヴォ代表としての初ゴールを決めたチェコ戦だね。

 

ー君にとって代表は何を意味する?

代表でプレーする事はたくさんのものを背負うという事。国を守る兵士のような感覚だよ。サッカーを通して、コソヴォという国の存在を主張できる。実際、僕のイタリア人の友人はコソヴォという国を知らなかったらしいけど、セリエAでプレーするムリチやラフマニ、そして僕などのコソヴォ人選手の影響で存在を知ってくれたと言ってたよ。

ユリッチ・トリノ、『攻撃の要』は意外なあの選手?

3年半ほど前アデム・リャイッチという名の天才がチームを去ってから欠けていた"クオリティ"。今季のトリノはこれを取り戻しつつある。目まぐるしく攻守が入れ替わる現代サッカーの中で、質と量の両立を求めるのは至難の業。しかしながら指揮官イヴァン・ユリッチはその難問に取り組み、ピッチでその答えを見せ始めている

 

さて今回は当方トリノFC情報局が最も苦手とし敬遠してきたジャンル「戦術分析」にチャレンジしていこうと思う。というのも実は今季のトリノ、特定のエリア限定ではあるがまるでフットサルのようなアタックを繰り出していたりするから面白いのである。その"フットサルのような攻撃"において中心的な役割を果たしているのは一体誰なのか?得点に直結した具体的なシーンはあるのか?その点も含め調査していこうと思っている。なお、今回の記事を執筆するにあたりデータを引用したサイトは一律Whoscored.comである事を記載しておく。

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25試合を消化したトリノのここまでのゴール数は32セリエAでは13番目の数字となっており正直なところ芳しくない。明確に結果が出ているわけではないものの、全シュートのうち「ゴールマウスから半径5メートル以内でのフィニッシュ」に関しては全シュートのうち10%という数字を出しており、こちらはセリエAでもローマ(12%)に次いで2番目に多い数字である。ここまでのリーグ戦で55ゴールと最多得点を記録しているインテルと同率なのだから、トリノがここまでいかにゴール前での決定機をフイにして来たかという事実も明確になったわけだが、ここはアンドレア・ベロッティの戦線復帰により向上が期待されると見て良いだろう。

 

ゴールの近くでのフィニッシュの割合はチャンスクリエイト数に比例するはずだ。つまりトリノは比較的しっかりと相手守備陣をファイナルサードまで押しやってからシュートまで行けているという事になる。しかしその崩しのパターンはどのようなものなのだろうか?崩しの起点となっているのはどのエリアだろうか?

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各チームが「どのサイドから主に攻撃しているか」を表すデータ

トリノの場合左サイドからの攻撃がセリエAで7番目に多い。上のデータを見ると僅差ではあるが左右どちらかと言えば左からの崩しが多いことが分かる。そう、"フットサルのような攻撃"が多く観測されるのがまさにこのサイドだ。

 

フットサルでは基礎中の基礎的な戦術ではあるが、"ヘドンド(旋回)"と呼ばれる攻撃のパターンがある。トリノは左サイドからこれを仕掛ける事が多い。ユリッチの師匠ガスペリーニ率いるアタランタもやっている事ではあるが、ボールをシンプルに叩いて縦に抜ける→受けた選手が入れ替わり降りて来るを複数の選手で繰り返し、文字通り"旋回"する事で相手ディフェンスにマークのズレを生じさせフリーでボールを受けられる選手を生み出す。トリノは両方のサイドでこれを仕掛けてはいるがチームとして左サイドからを好む理由は1人の選手の存在にある。

