トリノFC情報局

セリエAの古豪・トリノFCの情報を掲載しています。コメントお待ちしてます!

【インタビュー】トーロにはファンタジーアが必要だ。そう、リャイッチのようなね!

 

まずは最悪なお知らせからこの回を始めざるを得ないことを非常に残念に思う。

 

先日、九州南部が梅雨入りしたと気象台が発表したのである。ああ最悪だ。てか早くね?去年の今頃はまだ雨なんて降っていなかったような記憶があるのだが、調べてみると昨年より5日ほど早い梅雨入りだそうだ。あれそんなに早くもなかった。

 

筆者が住んでいるのは九州の中ほどにある田舎だが、先週末くらいから天気は悪く今日も無数の水滴たちがコンクリートの地面を激しく打つ音が外から聞こえている。この音自体嫌いではないのだが、梅雨の何が嫌っていうと湿気。電車、バスなどなど公共交通機関の車内なんかもう地獄である。英語ではHumidity。イタリア語ではUmidità。これを機にこの忌々しい単語をみんなも覚えよう!という訳の分からん前置きから始めてしまい、これ以降をどう書こうかと思い悩んでいるが、あながちこの前置きとリンクしないでもない話題を今日は書いていこうと思う。

 

筆者の心は昨年夏からずっと梅雨が続いている。そう、愛しき我らの10番アデム・リャイッチだ。彼がトルコに行ってしまってから心の雨はしとしと降り続いている。トーロのティフォージならきっと誰もがそうだろう。さらについ先日ベシクタシュが彼の買取オプションを行使したことを公式発表したためもう心の雨は災害レベルに。みなさんも自治体の指示に従って避難して下さい。

 

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写真はかつてトリノプリマヴェーラで指揮を執り、トップチームでもベンチに座ったジャンカルロ・カモレーゼ。だれ?まあとりあえず、Torinogranata.itが彼にインタビューを試みたようなので見ていこう。

 

ー今季のトーロについてはどういう印象ですか?

 

素晴らしいシーズンだったと思う。数字がそれを証明しているよ。トーロは今季、勝点3制度導入後最多となるポイントを獲得した。その上最後の日までヨーロッパを争ったんだ。いくつかの取りこぼしはあったし、モノにすべきだったチャンスは確かにある。しかし、全体的に見ると賞賛に値するシーズンだった。

 

ーそれはなぜでしょう?

 

今この時点でたくさんのチームが監督を替えている。私の意見では、ほぼ全ての監督が今季それぞれ設定した目標を達成したと思うのだがね。しかし一方でトーロはワルテル・マッツァーリが築いた確かなベースを元に来季もスタートすることができる。そしてさらなる飛躍へのポテンシャルもあるんだ。これは評価すべき事実だろう。

 

ー未来への基盤はベンチだけでなく、ピッチ上にもありますね。今チームに必要なのは改革ではなく、地に足を付けて進んでいくことです。

 

「トップレベルのチームに成長するために欠けているピースは、わずかにあと2つか3つだ」とコメントしたカイロ会長の意見に賛同する。この枠組みを強化するには、次のメルカートでの主力の残留と少しの接ぎ木が必要だと思うよ。

 

ーしかし、欠けている残りのピースとはどんなものなのでしょうか?

 

フリーキックから得点できる選手であったり、予測不可能なプレーをする選手。創造性のあるプレイヤーだね。今季マッツァーリはまさにそのタイプの選手を失っている。トーロがさらに飛躍するためには、まさにリャイッチのような選手が必要なんだよ。

 

ーなるほど。では今季トーロで印象に残った選手を教えて下さい。

 

守備陣は軒並み素晴らしいパフォーマンスだった。豊富な経験で若手を助けたという意味では、モレッティとデ・シルヴェストリが決定的な働きをしたと思う。そして彼らを後ろから指揮したシリグ。彼は間違いなくイタリアで最強のゴールキーパーだよ。アッズーリが何かの決勝を戦う時、マンチーニは彼をゴールマウスに立たせるべきだ。

 

ー逆にガッカリだった選手は?

