トリノFC情報局

セリエAの古豪・トリノFCの情報を掲載しています。コメントお待ちしてます!

Eterna Amistad 〜ユニフォームに刻まれた永遠の絆〜

セリエA第8節、ホームにジェノアを迎えたトリノは2-1で勝利を収めた。前節ナポリ戦の試合運びが嘘のように酷いパフォーマンスを見せたトリノは、クリスティアン・アスラニのクリアミスにより前半開始早々モルテン・トルスビーに先制ゴールを許す。しかしハーフタイムのロッカールームでの指揮官マルコ・バローニのブチギレや早い段階での選手交代が功を奏し、後半パフォーマンスを向上させ見事な逆転劇で試合終了のホイッスルを聞くことに成功している。

 

正GKフランコイスラエルの負傷によりゴールマウスに立ったアルベルト・パレアーリのスーパーセーブにより辛うじて勝点3を獲得した印象が強いが、今までのトリノなら確実に落としていたゲーム。内容は悪くとも勝利できたことが重要だろう。このいい雰囲気のまま2週間後のデルビー・デッラ・モーレを迎えたいところだ。

ギジェルモ・マリパンの完璧なボレーシュートはまさにゴラッソだった

お披露目された今季のサードユニフォーム

ジェノア戦でデビューとなった今季のサードユニフォーム。黒を基調としたカラーリングに銅色のセカンドカラーが非常にモダンな印象を与える最高にかっこいい仕上がりとなっている。

 

こちらのユニフォーム、首元に注目するとEterna Amistadという文字、襷模様にトーロのシンボルが記されている。なんとなくイタリア語っぽくない語感であるが、これはスペイン語。永遠の友情という意味だ。そしてこの襷模様はアルゼンチンの名門リーベルプレートのシンボルである。

今季のサードユニの首元。アルゼンチンの名門リーベルプレートとの絆を表している

トリノリーベルプレート、一体どんな絆で結ばれているのか。その絆の歴史は、75年ほど前にまで遡る。

 

1940年代、イタリア最強のクラブだったトリノ。彼らが残した実績は、セリエA5連覇を達成するなど今も伝説として語られている。しかしそんな彼らの伝説は、スペルガの悲劇と呼ばれる悲惨な事故によって突如として幕を下ろした。

凄惨な飛行機墜落事故によって選手・スタッフのほぼ全員を亡くし悲しみのどん底に突き落とされたトリノだったが、そんな彼らに手を差し伸べたクラブがあった。それがアルゼンチンの名門リーベルプレートである。

 

当時のリーベルの会長ヴェスプシオ・リベルティは、事故の犠牲者を追悼するためのチャリティマッチトリノに提案。事故から約3週間後の5月26日に行われたこの試合はリーベルの本拠地エスタディオ・モヌメンタルに約6万人もの観衆を集めることとなり、チケット代等の収益全額が事故の犠牲者遺族へ寄付されたのである。両クラブの絆は、この出来事から生まれた。

 

Eterna Amistadは過去のシーズンにも

リーベルとの友情を表現したユニフォームは今季が初めてではない。セカンドユニフォームやサードユニフォームにリーベルの象徴である襷模様を採用したり、永遠の絆を表現するデザインを定期的に取り入れている。

21/22のアウェイユニフォーム。過去にもこのような襷模様を何度も採用している

また、リーベルプレートトリノに対する友情をセカンドユニフォームのカラーをグラナータ(エンジ色)にすることで表現している。

リーベルもセカンドユニフォームにエンジ色を継続的に採用

70年以上も前から続く硬い絆で結ばれたトリノリーベルプレート。近年この両チームが親善試合を組むことは無くなったが、グランデ・トリノの歴史を辿るべくトリノまでセリエAの観戦に訪れるアルゼンチン人サポーターも非常に多い。スペルガ大聖堂の裏に建立された慰霊碑にもリーベルのタオルマフラーが飾ってある。

 

Eterna Amistadで結ばれた両クラブの絆。国や大陸は違えど、あなたの応援するクラブにもそういった存在がいるかもしれない。ぜひ調べてみてはいかがだろうか。

成功への鍵はブラッチェット・デストロ

25/26セリエA第7節、ホームに王者ナポリを迎えたトリノはジョヴァンニ・シメオネの恩返し弾により1-0で勝利。見応えのあるゲーム内容と納得のパフォーマンスで、監督交代を要求していた我々ティフォージを黙らせたナポリのミスにも助けられた部分は大きかったが、期待感の全くなかったこれまでの試合での攻撃や自動ドアのような守備はもはやなく、マルコ・バローニのチームは徐々にそのポテンシャルを見せ始めたと言えそうだ。

 

ようやく光が見え始めたトリノにどんな変化があったのか。ピッチ上での具体的な変化と継続へのヒントを見ていこう。

 

 

バローニはコンテに相性良し。2009年から続く不敗神話を更新した

Cambiamento del modulo

modulo(フォーメーション)のcambiamento(変更)。4-2-3-1に始まり4-3-3、3-4-2-1などベース布陣が定まらず半ば暗中模索状態だったバローニ・トリノナポリ戦の勝利を受け最適解が見つかった!と判断するには時期尚早とも思えるが、この試合でバローニが採用した流動的な3-4-1-2は、ここ2ヶ月の戦いの中で最もポジティブな印象を与えたと言って差し支えないだろう。

0-5と惨敗した第1節インテル戦のスタメン

プレシーズンから一貫して採用していた4バックは人選を問わず攻守両面で安定感に乏しかったが、第3節ローマ戦から3バックへ変更し守備面は改善の傾向にあった。あとは攻撃面というところだったが、ウイングのニコラ・ヴラシッチやシリル・エンゴンゲは孤立し個での打開に頼らざるを得ない状態に陥っていた。チェーザレ・カザデイなどといった前線への飛び出しを得意とする中盤の選手もうまく絡めずチームとして機能不全に。そもそもサイドが本職ではないヴラシッチは非常に窮屈そうに見えた。