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第26節ユヴェントス戦90分の平均ポジションマップ

上の図を見れば分かる通り、3バックの右で出場した26番コフィ・ジジに比べ左で出場した13番リカルド・ロドリゲスは非常に高い位置でのプレーが多かった。なんと1試合を通して大半の時間を敵陣で過ごしている。そう、つまり先ほど述べた"ヘドンド"の起点となっているのはズバリ、リカルド・ロドリゲスなのだ。ショートパスでのビルドアップを好むユリッチ戦術において攻撃はセンターバックから開始される事が多いのだが、そのスイッチ役を担うのがこのスイス代表ディフェンダーなのである。

f:id:sft1995:20220226000757j:plain一時は戦力外候補とまで言われた男が、ユリッチの下では欠かせない存在に

本職左サイドバックの彼がこのポジションで起用されている理由もここにある。サイドバックならではの機を見たクロスも選択肢に取り入れる事が可能となる上、高いキック精度を持つ彼が最終ラインにいる事で当然プレス回避も楽になる。上の図で言えば27番メルギム・ヴォイヴォダ、14番ヨシップ・ブレカロらに預けたショートパスを起点として織りなす流動的な入れ替わりで、時にコーナーフラッグ付近まで走り抜ける事もある。実際この試合での同点ゴールもヘドンドを得意とする左サイドを起点として生まれており、ユヴェントス相手にも十分に武器として通用していた。

 

ところで、ロドリゲス不在時のトリノは戦い方を変えるのだろうか?答えはNo。同じくレフティセンターバックアレッサンドロ・ブオンジョルノが控えているからだ。実際に今季ロドリゲス欠場時はブオンジョルノが代役を務め、若いが故の荒削りさを見せつつも役割を全うしている。そんな彼が「俺にもできるんだぞ!」という事を示した第15節エンポリ戦でのゴールシーンをご覧頂こう。ちなみに筆者は今季のゴールの中で1番好きな得点シーンだ。

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この直後ドリブルでカットインしたピアツァがそのままゴールを決めたというシーンである。ブオンジョルノのブロックがファウルかどうかという議論は置いといて、このゴールはブオンジョルノ、アイナ、ピアツァの3人によるヘドンドから生まれた、まさに理想的な形だ。そう、ブオンジョルノにも"ロドリゲスロール"は可能であり、同様にヴォイヴォダやブレカロがいなくともアイナやピアツァが同じ役割をこなす事が今のトリノには出来るのである。

【まとめ】トリノの攻撃の肝は左右のセンターバック

いかがだっただろうか?初の戦術分析となったためあまり自信は無いのだが、トリノ左右のセンターバックを起点とした”ヘドンド”を取り入れた崩しをメインウェポンとして装備している事はお分かり頂けたと思う。5レーン理論におけるハーフスペースというワードは現代サッカーにおいてもはや珍しくもないものだが、ユリッチのトリノはまさにこのレーンをどう使うかに重点を置いているのである。右のコフィ・ジジダヴィド・ズィマ、左のリカルド・ロドリゲスアレッサンドロ・ブオンジョルノ。彼らのレギュラー争いも今後のトリノを見ていく上で注目ポイントとなりそうだ。

ブレカロ :「僕の将来は...」

今季からトリノに加わり、セリエA初挑戦ながらも左シャドーのポジションで欠かせない主力としての地位を確立させているヨシップ・ブレカロ。今季ここまで19試合に出場しチームトップの6ゴールを挙げているブレカロは、テクニックとスピードを兼備したそのプレースタイルで早くもトリノのサポーター達を虜にしている。そんなブレカロが24日、Gazzetta dello Sportのインタビューに応えた。

トリノとの契約と移籍の決断について

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トリノで好調を維持するブレカロ

 

夏の移籍市場最終日は大変だった。僕はドイツにいてトリノ行きの飛行機を待っていたんだけど、フライトに遅延が発生していたんだ。トリノに到着したのはなんとメルカートが閉まる15分前だったんだ!とても貴重な経験をしたよ(笑)あの日の事はよく覚えている。飛行機が離陸するのが待ちきれなかったね。

 

ブンデスリーガでは5年プレーしたけど、僕は新しい挑戦に飢えていた。ユリッチの率いるトリノで多くを学ぶ事が出来るという確信があったよ。僕の周りにはイタリア行きに反対する人たちもいたけど、今ではこの決断が正しかった事をピッチで示せていると思う。「チャンピオンズリーグの舞台を手放すのかい?」って言われたりもしたけど、それでも僕はトーロを望んだ。素晴らしい決断をしたと思うよ。父にセリエAクロアチアナショナルチーム両方でのプレーを見せられている事がとても幸せだ。僕たち親子にとってここセリエAは夢の舞台だったのだからね。