 

私にとって、カンピオナートを見事に戦い抜いたトーロにガッカリだった選手などいない。ザザは他の選手に比べるとあまり貢献はしていないかもしれないが、彼への期待度があまりにも大きかったことを我々は忘れてはならないよ。チームにフィットすれば、来季は取り返すことができるはずさ。

 

 

 

という感じだ。カモレーゼ=筆者か?というくらいに意見が同じである。彼の言う通り、トーロに欠けているピースはまさにアデムだ。あのようなタイプが1人いるのといないのとでは、正直チームとしての怖さが格段に違ってくる。

 

しかし彼はもうトーロの選手ではない。トーロは彼に続くファンタジーアを求め、ロベルト・ペレイラ(無理じゃ)やジャンルーカ・カプラーリ(高え)などの選手を物色している最中だ。仮にトーロが創造性を補う補強に成功した場合、カモレーゼの言うようにマッツァーリのチームはさらなる進化を遂げるはずだ。新DSと目されるマッシモ・バーヴァにはそう言った意味でも期待をしたい。

 

筆者の心の雨が止むことを祈って。

 

おしまい

 

【さよならペトラーキ】トーロの新DSは、だあれ?

さて昨日チャンピオンズリーグの決勝が行われた。今季はヨーロッパリーグと同じくイングランド勢同士の対決。今季トーロに手一杯だった筆者は今季チャンピオンズリーグをそこまで見ておらず、「アヤックスすげえ」「白黒おい!」といった陳腐な印象しか持っていなかったが、やはりファイナルはすごい。そもそもスタジアムがすごい。

 

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アトレティコ・マドリーがホームとして使用しているエスタディオ・メトロポリターノでの開催だったわけだが、超満員の中Imagine Dragonsのパフォーマンスでウォーミングアップを完了させた会場はファイナルならではの雰囲気を放っていた。画面越しにでもあの雰囲気なのだから、その場にいる選手やスタッフ、観客たちの感情は表現しきれないものがあったことだろう。試合内容には敢えて触れないが、CLアンセムで火蓋が切って落とされたファイナルの空気に筆者も鳥肌が立ったことは言うまでもない。起きててよかった。

 

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試合前にも黙祷が行われたが、ファイナルを前にサッカー界を揺るがす悲劇が起きてしまった。元スペイン代表FWのホセ・アントニオ・レジェスが死去したのである。享年35。交通事故でのあまりにも早すぎる訃報だった。

 

彼を知っているから、知らないからという話ではもちろんないが、名前をよく知る選手がこんなにも早くこの世を去ってしまうというのは、とてもやり切れない思いだ。レジェスもかつてプレーしたマドリーの地で、彼に捧げる試合を繰り広げたリヴァプールトッテナムの両軍には拍手を送りたい。天国のレジェスもきっと見ていたはずだ。どうか安らかに。

 

 

 

さて、今日はトーロの新DSについて書いていきたい。DSとは所属選手との契約延長の話し合いをしたり、獲得候補を吟味し交渉に向かったりするお仕事。毎年カルチョメルカートでは各クラブのDSたちが暗躍しビッグディールを成立させては賞賛されたり、時にはエムバイェ...ゴホン、”失敗”として記憶されるような選手たちを買って批判の的になったりしている。トーロの現DSはジャンルーカ・ペトラーキだ。

 

DS?SDじゃね?

 

実際はどちらも正解だ。SD(Sports Director)英語圏DS(Direttore Sportivo)はイタリアでの呼び方である。筆者はこれまでSDと呼んでいたがちょっとイキりたいのでこれを機にイタリア語での呼び方に変えさせてもらおうと思う。

 

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ここ最近報じられている通り、現DSのペトラーキはASローマに仕事場を移すことが時間の問題となっている。というか既にあちらでの仕事も始めているらしい。ここ10年トーロのDSとして辣腕を振るってきたペトラーキだが、トーロ会長ウルバーノ・カイロとの関係は既に修復不可能なところまで来ており、さながら「ちょっと距離を置こう」という片方からの謎の提案に合意し結局はそのまま別れてしまうカップルのような状態が続いている。

 

ペトラーキのトーロでの見事な仕事ぶりは下記のエントリーにまとめてあるので、こちらも是非参照されたい。

2年以内に欧州へ。トーロに今必要なのは「結果」 - トリノFC情報局

 

ヨーロッパの舞台へ向けクラブ一丸となるべきシーズン中にもかかわらずローマとの接触が報じられたため、ティフォージの大半から”裏切り者”の烙印を押されてしまったペトラーキだが、10年前にはセリエBにいたトーロが近年ヨーロッパの舞台を争えるほどの成長を遂げたのは彼の功績によるところがかなり大きい。後釜となる人物にはその座に相応しいノウハウが求められる。

 

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そんな後任候補の筆頭となっているのがこの人物。名をマッシモ・バーヴァという。彼は既にクラブの人間であり、このままペトラーキの後釜として据えられた場合内部昇格という形の人事となる。しかし彼の現職はいったい何なのか?DSとしての能力は如何なものだろうか?