1-0で勝利した第7節ナポリ戦のスタメン

悪夢のインテル戦からスタメンが実に6人入れ替わっている事実も当然のことながら、チームとして取り組むことにも変化が。ズバリ、オフザボールの動きである。ポジションチェンジが少なく相手に読まれやすい陣形で攻撃を試みていた4バックの時と比べ、ナポリ戦の3-4-1-2は非常に流動的に押し上げやスライドを行なっていた。

 

得点は1のみであったが、幾度となくナポリ守備陣を混乱に陥れたフレキシブルなサッカーは確実に継続すべきものだ。しかし継続へのヒントは一体どこにあるのだろうか。

 

La chiave è braccetto destro

イヴァン・ユリッチのトリノを覚えているだろうか。あのチームのボール保持局面において鍵となっていたのが当時のキャプテン、リカルド・ロドリゲスであったことは以前も当ブログにて触れたことがある。

giapponegranata.hatenadiary.com

当時のロドリゲスのポジションはbraccetto sinistro(ブラッチェット・シニストロ。"左腕"の意)。3バックにおける左を指すイタリア語の表現である。一方バローニの3バックにおいて鍵となりそうなのは逆のサイド。braccetto destro(ブラッチェット・デストロ。右腕の意)である。

 

ナポリ戦でその役割を見事に果たし、今後の浮上の鍵となるのはユリッチ就任前のロドリゲス同様、今夏放出候補だったアドリアン・タメーズだ。中盤が本職の彼がトリノの流動的なサッカーを支えていくことには早くも確信の空気感がある。

 

下の画像はナポリ戦の平均ポジション。タメーズはボール保持時機を見て何度も最終ラインを離れた。これによって全体が右にスライドし前方のカザデイも持ち場を離れ前線に参加、トレクァルティスタのヴラシッチも幾度となく左後方に落ちてビルドアップに参加したりと、時に3-5-2、時に4-2-2-2とトリノはチームとして非常に流動的なポジションチェンジをしていたことが分かる。事実、シメオネの得点も持ち場を離れて攻撃参加したタメーズのパスが起点となった。

ブラッチェット・デストロのタメーズは時に1.5列目として振る舞った

タメーズの存在により、不調が続くカザデイもパフォーマンスの向上が見込まれる。得意ではないビルドアップの局面での貢献を強いられていたこれまでと比べ、タメーズの押し上げで得意なゴール前への飛び出しにより専念できるからだ。ロングボールのターゲットとしても、より前目の位置でこの役割を担えることはチームにとっても利点が多い。

 

ナポリ戦で見えた光。今後のトリノにおいて、この流動的3-4-1-2の鍵を握るのはブラッチェット・デストロのタメーズで間違いない。

 

スフールスに起きた悲劇。戦線復帰は...

ペル・スフールスは全てを兼ね備えたセンターバックだ。一対一の強さ、空中戦、ビルドアップ、攻撃参加、守備の統率力。セリエA最優秀DFの実績を提げてユヴェントスへと旅立ったグレイソン・ブレーメルの後釜として、トリノでこれ以上ない存在感を示していた。

 

しかし2023年10月22日、彼のキャリアは突如としてブラックアウトする。オリンピコ・グランデ・トリノでのインテル戦にて、前十字靭帯を損傷する大怪我を負ってしまったのだ。ちょうどその日から2年が経とうとしている今となっても、背番号3を背負うオランダ人DFはピッチに戻れていない。

 

スフールスに一体何が起きているのか。選手生命のそう長くないサッカー選手という職業において、失われたこの2年間はあまりにも大きすぎる。彼がトリノのユニフォームに袖を通して再びピッチに立つ日は来るのだろうか。残念だが現時点でその未来は全く見えない。

戦線離脱から2年。今もフィラデルフィアで懸命にリハビリを続けている

 

延期を繰り返す復帰時期

負傷直後彼の手術を担当したステファノ・ザッファニーニ医師は術後、Tuttosportの取材に応じ以下のように語っている。

(2024年)7月のプレシーズンに向けて、リスクを冒さずゆっくりと回復を目指すべきだろう。チームドクターのベルトーロ氏ともその点においてすぐに合意している。

当初の復帰予定時期はザッファローニ医師のコメントからも分かる通り、長く見積もって翌年の7月ということだった。しかし当初の予定では既に戦線復帰しているはずだった2024年8月、スフールスはロンドンで再び膝にメスを入れることとなってしまった。

 

通常1年弱かけて回復するはずの怪我で約2年間の離脱。治療プロセスにおいて発症した合併症、リハビリプログラムの設計ミス、復帰時期をめぐる選手とクラブの意見の不一致など、彼を取り巻く状況は様々な憶測を呼んでいる。

 

迫る契約満了

現行契約が来年の6月までとなっているスフールスは、年俸€180万のサラリーを受け取っている。人件費に多くの予算を費やすトリノスカッドの中では、実はそこまで上位の数字ではない。しかし、復帰の目処が立たない選手に払い続ける金額でも当然ないわけで、再びピッチで戦う姿を見られないまま契約満了を迎える可能性も大きい。

 

しかし彼の契約には実は1年の契約延長オプションが付帯している。今後の回復プロセスの進行度によってこれが行使されるか、されないか。はたまたこのままキャリアに幕を下ろすという悲しい結末を迎えてしまうのか。我々ティフォージにできること、それは希望を持ってリハビリを続けるスフールスを信じて待つのみだ。

新シーズンのポジション争いはこんな感じ

25/26シーズンはまさかの監督交代からスタートした。

 

浮き沈みの激しいチームではあったものの、限られた戦力からある程度戦える集団を構築したパオロ・ヴァノーリ前監督だったが、ウルバーノ・カイロ会長の暴走により解任。トリノはマルコ・バローニを新監督に据え再スタートを切っている。しかしここまでの戦いはポジティブなものなのか。それともネガティブな印象を与えているのか。ティフォージなら誰もが後者だろう。第6節ラツィオ戦のパフォーマンスは及第点をつけられるものだったため一旦は首が繋がったバローニだが、セリエA監督解任レースにおいてはいまだCL争いを演じていることは疑いようがない。

 