 

トリノの街について

すごく気に入っているよ。既に故郷のようにも感じている。妻と娘と暮らしているんだけど、家族とチェントロでランチを食べて、それから散歩をするのが好きだ。トリノの人々はとても親切だと思う。道でティフォージと出会っても、僕らのプライベートを尊重してあまり声を掛けないでくれるんだ。スペルガにはまだ行った事がないけど、すぐにでも行きたい。当然ながらグランデ・トリノの歴史や偉業を知っているからね。

 

将来について

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ヴォルフスブルクから加入したブレカロの現行契約形態は€1000万の買取オプション付ローン

 

希望が通るならここに残りたい。僕の将来はトーロにあるんだ。この街は僕を幸せにしてくれた。ここトリノでは僕のキャリアの中で最も美しい時間が流れているんだよ。僕個人の今季の成績としては今のところ正しい道にいると思う。ゴールは6つ決めているけど、アシストも増やしていきたいね。今季の僕はあらゆる面で成長している実感がある。このまま行けば最高のシーズンになるだろう。これが始まりに過ぎない事を願っているよ。

 

指揮官イヴァン・ユリッチについて

彼は僕がサッカーを知り、試合を読む手助けをしてくれる。サッカーは情熱とか勢いだけではプレー出来ない。適切なタイミングで適切なポジション取りをする。そのためにはここぞという瞬間を見極め、我慢する必要があるんだ。ユリッチとは素晴らしい関係を築いている。彼が僕に何を求めているかは理解しているよ。

 

 

評価を高めるブレーメル。契約延長の意図とは?

新生トリノの3バックにおいて中央でプレーしディフェンスリーダーとして今季評価を高めているグレイソン・ブレーメル。現時点で欧州5大リーグ全クラブのセンターバックの中でも空中戦勝数、インターセプト成功数ともにベスト5に入るなど驚異的なパフォーマンスを披露する彼は、セリエAのみならず欧州中にその名を轟かせている。

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加入当時の指揮官ワルテル・マッツァーリは「私が育てた!」とコメントしているが実際その通りではある

ブレーメルがトリノに加わったのは2018年の7月。センターバックの補強を画策していたトリノは、当時サントスに所属していたルーカス・ヴェリッシモ(現ベンフィカ)をトップターゲットとして狙っていたが最後までクラブ間合意を見出せず、当時のジャンルーカ・ペトラーキSDが彼の代替案としてアトレチコ・ミネイロから€500万の移籍金で連れて来たのがこのブレーメルだ。加入直後からブラジル代表監督が招集に興味を示すなど将来が約束された選手として加入したブレーメルは、アンフィールドで行われたプレシーズンマッチリヴァプール戦において対峙したサディオ・マネを完封するなど、欧州初挑戦ながらも即戦力として計算できる選手である事を証明。セリエAでも第1節ローマ戦から途中出場を果たし、以降準レギュラー的な立場でセリエAの水にみるみる馴染んでいった。その後監督交代が何度も起きたトリノにおいて居場所を失う事なく順調に成長を遂げたブレーメルは、ニコラ・エンクルの退団により今季からディフェンスリーダーに。アグレッシブな守備戦術を敷くイヴァン・ユリッチの監督就任によるシナジーも相まって現在に至る。

 

 

プレースタイル

 

彼のストロングポイントはなんと言っても強靭なフィジカルを活かした積極果敢なハードチャージと鋭い出足から繰り出されるインターセプト。マンツーマンディフェンスにおいては必要不可欠な能力ではあるが、試合後帰宅時まで一緒について行かんばかりに相手センターフォワードを執拗に追っかけ回すマンマークの粘り強さはストーカーの資質すら感じさせる。セットプレー時には得点源としても機能し、トリノでのセリエA出場100試合のうち12ゴールをセットプレーから記録している。

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ちなみにブレーメルと同時期にトリノに加入した"フォワード"のシモーネ・ザザは101試合出場20得点(^ω^)

 

敢えてブレーメルの弱点に触れるならば、ビルドアップ時の組み立ての丁寧さだろう。前任者エンクルはグラウンダーの速いボールを散らす能力に秀でていたが、ブレーメルの縦パスには言うなれば「愛がない」事が多い。トラップの難しいイレギュラーなボールを蹴り出す事が散見されるのだ。受け手となるヨシップ・ブレカロをはじめとするアタッカー陣のボールスキルでカバーされているためあまり目立たないが、セレソン選出を目標としていくならここが改善すべき点となるだろう。

 

人気銘柄となったブレーメルの将来は?