 

バーヴァの現在の肩書きはResponsabile del settore giovanileプリマヴェーラを頂点とするユースセクター全体を統括する責任者である。略してRSGとでも呼ぶか。RSGはトップチームで言うなればそれこそDSがそれに当たる。選手をリストアップし交渉に向かい契約を結ぶ。そういったプロセスに関してバーヴァは既に経験者というわけだ。

 

2012年に現職に就任したバーヴァだが、RSG(合ってんのかな?)としての実績も素晴らしいものがある。14/15シーズンにプリマヴェーラは23年ぶりとなるスクデットを獲得した上、翌シーズンのスーペル・コッパも制覇。17/18シーズンにはコッパ・イタリアでも優勝を果たした。バーヴァはその見事な手腕でプリマヴェーラを勝てる集団へと変えた人物なのだ。トップチームにも何人もの卒業生を送り出している。ちなみに、指揮官フェデリコ・コッピテッリに率いられたプリマヴェーラは今季もスクデット争いを演じているところだ。

 

いや、当然トップとプリマヴェーラは土俵が違う。動くカネも大きく違う。しかし、マッシモ・バーヴァがジャンルーカ・ペトラーキの後釜を務めるのに充分な能力を持ち合わせた人物であることは信じてもいいはずだ。今夏は彼が主導となって突入する初めてのメルカート。注目だ。カプラーリ連れて来い!

 

おしまい

【参加者募集】トーロ会開催したいなぁなんて思う今日この頃

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九州は焼酎の国だ。焼酎片手にツマミを食すというのが九州民の週末の愉しみ方。そこまで酒に強いわけでもないが、要するに筆者は今酔っている。べろべろばー。

 

カテゴリーの通り酔った勢いの独り言ではある。だができるものならばやりたい気持ちも大きい。Twitterではユヴェントスをはじめインテルミランフィオレンティーナなど名門クラブのサポーター会が開催されているのをよく目にするし、正直かなり羨ましい。

 

日本にもトリニスタは何人かいるというのが筆者の印象で、個人的にはその方々と繋がりゆくゆくは日本にトーロのファンクラブも作れたらなぁなんてことは少し前から考えていたことだ。

 

自分はトーロのサポーターとしてはかなり新参者だ。このサイトを運営しているからといってトーロに関しては全知全能というわけではもちろんない。だからこそたくさんのサポーターと繋がり、昨今のトーロについて語らい、盛り上がる場を作りたいと思う。自分なんかより前からトーロを応援しているティフォージもいるはずだし、そういった方々から昔のトーロについての話を聞きたい。もっとトーロについて知りたい。そのためには自分が動くしかないと思い、今これを書くに至っている。

 

参加したいと言ってくださる方、または少しでも興味がある方はぜひTwitterのDMもしくはこのエントリーにコメントをよろしくお願い致します。以上あざっした。

18/19 トリノFC背番号順つうしんぼ②

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2回に分けた意味あるか?と思いながら早速やっていこう。

 

 

...いや、さすがに前置きが短すぎるので来季のトーロについて情報を1つ記しておこう。

 

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来季のユニについてだ。トーロはこの度11年に渡って続いてきたKappaとのパートナーシップを解消し、どうやら新たにJomaがテクニカルスポンサーに着くことが濃厚となった模様。JomaはセリエAではアタランタサンプドリアサプライヤーとしていることでお馴染みのメーカーだ。Kappaも好きだったが、Jomaユニも今から楽しみである。

 

さて、今回の通信簿は今季限りで現役を引退したあの選手から。

 

24. エミリアーノ・モレッティ 7.0

 

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セリエA 24試合出場

コッパ・イタリア 2試合出場

 

現役最後となった今シーズンも、衰えを感じさせることなく堅実な守備を披露。一時コフィ・ジジにレギュラーの座を譲ったが、ジジの離脱後再びレギュラーに返り咲いた。引退会見でマッツァーリもコメントしていた通り、グレイソン・ブレーメルら若手の成長にも大きく貢献。最終節では現役最後の試合にもかかわらずブレーメルに出番を与えるべきだと自らマッツァーリに進言するなど、チームを第一に考えて行動するプロフェッショナルとして模範的な存在だった。ピッチ内外での堂々とした振る舞いに拍手。ありがとう、エミリアーノ。