バローニがあとどれくらいトリノのベンチに座っているかかなり不透明ではあるが、今回はここまでの戦いで見えてきたポジション争いの現状を整理していく。

早くもクラブから"余命宣告"を受けたとされるバローニ

 

 

ポジション争い

 

GK

トリノの新守護神はウルグアイ代表でも正守護神の座を狙う

 

ナポリへとステップアップしたヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの後釜として選ばれたのは元ユヴェントスU23フランコイスラエル。派手さはないがセービングも比較的安定しており、ヴァンヤほどではないもののキックの精度も悪くないといった印象だ。まだ25歳と若く伸び代も残しているため、ひとまずはポジション確保と見て良さそうだ。

 

ベンチにはアルベルト・パレアーリとミハイ・ポパが控えているが、前者はコッパ・イタリア2回戦のピサ戦で好パフォーマンスを披露し、後者もプレシーズンマッチで評価を上げた。レギュラー奪取は困難だが、彼らの存在がGKの層を厚くしていると言えるだろう。

 

DF

フランクフルトから買取OP付ローンで加入したエンクンク

センターバックで最も序列が高いのはギジェルモ・マリパン。プレシーズン初頭はバローニからの評価が低く3番手ほどの扱いであったが徐々に信頼を得ていった形だ。マリパンに続くヒエラルキーはサウール・ココ、アルディアン・イスマイリ、アダム・マジーナの順番となっており、メイン戦術が3バックか4バックか不確定な状況もあってメンバー構成は比較的流動的な印象だ。サゾノフ...

 

サイドバック/ウイングバックは右がマルクスペデルセンがファーストチョイスで、左がニエル・エンクンク。ペデルセンは元々持っていた走力に加え今季はキックの精度も心なしか上がっているような印象で、少しずつポテンシャルを発揮し始めている格好だ。フランクフルトから加入したエンクンクは一言で言うと左利きのウィルフリード・シンゴ。突破力やクロスの精度で早くもティフォージの心を掴んでおり、前節ラツィオ戦でも見事な突破からチェ・アダムスのゴールをアシストしている。

 

一方でヴァレンティーノ・ラザロやクリスティアーノ・ビラーギにはいいプレーがほとんどなく立場は非常に苦しい。夏にセリエB行きを拒否したアリ・デンベレにも自らの愚かな選択のツケが回ってきているという状況だ。

MF

低調なプレーが続くカザデイはここ半年で評価が急落

メディアーノの序列トップはチェーザレ・カザデイ。パフォーマンスはプレシーズンから全く良くはないが、チーム随一のダイナミズムを買われてポジションを守り続けている。次点がインテルから加入したクリスティアン・アスラニで、それに続くイヴァン・イリッチ、アドリアン・タメーズがほぼ横一線といったところだ。

 

コンディションが全く整わないファウスティーノ・アンジョリンも半ば蚊帳の外で、若手のエミルハン・イルカンやグヴィダス・ジネイティスにはデュエル面で不安がありバローニからあまりチャンスを貰えていない。MFのセクションは全員が安定感に乏しい状況で、上記の通り絶対的な存在がいない状況。採用する戦術によって起用される選手は変わっていきそうだ。

 

FW

8年越しのトリノ加入が実現したチョリート

トレクアルティ(1.5列目)はシリル・エンゴンゲがバローニ本人のリクエストした補強ということもあって序列トップ。徐々にコンディションを上げてきており得意のドリブルにもキレが見られるようになってきた。一方ポジションをサイド寄りに移されたことでパフォーマンスの低下が著しいニコラ・ヴラシッチはやや評価を下げている。キープ力や運動量は流石だが、ゴール前で決定的な仕事ができていないため、やはりピッチ中央寄りでプレーさせてあげたいところ。

 

トゥールーズから加入したザカリア・アブクラルはいまだセリエAの水に馴染めておらず、レギュラー奪取はしばらくお預けだろう。ボールを持ってもどこかバタバタしておりリズムを掴めていない。トゥールーズでは攻撃の核だったため能力に疑いの余地はないが、イタリアに慣れるにはもう少し時間が必要か。負傷から復帰して間もないがプリマヴェーラ出身の若手アリウ・エンジエは比較的コンディションが良く、イルカンやジネイティス同様もう少しチャンスを与えても良さそうだ。

 

チェントラヴァンティ(最前線)はジョヴァンニ・シメオネが早くもチームにフィット。組み立ての局面だけでなくゴール前でも相手の脅威となっている。途中出場がメインのチェ・アダムスもパフォーマンス自体はレギュラークラスだが、2トップを頑なに採用しないチーム事情によってベンチに追いやられている格好だ。カピターノのドゥヴァン・サパタは長期の離脱から復帰はしているものの、トップフォームではないとのことでほとんど出場なし。フィジカル的にどういった状態なのか不明だが、レギュラーの座を失ってしまったことは間違いない。

 

3-4-2-1なら序列はこんな感じか

補強ポイントは明白

 

もともと質も量も担保できていないが、アフリカネーションズカップが開催される今季、さらに補強の必要性は増している。ココ、マジーナが召集された場合本職はマリパンとイスマイリのみとなるセンターバックのセクションだ。仮に補強しなかった場合デンベレやビラーギをここで使わざるを得ないという地獄のようなシナリオが待っている危機的状況である。他のセクションは頭数は足りているが質が低い状態。しかしセンターバックは質どころか頭数すら足りていない。ここに補強がないとすれば、確実に残留争いにおいて苦しい戦いを強いられるだろう。

 

苦しい出だしとなったバローニ・トリノ。まずはパフォーマンスの継続性を見出し、監督解任レースから抜け出したい。

【冬のカルチョメルカートまとめ】ルキッチが去りイリッチが来た!