 

先日トリノとの契約を2024年まで延長したブレーメル。元々の契約は来年までだったのだから、正直なところこの意図としてはクラブに移籍金を残すためとしての意味合いが強い。つまりクラブも彼の退団をある程度覚悟しているという事だ。

 

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噂される主な移籍先候補

インテル デ・フライの後釜候補として興味を示しているとの報道

ミラン 頭数の少ないセンターバックの補強候補としてリストアップ

ユヴェントス マンドラーゴラの保有権を交渉に利用する意向との噂だが絶対売らねえ

リヴァプール 4年前の対戦時から注目していた可能性大

バイエルン 既にトリノ接触したとの噂も

トッテナム イタリア方面に強い強化部の存在が影響か

 

トリノとしては移籍金約€4000万を要求する姿勢を見せており、今後の動向が注目される。本人も現在はトリノでのプレーに集中したいと語っており、退団となる運命だとしてもいちサポーターとしては彼のプレーを今後も楽しみたいところだ。

【国内屈指の有望株を確保!】冬の移籍市場まとめ

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指揮官イヴァン・ユリッチの下、なかなかのパフォーマンスを見せ一桁順位でのフィニッシュも現実的な目標となっている今季のトリノ。最終日での駆け込み補強が目立った夏の市場同様、今回のカルチョメルカートでも比較的大きな動きを見せた。高額年俸を受け取りながらも余剰人員と化した何人かの選手達を放出する事で人件費の削減に成功し、さらには若く将来性のある才能を迎え入れる事にも成功。トリノは毎年冬の市場ではほとんど動かないが、今回のメルカートカイロ政権発足後最も補強に投資した冬のウィンドウとなった。

 

早速だが今回クラブにやって来た選手・クラブを去った選手について見ていこう。

 

IN

DF

ハメド・ファレス ← ラツィオ(買取オプション付ローン。オプション料€600万)

 

MF

サムエレ・リッチ ← エンポリ(買取義務付ローン。移籍金€800万+ボーナス€200万)

 

FW

デンバ・セック ← SPAL(完全移籍。移籍金€400万)

ピエトロ・ペッレグリ ← モナコ(買取オプション付ローン。オプション料€650万)

 

OUT

GK

ラズヴァン・サーヴァ → クルージュ(完全移籍。移籍金不明)

 

MF

ダニエレ・バゼッリ → カリアリ(完全移籍。移籍金不明)

トマス・リンコンサンプドリア(ドライローンだが契約残り半年のため実質フリーでの退団)

ベン・ラシヌ・コネ → クロトーネ(ドライローン)

 

FW

シモーネ・ヴェルディサレルニターナ(ドライローン)

 

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最も大きなサプライズはやはりイタリア屈指の有望株であるサムエレ・リッチの獲得だろう。国内外の列強たちからの関心も報じられていた中、エンポリにいち早く接触を図ったトリノが電光石火の動きで釣り上げる事に成功した格好だ。本日2月22日時点でまだ公式戦デビューは果たしていないが、古巣エンポリとは真逆と言ってもいい戦術で戦うトリノへの適応に時間が掛かるのは当然。しかし前節ユヴェントス戦でロランド・マンドラーゴラの累積警告が4枚に達したため、次節カリアリ戦でスタメンデビューを飾る可能性があるとの事だ。ユリッチの下で更なる進化を遂げるリッチのプレーに注目していきたい。

 