 

25. アントニオ・ロザーティ −

 

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セリエA 0試合出場

コッパ・イタリア 0試合出場

 

第3キーパーという厳しい条件を受け入れての加入だったため、公式戦の出場はゼロ。しかしその陽気なキャラクターでロッカールームでの盛り上げ役を買って出るなど、モレッティ同様チームのことを最優先に考えられる男であることは言うまでもない。契約は今季限りとなっている上、来月で36歳の誕生日を迎えるため現役続行を選択するかは不明だが、どの道を選ぼうとも応援していきたいと感じさせる選手だった。

 

27. ヴィットーリオ・パリジーニ 5.0

 

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セリエA 17試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

ロベルト・ソリアーノには言及しないものとして、今季のチームにおいてはシモーネ・ザザに続いて期待外れの選手であった。プリマヴェーラからの生え抜きであるためティフォージからの支持は得ており期待も大きいのだが、出場した試合では気合いが空回りしミスを連発するシーンがあまりにも多すぎた印象だ。ウイングバックからシャドー、セカンドトップまで様々なポジションで起用されたがいずれの役割でも輝きを見せることが出来ず。来季の構想に入っているかどうかも正直怪しい。もはや完全移籍での退団もあり得るか。

 

29. ロレンツォ・デ・シルヴェストリ 7.0

 

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セリエA 32試合出場2得点4アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場

 

今季も右のウイングバックとして見事なプレーを見せた。右サイド全域をカバーする走力と屈強なフィジカル、空中戰の強さはマッツァーリの志向するサッカーに完璧にフィットしていると言えよう。クロッサーというよりは運動量を武器としているためあまり器用なタイプではないが、それでも4アシストを記録した今季のパフォーマンスは文句のつけどころがないだろう。昨季に続いて守備にも大きな改善が見られ、文字通り攻守に渡って貢献してくれた。

 

30. コフィ・ジジ 6.5

 

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セリエA 17試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

メルカート最終日での加入だったためフィットに時間を要し、シーズン序盤はベンチを温めたが一時はエミリアーノ・モレッティからレギュラーを奪取している。スピードのあるアタッカーに強く、基本的に振り切られたシーンは記憶にない。クリーンかつ鋭いタックルを武器にセリエAの守備戦術にもすんなり順応した。足元の技術も非常に高く、華麗な単独プレス回避でティフォージを沸かせるシーンも。負傷箇所の手術を受けたため一足先にシーズンを終えたが、モレッティが引退した今買取オプションの行使はもはや時間の問題だ。

 

33. ニコラ・エンクル 7.0

 

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セリエA 36試合出場2得点

コッパ・イタリア 2試合出場

 

彼のように「あまりにも頼れる選手」も考えものだ。移籍するわけでもないのに、筆者は既に彼のいないトーロを想像し震えている。それほど彼の存在は大きい。上背もそこまで無いしフィジカルもがっちりしているわけではないが、相手FWからボールを掠め取るあの技術はもはや極上のエンターテイメントである。左右にボールを散らすプレーも得意で、起点としても欠かせない存在だった。奇抜な服装でファッションリーダーとしてもSNSを賑わせるなどファンサービス(笑)も素晴らしい。いや、別にバカにしてるわけじゃないよ?

 

34. オラ・アイナ 6.5

 

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セリエA 30試合出場1得点3アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場

 

夏のメルカートで集めた「ラグビー選手」の1人。セリエA初挑戦でどれだけやれるかというシーズン前だったが、終わってみれば30試合に出場。結果的にレギュラーであるクリスティアン・アンサルディより多くの試合でピッチに立った。フィジカルとテクニックを高いレベルで併せ持つ上、両サイドをこなす器用さはさすがチェルシーアカデミー出身者といったところだ。若さゆえ集中力が途切れるシーンもたまに見受けられるため、そこさえ改善できればワールドクラスの仲間入りも夢ではないだろう。買取オプションの行使も有力なため、来季もトリノで腕を磨いて欲しい。

 

36. グレイソン・ブレーメル 6.0

 

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セリエA 5試合出場

コッパ・イタリア 2試合出場

 

実力者である先輩たちの壁に阻まれあまり多くの出場機会を得ることができなかったが、欧州初挑戦ながらも才能の片鱗を示したシーズンであったことは誰の目にも明らかである。プレシーズンのリヴァプール戦でサディオ・マネを完封したあの実力はやはり本物だった。積極果敢にインターセプトを試みるプレースタイルは守備の国セリエAでも充分に通用。トリノデルビーではスタメン抜擢にも臆することなく堂々たるプレーを披露するなどメンタルも非常に強い。大先輩モレッティから受け継いだ守備技術で来季はレギュラー奪取を狙う。