成立した取引

獲得

DF

アンドリュー・グラヴィヨン ← スタッド・ランス(買取OP付ローン。オプション料€350万。10試合出場で買取義務化)

 

MF

イヴァン・イリッチ ← エラス・ヴェローナ(買取義務付ローン。€1600万)

ロナウドヴィエイラサンプドリア(買取OP付ローン。オプション料€100万)

 

放出

DF

クリスティアン・チェレージア → メッシーナ(ドライローン。ポテンツァとのローン契約を打ち切りメッシーナへ)

 

MF

サシャ・ルキッチ → フルアム(完全移籍。移籍金€1000万)

エミルハン・イルカン → サンプドリア(ドライローン)

マシュー・ガーベット → NACブレダ(買取OP付ローン。金額不明)

クリスティアン・ホルヴァート → ケチュケメート(ドライローン。デブレツェニとのローン契約を打ち切りケチュケメートへ)

 

FW

シモーネ・エデラ → ポルデノーネ(完全移籍。金額不明)

ラド・アカライア → エスペランジュ(ドライローン。REヴィルトンとのローン契約を打ち切りエスペランジュへ)

 

ルキッチ放出は痛手だがイリッチとヴィエイラの獲得で選手層に厚み

トリノとの現行契約が2024年までとなっているユリッチは、契約延長に同意する一つの条件としてメルカートでのリクエストに応えること」を要求。これに応じる形でトリノマルセイユとの激しい争奪戦の末イリッチを獲得した。マンドラーゴラの退団以降チームに欠けており、尚且つユリッチもしばらく「欲しい」と言い続けてきた"左利きの中盤"を最高の形でチームに加える事に成功している。

 

さらにはサンプドリアから非常に安い金額でヴィエイラを迎え入れる事にも成功しており、ゲームメイカー系だけでなくいわゆる労働者系の中盤も1枚加え選手層に厚みが出た形だ。センターバックではズィマの長期離脱が決まった事を受けてスタッド・ランスからグラヴィヨンを電光石火の動きで確保。移籍金や移籍形態を鑑みるとシーズン終了後の退団が決定的なジジの後釜という意味合いもありそうだ。

 

退団が決まった選手ではやはりチーム最古参だったルキッチの名前を挙げるべきだろう。2016年にミハイロヴィッチに見出される形でイタリアへとやって来たルキッチはレバンテへのローン修行なども含めて約6年半トリノに在籍。本格的にレギュラー獲得に至ったのは背番号10を与えられた2年前だったが、献身性と高い戦術眼を活かし指揮官が何度も替わったトリノでも常に貴重な戦力であり続けてくれた。長い間ありがとう。プレミアリーグで暴れてこい、サシャ!

全てのトレーニングや試合において、このユニフォームへの誇りと犠牲の心をもってやってきた。僕のトリノでの旅は今日終わるね。少しだけ大きくなったただの少年としてここに来たけど、1人の男としてここを去れる。それはスポーツの面だけじゃない。人間として、僕はここで大きく成長する事ができたよ。トリノでの日々の事は全て鮮明に覚えている。最初のトレーニングから最後の試合まで全部ね。デビュー戦やユヴェントスとのデルビーでのゴール、背番号10のユニフォームやキャプテンマークも。この素敵な旅路を特別なものにしてくれた全ての人に、チームメイトに、そしてサポーターにありがとうと言いたい。これからもトリノは僕の第二の故郷であり続ける。今まで本当にありがとう。センプレ・フォルツァ・トーロ!

 

サシャ・ルキッチ -Instagramより

 

噂に挙がっていたが移籍が実現しなかった選手たち

退団の噂が最も騒がれた選手はベリシャ。ユリッチも公の場でベリシャから退団希望を伝えられた旨を明かしており、セリエAでの招集メンバーからも外れたりしており、サレルニターナレッジーナなどへの移籍が噂されたがまさかの残留。本人としても移籍が実現しなかった事を悔やんでいる事だろう。シーズン終了後は間違いなく新天地を求めそうだ。他にはバイェイェレッジーナへのローン修行が確実と見られていたがこちらはラザロの長期離脱を受けてキャンセルに。あとはセリエB複数クラブやリーグアン方面からのオファーが届いたとされるセックに関してもトリノが放出を望まず残留。ラツィオが獲得に動いていたサナブリアもペッレグリの離脱や代役確保が間に合わない事などが理由でトリノに残っている。

獲得候補の中で取引実現に最も近づいていたのはヴェローナヒエン。イリッチとのセットで獲得する事が濃厚と報じられたが結局は選手側との合意に至らず。市場最終日にヒエンの獲得オペレーションから撤退したトリノはグラヴィヨンを代わりに迎え入れている。攻撃陣補強のアイデアとしてしばらく名前が出ていたショムロドフシェディラなどもクラブ間合意を見出せず取引成立には至らなかった。

【2022/2023選手紹介】La rosa del Torino FC

 

コーチングスタッフ

監督 イヴァン・ユリッチ / Ivan Jurić

国籍/代表歴 : 元クロアチア代表

生年月日 : 1975/8/25

利き足 : 左

昨季からトリノの指揮官に就任すると、残留争いに巻き込まれていた当時のチームに魂を吹き込み復活させた名将。3-4-2-1×マンツーマン×ハイプレスをブレることなく徹底する事で知られ、試合中は基本的に地面に片膝をついて動向を見守る。ヴァニャーティSDとの喧嘩動画が話題となったが、後に笑いながら「あれはワザと仕掛けた」と激白するサイコパスでもある。現役時代は攻守に貢献するセンターハーフとして主にクロトーネやジェノアで活躍。

 

助監督 マッテオ・パーロ / Matteo Paro

国籍/代表歴 : イタリア

生年月日 : 1983/3/17

利き足 : 右

ユリッチ不在時に代役として指揮官を務める副官。ユリッチの右腕となってから5年目を迎えており、彼の哲学は熟知している。現役時代はカルチョスキャンダルの罰則によりセリエBに降格したユヴェントスセンターハーフのレギュラーとして活躍し、クラブのA復帰に貢献したというなんとも消したい、薄暗い過去を持つ。ユリッチとはジェノア時代からコンビを組んでいるが、現役時代も共にプレーした経験がある。

 