その他にはモハメド・ファレス、デンバ・セック、ピエトロ・ペッレグリらがトリノに加入。ファレスに関してはトリノが数年前から目を付けておりようやく入団の運びとなったが、加入直後の練習で前十字靭帯を損傷する大怪我を負いトリノで一試合も試合に出る事なくローンバックされる事が濃厚となってしまった。ローン延長という道なら残留の可能性はあるかもしれないが、非常に残念ながら返却が確実だ。

 

セックは昨季ボローニャ移籍が決まりかけていた経緯もあり、他にもセリエAのいくつかのクラブから関心を寄せられていた右ウインガーレフティで、長い手足を活かしたトリッキーな仕掛けでゴールに迫るプレーを得意とする21歳のセネガル人アタッカーだ。彼を連れて来たダヴィデ・ヴァニャーティSDについては「SPAL時代スパイクを買ってくれた恩人」と語っており、その恩に報いる活躍が期待される。

 

最後はジェノア時代ユリッチが自らの手でデビューさせた"元神童"ピエトロ・ペッレグリ。若くして育成の名門モナコでのプレーを選んだものの度重なる負傷に苦しみ完全に伸び悩んでいる印象だが、トリノ恩師ユリッチが指揮官を務め父マルコがチームマネジャーとして在籍するクラブ。さらにはペッレグリがプロデビューを飾った試合はなんとスタディオ・オリンピコ・グランデ・トリノでのトリノ(ちなみにトマス・リンコンとの交代でピッチに入った)と来ている。再起を図る環境は整っているため、心機一転頑張って欲しいところだ。

 

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クラブを去った選手については基本的に戦力外同然の扱いだった選手達だが、ダニエレ・バゼッリやトマス・リンコンなどここ数年のトリノの中盤を支えた元主力の退団はやはり寂しいものがある。その他にもユリッチとの対立が囁かれたヴェルディや母国復帰を選んだ下部組織上がりのサーヴァ、セリエBでの武者修行に旅立ったコネなどがクラブを去ったが、戦力的なダメージはほぼゼロ。メルカート閉幕後デニス・プラートが今季絶望となる怪我を負ってしまったため即戦力となるトレクァルティスタの補強もしておきたかったところだが、こればかりは結果論なので仕方がない。放出による移籍金収入はほとんど無いに等しいが、冒頭にも記した通りチーム内でも上位となる高額年俸を受け取っていた選手達(バゼッリ、リンコンがそれぞれ€140万。ヴェルディが€170万)の放出により人件費の節減に成功したのは大きな成果だろう。

 

冬のカイロにしては珍しく積極的な投資を行なった今回のメルカート。今後半年でチームにどのような影響をもたらせるかに注目だ。

 

 

21/22シーズンここまでの振り返りと展望

約3分の1が経過した今季のセリエA。第12節を終えトリノはここまで4勝2分6敗という成績で12位につけている状況だ。ほとんど何もうまくいかなかった昨季はこの時点で1勝3分8敗で19位に沈んでいたのだから、少なくとも今のところは残留争いに巻き込まれそうな気配は無いと見て良さそうだ。

 

イヴァン・ユリッチが新監督に就任した今季、トリノはハイプレス&ショートカウンターを主な戦い方として採用。アグレッシブかつ貪欲にボールを奪い素早くゴールに迫るその戦術は早くもティフォージの心を掴み、ユリッチの評価はトリノの街ではうなぎ登り。ユリッチも話していた通りこのチームは未だ発展途上であるが、ここまでのチームに対する評価としては「ここからの上昇に期待が持てる」と自信を持って言えるだろう。

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ヒエラルキーの変化

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ユリッチに発破を掛けられたダヴィデ・ヴァニャーティSDは、夏のメルカートで積極的な補強を敢行。これによりチーム内でのヒエラルキーには想像以上に大きな変化が訪れている。新加入組は軒並み期待通りまたはそれ以上の活躍を見せ、これまで不動のレギュラーだった選手達をベンチに追いやった。特筆すべきはトンマーゾ・ポベガヨシップ・ブレカロの2人。前者はユリッチによる高インテンシティなサッカーにばっちりフィットしついに先日ロベルト・マンチーニからお呼びが掛かった。現行契約はミランからのドライローンだが早くもクラブは完全移籍での獲得に向け動いているとの報道も出ており、色んな意味で話題をさらっている。後者は同胞である監督の下左シャドーの役割を与えられ躍動。このまま行けば€1000万に設定されている買取オプションの行使は確実だろう。