 

39. サルヴァトーレ・シリグ 7.5

 

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セリエA 36試合出場

コッパ・イタリア 2試合出場

 

今季ヨーロッパリーグ争いを演じたトーロの躍進は、彼の存在なしに語れるものではない。超人的な反応で幾度となくピンチからチームを救い、ゴール前にリーグ屈指の強固な壁を築いた。彼の今季のハイライトは、第21節インテル戦から第26節キエーヴォ戦まで記録した6試合連続のクリーンシート。これは過去にトーロに所属した歴代キーパーの中でも最高の数字である。クリアを真上に打ち上げてピンチを招く「名物・シリグ玉」ですらもはやチャームポイントだ。ちなみにトマス・リンコンとは練習中しょっちゅう喧嘩をしているらしい。

 

88. トマス・リンコン 7.0

 

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セリエA 34試合出場3得点

コッパ・イタリア 3試合出場1得点

 

中盤の選手ではシーズンを通して最も安定していた選手。汚れ役を買って出る献身性と鋼のような身体を駆使した守備で「将軍」としてのミッションを全うした。今季隣でプレーしたスアリオ・メイテの存在で守備での負担も軽減され、前線へ顔を出す場面もしばしば。得点シーンにも積極的に関与した。34試合の出場で15回とリーグトップの警告数を記録したものの、退場が1度もないのは経験の為せる技だろう。前述の通り警告が多く定期的にサスペンションを食らうためお休みする日も多かったが、そのおかげでサシャ・ルキッチは出番が増えたので、彼のプレータイムを考えての行動だったのかもしれない(?)

 

 

 

以上が筆者が考える今季のトーロの通信簿だ。チームとして素晴らしいシーズンを過ごしたこともあり平均点も非常に高かったと言える。この中から何人が残り何人が去るのかはまだ分からないが、成績上位者はなんとしても残留させ来季もヨーロッパへの挑戦を継続して欲しいと思う。

 

今回はここまで。なにかコメントを残してくれると牛さんも泣いて喜びます。

以上あざっした!

18/19 トリノFC背番号順つうしんぼ①

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シーズン前より目標として掲げていた6位以内でのフィニッシュを目指した今季のトーロの成績は、16勝15分7敗の7位。欧州圏内と勝点差3でシーズンを終え、惜しくも目標としていたヨーロッパリーグの出場は叶わなかった。前半戦はボールの取り所がハッキリしなかったり、ボールを奪ってからのカウンターもかける人数が少なく不発に終わる試合も数多く見られたが、ワントップ+ツーシャドーが高い位置からハードなプレスを仕掛けるショートカウンターという戦い方に落ち着いた後半戦は凄まじかった。全体的に見て、今季への印象はポジティブだと言える。

 

シーズンを前半戦と後半戦に分けて見てみると、3-5-1-1をベースに戦った前半戦は6勝9分4敗の9位。前線からのプレスはやや控えめで、どちらかと言うとやや深い位置まで誘い込んで奪いそこからのカウンターといった感じだった。しかしイアゴ・ファルケやダニエレ・バゼッリ、アレハンドロ・ベレンゲルらをシャドーで起用した3-4-2-1に本格移行した後半戦だけで見ると、正直素晴らしい以外の感想は出てこない。後半戦は10勝6分3敗。これはリーグ5番目に優秀な戦績である。

 

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惜しむらくはコッパ・イタリアの早期終了。ベスト16での敗退はあまりにも早過ぎた。来季は最低でもベスト8、あわよくばそれ以上を目指してもらいたいところだ。

 

前置きはここくらいにして本題に入ろう。通信簿と銘打って偉そうに選手たちの採点をしていく例のやつだ。まあ個人的な感想に過ぎないので、いつも通り素人の落書き程度に考えてもらえたら嬉しい。

 

監督 ワルテル・マッツァーリ 7.0

 