ゴールキーパー

1. エトリト・ベリシャ / Etrit Berisha

国籍/代表歴 : アルバニア代表

生年月日 : 1989/3/10

利き足 : 左

過去にラツィオアタランタ、SPALなどでプレーしセリエAの舞台も実に10年目を迎えるベテラン。昨年の加入当初は第2キーパーだったが、晴れてプレータイムを手にした昨季後半も安定感に乏しいパフォーマンスを見せたためベンチに逆戻りしてしまった。飛び出しのタイミングは非常に素晴らしいが若干ポカが多い。今季も負傷離脱により少し出遅れてのスタートとなる。

 

32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ / Vanja Milinković-Savić

国籍/代表歴 : セルビア代表

生年月日 : 1997/2/20

利き足 : 右

昨季後半こそベリシャにポジションを譲ったものの、根気強く起用された結果継続性と安定感を手に入れつつある。元々持っていた正確かつ飛距離の長いフィード力に加え、セービングに関しても一段階成長した印象だ。改善点として挙げられるのはカバーリングルーズボールに対しての飛び出しを躊躇するシーンが散見されるため、今季はもう少し判断力を上げて思い切りの良さを見せたい。

 

89. ルカ・ジェメッロ / Luca Gemello

国籍/代表歴 : イタリア

生年月日 : 2000/7/3

利き足 : 右

アンダー世代の代表歴を持つ下部組織出身のシュートストッパー。ミリンコヴィッチ=サヴィッチがコロナウイルス感染により欠場した昨季第21節フィオレンティーナ戦でセリエAデビューを果たし、見事クリーンシートを達成している。ベリシャも「反射神経が素晴らしい」と実力を評価しており、将来が楽しみな逸材だ。ローン修行の噂もあったが今夏はとりあえず残留。

 

センターバック

3. ペル・スフールス / Perr Schuurs

国籍/代表歴 : オランダ

生年月日 : 1999/11/26

利き足 : 右

アヤックスからの完全移籍で加入。イタリアでのデビュー戦となった第3節クレモネーゼ戦では空中戦全勝&デュエル勝率9割という破壊的なスタッツを残し、セリエAのアタッカーたちに宣戦布告している。フィジカルを活かした守備はもちろん、さすがアヤックス産だけあって足下の技術が非常に高い。ズバッと通す縦パスはユリッチのトリノにおいても大きな武器となるだろう。同い年だがデリフトの後継者として注目を集めた。

 

4. アレッサンドロ・ブオンジョルノ / Alessandro Buongiorno

国籍/代表歴 : イタリア

生年月日 : 1999/6/6

利き足 : 左

プリマヴェーラからの生え抜きで元アッズリーニ。センターバックの真ん中と左でプレーできるが、今季は主に真ん中で起用されブレーメルの穴を完全に埋めている。セリエAここまででインターセプト数1位、空中戦勝数3位を記録している事実はロベルト・マンチーニの目にも留まっており、アッズーリ招集への夢ももはや現実的なものとなってきた。スフールスとのハイレベルなレギュラー争いにも注目だ。

 

6. ダヴィド・ズィマ / David Zima

国籍/代表歴 : チェコ代表

生年月日 : 2000/11/8

利き足 : 右

セリエA2年目を迎えた有望株。昨季はイタリア初挑戦ながらも20試合に出場しており、ユリッチからも一定の評価を得ている。若くしてチェコ代表で既に10キャップ以上を数え、国際舞台での経験も豊富だ。プレシーズンに負傷しやや出遅れてのシーズンインとなったため、しばらくはベンチから試合を眺める事になりそう。能力的にはレギュラーを狙える器のため、持ち前の真面目な性格で来るべきチャンスに備えたい。

 

13. リカルド・ロドリゲス / Ricardo Rodríguez

国籍/代表歴 : スイス代表

生年月日 : 1992/8/25

利き足 : 左

左のセンターバックで不動の地位を築く。戦力外になりかけていた2シーズン前が今や嘘のように欠かせない存在となっている。上背はそこまで無いが、読みの鋭い守備と機を見た攻撃参加、高いテクニックを活かしたプレス回避やビルドアップなど、ユリッチのトリノにおいて彼の存在はもはや戦術の一部だ。紆余曲折あってキャプテンマークを巻く事にもなり、その豊富な経験で若きチームを牽引する。

 

26. コフィ・ジジ / Koffi Djidji

国籍/代表歴 : コートジボワール

生年月日 : 1992/11/30

利き足 : 右

出足の速いインターセプトや強靭なフィジカルを活かしたハードチャージが武器。トリノでのシーズンは5年目となる。2シーズン前監督人事の影響もあって戦力外となり一度クロトーネにローンで放出されてしまうが、それ以外のシーズンは基本的にレギュラークラスとしてチームに貢献。今季も右のセンターバックでレギュラー候補の筆頭だ。昨季はリゴーレを相手に献上するミスを通算で3度犯したものの、それでもユリッチからの信頼は変わらない。

 

ウイングバック

2. ブライアン・バイェイェ / Brian Bayeye

国籍/代表歴 : フランス

生年月日 : 2000/6/30

利き足 : 右

セリエCのカタンザーロで年間最優秀選手に選ばれ、トリノにステップアップした。身体能力を全面に押し出したプレーが特徴で、運動量とクロスの精度で勝負する右ウイングバックだ。未だセリエAデビューの機会は訪れていないが、コッパ・イタリア第1ラウンドのパレルモ戦では途中出場し右のセンターバックでテストされている。まだまだユリッチを説得するには至っておらず、冬のローン修行も視野に入ってくるか。

 

17. ウィルフリード・シンゴ / Wilfried Singo

国籍/代表歴 : コートジボワール代表

生年月日 : 2000/12/25

利き足 : 右

爆発的なスピードと大胆かつトリッキーなドリブルで右サイドを切り裂く。速すぎてティフォージからフレッチャグラナータ(イタリアの特急電車フレッチャロッサと掛けている)と呼ばれ親しまれている。ウイングバックに超攻撃的な姿勢を求めるユリッチからは「シーズン5得点」とリクエストされており、アシストも含めゴールに直結するプレーが求められる。ピッチを出るとインタビューで見せるシャイボーイっぷりがギャップ萌え必至。

 