 

序列が大きく変化した理由はこれだけではない。今までトリノに所属しながらもその実力を燻らせ続けていた何人かの選手達が、ユリッチの就任に伴い生まれ変わったのも大きく影響している。ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチリカルド・ロドリゲスコフィ・ジジサシャ・ルキッチオラ・アイナなどがパフォーマンスを大きく向上させ、レギュラーの座を手に。特にミリンコヴィッチ=サヴィッチはシーズン前、筆者を含むほとんどのティフォージに懐疑的な視線を向けられながらも試合を追うごとに成長。兄セルゲイの待つセルビア代表にもついに初招集されている。

 

指揮官を苦しめる主力の負傷離脱

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インテンシティの高いサッカーはゲームを優位に進めやすいが、それだけ代償も大きい。ユリッチの練習は「試合の方が楽」との感想が選手から出るほど超ハードな事で知られており、それも影響してか今季のトリノは常にスタメンクラスの誰かが負傷のため欠場。未だにベストメンバーが揃った事は一度も無い状態だ。そして先月ついに事件が発生。負傷者の多さだけでなく彼らの復帰に長い時間が掛かり過ぎている状況に激怒したユリッチは0-1で敗れた第7節のトリノデルビー後、クラブのメディカル部門の仕事ぶりを痛烈批判。これを受けたクラブドクターのパオロ・ミナーフラが職を辞すという事態にまで発展している。

これに追い討ちを掛けているのが代表ウィーク。トリノは代表に招集される選手が比較的多く、そのほとんどがナショナルチームでも多くのプレータイムを与えられている。今回もアントニオ・サナブリアがコンディションを落とした状態でトリノに戻って来た上、リカルド・ロドリゲスも負傷。後者に関しては年内復帰は難しいとの報道も出ており、負傷者たちのコンディション管理や再発防止などが今後の課題となってくるだろう。

 

クラブを去る可能性のある選手達

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欧州争いに食い込んだ3シーズン前のトリノで不動の主力であったアルマンド・イッツォダニエレ・バゼッリトマス・リンコン、そしてトリノ史上最高額プレーヤーのシモーネ・ヴェルディトリノでの年平均ゴール数がたったの4であるシモーネ・ザザの5名はチームの成長とは裏腹に不遇の時を過ごしている。リンコンとバゼッリは新戦力の到着により普通に序列が下がった格好だが、自身の負傷離脱中にポジションを奪われたイッツォに関してはやや不運と言うべきか。ヴェルディやザザはユリッチが就任する以前から余剰戦力として見なされていた上、強力なライバルの加入がトドメを刺した形だ。

 

上記5名は恐らく冬のメルカートで放出リストに名前が記載される事になるが、なかなかチャンスの与えられないメルギム・ヴォイヴォダもここに加えなければならないかもしれない。ユリッチは右ウイングバックのポジションをウィルフリード・シンゴに一任しており、ヴォイヴォダはスタメン出場が今季は一度も無い状況。これに本人が不満を募らせる可能性も低くはないため、移籍の可能性も出てきそうだ。

 

アフリカ・ネーションズカップの影響

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来年1月に開催されるアフリカ・ネーションズカップ。今のところここにオラ・アイナウィルフリード・シンゴが参加する可能性がある。そうなればトリノは新年早々約1ヶ月の間、両ウイングバックのレギュラーを同時に失う事になってしまう。シンゴに関しては今年コートジボワール代表デビューを飾ったばかりという事もあり招集される可能性は五分五分だが、ナイジェリア代表常連のアイナは確実に呼ばれるはず。左サイドを1ヶ月間怪我がちなクリスティアン・アンサルディ1人で凌げるかどうかは正直疑問符が付くため、冬のメルカートでは補強が必要になるかもしれない。右はシンゴが招集された場合代役となるであろうヴォイヴォダのトリノ残留が確実になるが、場合によってはこちらも入れ替わりが起こり得ると言えそうだ。