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トーロ指揮官就任2年目の今季も3-5-1-1、3-4-2-1を中心に3バック戦術を主戦術として採用。アデム・リャイッチを放出しシモーネ・ザザなどフィジカル能力に優れる選手たちを集め、ダイナミズム溢れるサッカーに挑戦した。やや薄い選手層に苦心する様子も見受けられたが、今季は自身が高い能力を持つ監督であることを改めて証明したシーズンだったと言えるだろう。熱くなり過ぎる癖が災いし何度も退席処分を食らったが、もはやそれも可愛らしい。ちなみに後半30分過ぎにリードされている展開だととっておきのファイヤーフォーメーション4-2-4を繰り出すが、機能した試合は一度もない。可愛い。

 

1. サルヴァドール・イチャーソ 6.0

 

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セリエA 3試合出場

コッパ・イタリア 1試合出場

 

出場数はサルヴァトーレ・シリグが不在の3試合、そしてコッパのシュドティロル戦のみだったが、第2キーパーとしての務めを充分に果たしてくれたと言っていいだろう。特にデルビーでの途中出場は記憶に残っている。クリスティアーノ・ロナウドにリゴーレを沈められはしたものの、それ以外は見事なパフォーマンスだった。この通信簿企画をやる時は必ず背番号が最も若い彼が最初だったが、来季からは恐らく別の選手になるだろう。昨年末に見られた契約延長の噂も最近は沈静化してきており、6月での退団が既定路線である。恐らく母国ウルグアイに帰ることになるか。

 

5. アルマンド・イッツォ 8.0☆

 

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セリエA 37試合出場4得点

コッパ・イタリア 2試合出場

 

個人的に今季のベストプレーヤーに挙げたい選手。昨季まで大きな課題だった脆弱なトーロの守備が、1試合の平均失点1を下回る堅固な守備に変わったのは彼の存在なくしてあり得なかった。対人守備の異常なまでの強さはイタリア屈指のレベルだろう。さらに今季セットプレーから4得点を決めており、攻撃面でもチームに大きく貢献。ジェノアに支払った€1000万の移籍金は今となってはバーゲン価格だったとすら感じるほどだ。注文があるとすればジェノア時代のようにヒゲをまた生やして欲しいことくらいか。

 

7. サシャ・ルキッチ 6.0

 

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セリエA 24試合出場2得点

コッパ・イタリア 3試合出場

 

ラ・リーガでの武者修行を終えた今季は背番号7を与えられクラブの期待も大きかったが、最後までレギュラー定着は叶わず。やや不完全燃焼といった感じか。及第点は付けられるが、彼のポテンシャルを考えればもう少しやれたはずだ。トーロには数少ないパス精度に秀でたタイプのミッドフィールダーとしていいアクセントにはなっていたが、球際での競り合いの弱さは今後の課題と言えそう。ハイライトはデルビーで奪ったセリエA初ゴール。相手を弾き飛ばして奪ったボールをそのままゴールに叩き込んだあのプレーは筆者もシビれた。最終節ではシャドーで起用され新たな可能性を開拓。来季はさらなる成長を期待したい。

 

8. ダニエレ・バゼッリ 6.5

 

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セリエA 34試合出場4得点1アシスト

コッパ・イタリア 3試合出場1得点2アシスト

 

前半戦はメッザーラ、後半戦はシャドーのレギュラーとしてプレー。評価が分かれる選手ではあるが、個人的には及第点以上の活躍を見せてくれたと感じている。今季は特にその豊富な運動量が特筆に値するポイント。執拗なまでの粘り強い守備と堅実なパスを武器に、攻守を繋ぐ潤滑油として機能した。優れた戦術眼を持ち、中盤センターならどこでも器用にこなすポリバレント性にはマッツァーリも非常に助けられたことだろう。欲を言えばゴール前での働きにもう少し怖さが欲しい。イケメンならではの良質なミドルシュートも兼備しているため、来季はもっと積極的に狙っていってもらいたい。あと、暇さえあればタトゥーを入れに行くのはガラが悪すぎるのでやめて欲しい。

 

9. アンドレア・ベロッティ 6.5

 

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セリエA 37試合出場15得点2アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場2得点

 

サスペンションで欠場した第32節カリアリ戦を除き、カンピオナートでは今季全ての試合に出場。不振に陥った昨季と比べると、比較的コンスタントにネットを揺らしてくれた。チームとして今季はサイドからの良質なクロスが多く見られたことも復調の要因だろう。また、彼のポストプレーは相手にとってしても相当嫌なようで、被ファウル数はリーグトップ(1試合平均3回)を数えるなど、ファウルでしか止められない身体の強さもチームメイトを助けた。狭い局面を打開するテクニカルなプレーは相変わらず苦手だが、なりふり構わずゴールに突っ込んでいくその姿は愛称の"ガッロ(鶏)”というよりはクラブシンボルの”トーロ(雄牛)”を彷彿とさせた。この調子で名実ともにクラブのバンディエラとなってもらいたい。