19. ヴァレンティーノ・ラザーロ / Valentino Lazaro

国籍/代表歴 : オーストリア代表

生年月日 : 1996/3/24

利き足 : 右

アンサルディの退団で層が薄くなったウイングバックの新戦力として、インテルからの買取オプション付ローンで加入。イタリア上陸後は持ち前のドリブル突破が鳴りを潜めており評価を落としているが、ユリッチ曰く「改善できるポテンシャルはある」。本人もトリノでの再出発に大きな意欲を見せているが、第4節アタランタ戦でリゴーレを献上しいきなり向かい風に立たされている。

 

27. メルギム・ヴォイヴォダ / Mërgim Vojvoda

国籍/代表歴 : コソヴォ代表

生年月日 : 1995/2/1

利き足 : 右

フットサル選手のような繊細なテクニックで相手を翻弄する。本職は右サイドだがユリッチの手によって昨季左サイドにコンバートされ、トリノでのレギュラーポジションを手にした。兄貴分だったアンサルディから受け継いだキックフェイントからのクロスは、分かっていても止められない彼の大きな武器。トリノでの練習初日に間違えて「メグリム」と呼んできたユリッチを恨んでいる。

 

34. オラ・アイナ / Ola Aina

国籍/代表歴 : ナイジェリア代表

生年月日 : 1996/10/8

利き足 : 右

両サイドをこなせる貴重な駒として重宝されるテクニシャン。ジジと同じく加入後5年目を迎えた。相手の重心をズラして守備を剥がすドリブルが武器で、味方との変幻自在なポジションチェンジで崩すプレーも得意。しかし守備面に不安があり好不調の波も激しいため、レギュラー奪取には至っていない。ロッカールームではDJを務めており、いつもヒップホップを爆音で流している。

 

センターハーフ

10. サシャ・ルキッチ / Saša Lukić

国籍/代表歴 : セルビア代表

生年月日 : 1996/8/13

利き足 : 右

19歳の時トリノに加入し今年で7年目を迎えるチーム最古参。攻守において質と量を保証する現代的なそのプレースタイルは、トゥットカンピスタ(万能型ミッドフィールダー)と表現される事もしばしば。ベロッティの後任キャプテンに任命されていたが、今季開幕直前にクラブと契約延長交渉の件で一時的に対立し練習をボイコットする事件を引き起こしたため、落とし前としてアームバンドをロドリゲスに譲り渡している。

 

14. エミルハン・イルカン / Emirhan İlkhan

国籍/代表歴 : U-21トルコ代表

生年月日 : 2004/6/1

利き足 : 右

18歳という年齢ながら前所属ベシクタシュでの契約にバイアウト条項が盛り込まれていた事からも分かる通り、トルコで大きな期待を集める超新星。足下の技術に絶対的な自信を持っており、リスクの高いコースのパス選択や積極的にドリブルで剥がそうとする思い切りの良さがストロングポイント。トリノ移籍が決まった直後、ベシクタシュの会長が「電話で慰留を試みた」とクラブ残留を直接説得しようとした事を明かした。

 

21. ミシェル・アドーポ / Michel Adopo

国籍/代表歴 : フランス

生年月日 : 2000/7/19

利き足 : 右

下部組織時代の4年前トリノに加入した大型センターハーフ。アンダー世代でのフランス代表選出経験を持つ。プリマヴェーラ卒業後ヴィテルベーゼへとローン修行に出向き評価を上げ、今季トップチームでのチャンスが巡って来た。恵まれた体躯を活かしたデュエルの強さはまさにユリッチ好み。プレシーズンではセンターバックでもテストされ及第点の出来を見せたため、今後新境地を開拓する可能性もあり得そう。

 

28. サムエレ・リッチ / Samuele Ricci

国籍/代表歴 : イタリア代表

生年月日 : 2001/8/21

利き足 : 右

イタリア国内のみならずプレミアリーグの強豪などからも注目されていたが、1月に新天地としてトリノを選んだ若き司令塔。ピッチ全体を俯瞰できる視野の広さやパス精度、展開力に守備時の危機察知能力など長所を挙げればキリが無い。前所属エンポリでは真逆と言ってもいい戦術の下でプレーしていたためユリッチのサッカーへの適応は時間を要すると予想されたが、瞬く間にチームにフィットし不動の地位を築いている。

 

77. カロル・リネッティ / Karol Linetty

国籍/代表歴 : ポーランド代表

生年月日 : 1995/2/2

利き足 : 右

2年前の加入以降本来の力を発揮出来ていなかったため放出候補に挙げられたが、前述のルキッチ事件の際代役として出場した第1節モンツァ戦で見事なパフォーマンスを見せ、一気にレギュラー候補となった。豊富過ぎる運動量と黒子役に徹する事の出来る献身性が大きな魅力。完璧なチームプレイヤーであり、鬼軍曹として知られるユリッチですら「練習で手を抜く彼を見た事が無い」と称賛するほど。

 

シャドー

7. ヤン・カラモー / Yann Karamoh

国籍/代表歴 : コートジボワール

生年月日 : 1998/7/8

利き足 : 右

フランスとの二重国籍を持っており、アンダー世代ではフランス代表としてプレー。19歳の時インテルに引き抜かれ将来を嘱望されたが、ローン修行先のボルドーで態度の悪さを理由に干されるなど素行不良が目立ち未だ才能を開花させられていない。トリノとは1年契約を結んでおりクラブを納得させれば自動的に契約が延長されるという契約形態のため、一刻も早くコンディションを上げてユリッチにアピールしたい。

 

16. ニコラ・ヴラシッチ / Nikola Vlašić

国籍/代表歴 : クロアチア代表

生年月日 : 1997/10/4

利き足 : 右

プレミアリーグからやって来た補強の目玉。開幕から3ゴールを挙げる活躍で早くも攻撃の中心的存在となっており、クラブは既に買取に動いているとの情報も。「ユリッチの指導を受けたかった」と語っており、同胞指揮官の存在がトリノ加入を後押しした形だ。とにかくキープ力が高く、簡単にボールを失う事はまず無い。背番号は8を希望していたが加入当初セグレが着けていた(その後パレルモへ移籍)ため倍の数字を選択。

 

23. デンバ・セック / Demba Seck

国籍/代表歴 : セネガル代表

生年月日 : 2001/2/10

利き足 : 左

手足が非常に長く、大きなストライドを活かしたドリブル突破が長所。ユリッチからの期待は非常に大きく第6節インテル戦では先発出場を果たしている。フィニッシュ精度の低さが現状の課題だが、プレータイムを重ねていくにつれて改善されてくるはず。SPAL時代才能を見出したヴァニャーティSDにはスパイクを買ってもらった過去があり、今も感謝していると語っている。感情が顔に出やすいところがチャームポイント。

 

36. マシュー・ガーベット / Matthew Garbett

国籍/代表歴 : ニュージーランド代表

生年月日 : 2002/4/13

利き足 : 右

プリマヴェーラ卒業1年目。弱冠20歳という年齢ながら母国ニュージーランドの代表では既に常連となっている。3-4-2-1のフォーメーションにおいてはシャドーが適正だが、本職はインサイドハーフ。中盤でゲームメイクに参加しながら機を見てゴール前に飛び出し得点機に絡む。未だセリエAでの出場経験は無いが、ローン修行に出さずチームに残す道を選んだクラブの判断は期待の表れ。先輩たちのプレーからどれだけ吸収出来るか。

 

49. ネマニャ・ラドニッチ / Nemanja Radonjić

国籍/代表歴 : セルビア代表

生年月日 : 1996/2/15

利き足 : 右

ボールを持ち次第まずは仕掛けるドリブル小僧。闇雲に仕掛けているようにも見えるが、独特なリズムから繰り出されるドリブルはチーム最強とも言える切れ味を誇っており、成功率も非常に高い。過去数シーズン負傷離脱に悩まされコンスタントなプレータイムを得ておらずコンディションが懸念されたが、トリノ加入後は軽快な身のこなしで好パフォーマンスを連発しており特に問題は無さそうだ。

 

59. アレクセイ・ミランチュク / Alexey Miranchuk

国籍/代表歴 : ロシア代表

生年月日 : 1995/10/17

利き足 : 左

アタランタから加入したチャンスメイカー。繊細な左足のテクニックは創造性に富んでおり、得点力もアシスト力も兼備している。ユリッチの師匠であるガスペリーニの下で2シーズンプレーしているためトリノの戦術への適応も問題は無い。開幕節モンツァ戦で先発出場しいきなり得点を挙げる活躍を見せたがその試合で負傷離脱。ただ復帰は間もないと言われており、第8節ナポリ戦あたりから復帰出来る見込みだ。

 

センターフォワード

9. アントニオ・サナブリア / Antonio Sanabria

国籍/代表歴 : パラグアイ代表

生年月日 : 1996/3/4

利き足 : 右

ワンタッチの技術の高さやスペースでボールを受け起点となれる動きなど、クレバーなプレーがストロングポイント。チャンスメイクの局面では元々貢献度は高かったものの、今季から背番号9を背負うため新たな得点源としての期待も掛かる。彼がペナルティエリア内で決定的な仕事が出来るかがトリノの今季を占うと言っても過言では無いため、まずはペッレグリからレギュラーを守り抜きたい。愛称はトニー。

 

11. ピエトロ・ペッレグリ / Pietro Pellegri

国籍/代表歴 : U-21イタリア代表

生年月日 : 2001/3/17

利き足 : 右

15歳での鮮烈なプロデビュー以降、度重なる負傷にキャリアを妨害されてきた若きストライカー。モナコミランでは結果を残せなかったが、未だに高いポテンシャルを秘めている事はピッチでのパフォーマンスからも見て取れる。自身をジェノアでプロデビューさせた監督であるユリッチの下、継続的にプレー出来ればその才能も花開くはずだ。よりチャンスメイカー寄りのサナブリアとは異なり純粋な9番タイプのため、今季は2人を使い分ける起用法が主となりそう。

 

直近5シーズンのベストイレブンを選出してみた

先日の第6節インテル戦では終了間際に失点しあと一歩のところで敗れたトーロ。ゴールを決めたブロゾヴィッチのマークを外してしまったイルカンがSNSで謝罪したが、18歳の若武者に非難のコメントは一切寄せられておらず、彼を励まし激励するティフォージの多さには個人的に感銘を受けた。そもそもあんな難しい試合のあんな難しいタイミングで投入された割には相当良くやったと捉えるべき。この経験を糧にした彼の更なる成長が楽しみだ。

このゴールによりトリノは0-1で惜敗したが、謝罪したイルカンには温かいコメントが寄せられた

さて今回は直近5シーズンでのトーロにおけるベストイレブンを筆者の独断と偏見で選出していく。それってあなたの感想ですよね的な記事になる事は間違いないため、ぜひコメントなどで意見を頂ければ幸いだ。対象となるのはシーズン途中でミハイロヴィッチからマッツァーリへと政権交代した17/18、そのマッツァーリと共に欧州の切符を掴みかけた18/19、更なる躍進への期待とは裏腹にまさかの残留争いに巻き込まれた19/20、新監督ジャンパオロの下一時は最下位に沈むも残留請負人ニコラに救われた20/21、そしてユリッチトーロが始動した昨季21/22。なおフォーメーションはマッツァーリやユリッチが採用し最もポジティブなイメージが多い3-4-2-1とする。早速ポジション別に見ていこう。

 

監督

ミハイロヴィッチマッツァーリ→ロンゴ→ジャンパオロ→ニコラ→ユリッチの順に変遷してきた監督事情。結果を出せなかったジャンパオロはさておき(割といいサッカーをしてはいた)、他の5人はそれなりの成果を上げているため難しい。ミハイロヴィッチ無くしてベロッティの爆発は有り得なかったし、ルキッチの才能を最初に見出したのも彼。ロンゴやニコラがいなければ恐らくトリノは今頃セリエBにいただろうし、眠れる雄牛に新たな命を吹き込んだのは紛れもなくユリッチだ。ただ結果という意味で見ればマッツァーリが最も大きな成果を挙げたと個人的には思う。