 

11. シモーネ・ザザ 5.0★

 

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セリエA 29試合出場4得点2アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場1アシスト

 

誰もが認める今季ワーストプレーヤーではないだろうか。久々のセリエA復帰となったがわずかに公式戦5得点を挙げるのみにとどまり、期待された働きを見せることは叶わず。クルヴァに陣取るティフォージからの支持も最後まで勝ち取ることはできなかった。筆者も現地でザザとは少し会話を交わしたことがあるため、あまりあからさまにはディスりたくないのだが...。ただ今季リーグ・アンへとローンされていたアホとは違いマッツァーリも最後まで根気よく使い続けてはいたため、まだ諦められたわけではなさそう。移籍の噂は絶えないが、来季こそ本領発揮といきたいところである。

 

14. イアゴ・ファルケ 6.5

 

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セリエA 26試合出場6得点5アシスト

コッパ・イタリア 2試合出場2アシスト

 

本来はウイングの選手だが、今季はツートップの一角やシャドーなどやや中央寄りでプレー。そのテクニックとひらめきでバイタルエリアでの局面打開を一手に担った。前線からのチェイシングに加え、ラストパス供給からフィニッシュまでゴール前でのタスクが増えた今季は、深い位置でのビルドアップ参加は昨季に比べ減った印象だ。得意の左足が完全にコースを切られていたりと相手守備陣の対応に苦しむ試合も少なくはなかったが、10試合以上の欠場を強いられたにもかかわらずシーズン11得点に絡む活躍は流石といったところ。怪我さえなければシーズン10得点は挙げていたはずだ。

 

15. クリスティアン・アンサルディ 7.0

 

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セリエA 24試合出場3得点3アシスト

コッパ・イタリア 1試合出場

 

30歳を過ぎたにもかかわらず、市場評価額をじわじわと上昇させているのがこのアンサルディ。両利きであり左右のウイングバックを高いレベルでこなすだけでなく、今季は中盤センターでの起用にも柔軟に応えた。相手のプレスを難なくいなすそのボールスキルと判断力は、フィジカル面に重きを置いたトーロのサッカーにおいて貴重なアクセントとなっている。開幕早々の負傷離脱で出遅れたが、出場した試合ではいずれも見事なパフォーマンスを披露。カットインから逆足で正確なミドルシュートを撃てるウイングバックセリエA全体で見ても彼ほどだろう。

 

19. ヴィタリ・ダマシュカン 5.5

 

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セリエA 1試合出場

コッパ・イタリア 0試合出場

カンピオナート・プリマヴェーラ 7試合出場1アシスト

コッパ・プリマヴェーラ 3試合出場1得点

ヴィアレッジョ・カップ 3試合出場4得点

 

人生初の海外クラブ1年目はプリマヴェーラとトップチームを行き来するシーズンとなったが、本人にとっても残念なシーズンとなったことだろう。鋭い嗅覚を武器とするゴールゲッターという触れ込みだったが、プリマヴェーラでも定位置確保に失敗。冬のメルカートではローン修行に出される噂もあったが、結局丸々1シーズンをトーロの選手として過ごした。来季はセリエBあたりのクラブに修行先を探すことになりそうだが、イタリアの水に慣れるためにもそれがベストな解決策だろう。これからへの期待も込めてこの点数とした。

 

21. アレハンドロ・ベレンゲル 6.0

 

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セリエA 31試合出場2ゴール4アシスト

コッパ・イタリア 3試合出場1アシスト

 

前半戦は左ウイングバックの3番手、セカンドトップの2番手として燻っていたが、後半戦は3-4-2-1の本格採用とイアゴ・ファルケの負傷離脱で左シャドーのレギュラーを確保。そこからのプレーは「右利きのイアゴ・ファルケ」との表現がしっくり来るほど見事なものだった。ストライカーの後ろで本領を発揮するという特徴はチームとしてもかなり大きな発見だった。ちなみに、Instagramを確認すると分かるがどうやら最近彼女ができたようで、プライベートの充実も好調に繋がっているのではないだろうか。調子に乗るな

 

23. スアリオ・メイテ 7.0

 

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セリエA 35試合出場2得点3アシスト

コッパ・イタリア 3試合出場

 