数ヶ月前「ブレーメルを育てたのは私だ!」と主張していたが実際その通りである

かつてナポリを強豪へと復活させたマッツァーリの下、18/19シーズンのトリノはカンピオナートを7位でフィニッシュ。勝点3制度が導入されて以降クラブ史上最多となる勝点63を獲得している。シーズンを通してわずかに7敗、失点数が37とセリエAで5番目に少ない強固な守備を形成し台風の眼となった。ヨーロッパリーグプレーオフウォルヴァーハンプトンに敗れ最終的に欧州の出場権を逃しはしたものの、近年では1番ワクワクさせられるシーズンだった事は間違いない。

 

ゴールキーパー

ここ5シーズンで正守護神を務めた期間が最も長く、そして最も多くのピンチを救ったシリグで満場一致だろう。足下の技術という弱点を除けば完璧なゴールキーパーであった。17/18のシーズン前にパリ・サンジェルマンからフリーで加入した事実は、ペトラーキ元SDの成立させた最もクレイジーな取引の一つとして記憶されている。

個人的にはシリグといえばこのユニフォームという印象だ

センターバック

"ムーロ・グラナータ(エンジ色の壁)”と呼ばれ鉄壁の守備陣を形成した18/19シーズンに、3バックの中央でディフェンスリーダーを務めたエンクルなくしてあの躍進は語れないだろう。芸術的かつ激しい守備技術もさる事ながら、DF離れした足下のテクニックも懐かしい。当時新加入だったブレーメルも後にインタビューで「エンクルから学んだ」と語っており、彼の成長にも一役買っている。そのエンクルの右でプレーしたイッツォも個人的には入れたい。超人的な一対一の強さを誇り相手アタッカーをファウルすれすれのタックルで吹き飛ばしたかと思えば、痛がり倒れる相手をさらに上から怒鳴りつけるというガラの悪さももはやカッコいいレベルであった。今夏ユヴェントスにスパイとして送り込まれたブレーメルについては語る必要もないだろう。昨季セリエA最優秀DF賞を受賞した彼を外すわけにはいかない。

マッツァーリトーロ守備の要エンクル。ブレーメルは彼の背中を見て育った

ウイングバック

まず名前が挙がるのはアンサルディ。ここ5シーズン全てにおいてトリノに在籍し、序列の下がった昨季以外は主力としてプレーした。高い成功率を誇ったドリブル突破や正確なクロスで幾多の得点機を演出。スタメンの座を失った昨季は練習のたびにヴォイヴォダにアドバイスを与え、彼の覚醒にも大きく貢献している。左は彼で確定だろうが、一方で右は少し難しい。17/18からの約2シーズン半ほどレギュラーを務めたデ・シルヴェストリも素晴らしかったし、現レギュラーのシンゴも捨てがたい。まあここは未来への期待も込めてシンゴを選出するとしよう。速すぎて「電車」と呼ばれ始めている彼の更なる暴れっぷりがこれからも楽しみである。

トリノの左サイドと言えばアンサルディ。彼がボールを持てば何かが起きた

センターハーフ

ここは「主力としてプレーした期間」と「残したインパクト・貢献度の大きさ」のどちらに重きを置くかで選出する選手が変わってきそう。期間という意味で言えば何でも屋のバゼッリと潰し屋のリンコンになるだろうが、インパクトや貢献度なら何でも屋二世のルキッチ、フィジカルモンスターのメイテや元主将候補のマンドラーゴラも入ってくる。ただ期間×インパクトとするなら鋼のフィジカルで中盤を耕し17/18シーズンからチームを支えたリンコンと、20/21シーズンのセリエA残留に大きく貢献し、買い取られていれば今もレギュラークラスだったであろうマンドラーゴラをピックアップしたい。まずリンコンは運動量とフィジカルを武器に中盤でセカンドボールの回収やフィルター役を担当し、前線へのリンクマンとしても機能。創造性という意味では凡庸だったが、マッツァーリによる18/19の「壊すサッカー」においては中心的存在となっていた。マンドラーゴラは20/21の冬に加入し、ニコラのチームで3-5-2のアンカーとして残留争いをしていたチームをピッチの中央から鼓舞。ユリッチにとって彼の展開力や球際の強さ、キャプテンシーは今でも恋しいことだろう。

次期主将候補だったマンドラーゴラ。彼の退団は大きな痛手だ

トップ下

数多くの負傷離脱さえなければトーロでキャリアを終えていたであろうファルケがまず浮かぶ。左足から放たれる無慈悲なコースのシュートや切れ味抜群のカットイン、時折中盤まで降りてゲームメイクに参加するそのパフォーマンスは、まさにクリエイティビティを具現化した存在だった。守備面でもサボらず相手を追いかけ回す献身性も持ち合わせており、近年のトーロでは最も活躍したトレクァルティスタであったと言える。そんなファルケの隣で候補となるのはリャイッチとブレカロの2人だが、ここは2人の残したスタッツを比較し判断したい。直近5シーズンで言えば17/18のみの在籍だったリャイッチの成績は27試合の出場で6ゴール9アシスト、対して21/22シーズンのみの在籍だったブレカロは32試合7ゴール2アシストという状況。どちらも素晴らしいが、10試合以上を欠場しながらも卓越したファンタジーアで15もの得点機に絡んだリャイッチをここは選びたい。王子様キャラとして知られ、飼い慣らすのが難しいところももはや魅力の一つだった。

バイタルエリアのプリンスことリャイッチ。彼が背負った背番号10は今では弟分的存在だったルキッチに継承

ワントップ

ここは間違いなくセネガルの大スターことニアン、な訳がない。長らく主将として数多くのゴールをトーロにもたらしたベロッティの選出は疑う余地もないだろう。スランプに陥った時期もあったが、直近5シーズン全てでエースとしてプレーし大車輪の活躍を見せてくれた。個人的には沈黙を貫いたまま退団した今夏の彼の選択には失望したが、ローマのユニフォームを着た彼を見て言いようのない寂しさに襲われた。まだまだ未練タラタラである。

押しも押されぬ大エースだったベロッティ

並べてみるとこんな感じ。ぜひ読者のあなたのベストイレブンも教えて欲しい。