今季のグッドサプライズ賞は彼に贈呈したいセリエA初挑戦ながらも開幕からがっちりとレギュラーの座を掴み早くも欠かせない選手に。強すぎるフィジカルでピンチの芽を摘んだと思えば、繊細なテクニックを駆使したパスやプレス回避でも中盤の制圧に一役買った。セカンドボールの回収というタスクが大きかったため、前線に顔を出す機会は少なく得点にはあまり絡んでいないが、「破壊」と「創造」の両面を担う彼の存在無くして欧州争いは不可能だったことだろう。後半戦に入り調子を落としたが、1シーズンを通して見ればこの点数は充分に付けられる。

 

 

 

次回も残りの選手たちを偉そうに評価していくのでおたのしみに。

コメントなどお待ちしております。

 

以上あざっした!

Grazie, Emiliano.

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「僕はピッチから去るよ」

 

ウルバーノ ・カイロ会長とワルテル・マッツァーリ監督を伴い、チームメイト、記者団を前にオリンピコ・グランデ・トリノでの会見に出席したエミリアーノ・モレッティは、今週末のラツィオ戦を最後にスパイクを脱ぐことを発表した。

 

1998年ロディジャーニでのプロデビューから実に21年。来月で38歳となる守備職人は今週末、公式戦600試合以上に出場したその偉大なキャリアに幕を下ろす。

 

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今日は来てくれてありがとう。本当はちゃんとスピーチを考えて来ようと思ってたんだけど、失敗したよ(笑) 次の日曜日が僕の現役最後の試合になる。とても幸せだ。人生において重要な一歩をまた踏み出せるのだからね。引退を思い留まらせようとしてくれた会長と監督には感謝しているよ。

 

たくさんの人に感謝の言葉を送りたい。まずは両親、そして兄弟に。僕はこの長いキャリアの中でたくさんの人たちと巡り合うことができた。そして6年前、ここにいるカイロ会長、そしてペトラーキSDのおかげでトーロでの新しい人生が始まったんだ。

 

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この6年間、カルチョに関わる人そうでない人、たくさんの大事な人と知り合うことができた僕はとても幸運だったと思う。ここに来た最初の日から僕を歓迎し、いつもサポートしてくれたティフォージにも感謝している。彼らの存在に僕はとても勇気付けられたよ。

 

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同席したマッツァーリは、モレッティを最後まで説得できなかったことを悔やむコメントを残した。

 

私は最後まで彼を説得した。選手としてもまだやれるという確信があったからね。今季のエミリアーノはピッチ上の貢献だけでなく、若手の成長にも力を貸してくれたんだ。チームに魂を注入してくれたよ。彼が他の形でクラブに残ってくれることを望んでいる。でも、正直に言うとまだ残念な気持ちで一杯だよ...。

 

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カイロもモレッティ引退の背景を語った。

 

我々は全員で彼を説得しようとした。まだ辞めないでくれ、とね。彼はある日のトレーニングで、引退を決意したことを我々に突然告白した。聞くと実はエミリアーノは半年以上前から引退を決めており、彼の妻がここ半年ずっと彼を説得してきたことを我々は知ったんだ。

 

彼とは6年前から素晴らしい関係を築いてきたから、とても残念だ。本当に素晴らしい男だよ。セリエAでプレーするために、他のチームメイトたちより多くのトレーニングをこなしてきたんだ。ここに残って欲しい。カルチョの面だけでなく、人間性にも優れた男だからね。彼は監督としてのノウハウを学ぶことになるだろう。きっと良い指揮官になるよ。

 

筆者が現地でモレッティからサインを貰ったのが昨年の10月。フィラデルフィアの外で出待ちしていた筆者を見ると車を止め、快くサインをしてくれた。”Grazie.”とお礼を言うと”Prego(どういたしまして).”ではなく”Niente(いえいえ).”と返してくれたあの紳士っぷりは未だに忘れられない。あの時から既に引退を考えていたかもしれないことを思うと、なんとも言えない気持ちだ。

 

イタリアのみならず、スペインでのプレーも経験したモレッティ。アッズーリのシャツに袖を通した数は決して多くはなかった。しかし、彼が素晴らしい選手であったことは現役最後に着たグラナータのシャツ、そして600以上もの公式戦出場数が証明している。来季からはもうあの華麗な守備は見られない。ピッチ上でチームメイトに喝を入れる姿ももう見られない。マッツァーリやカイロ、チームメイトたちと同じく筆者も寂しい気持ちで一杯だ。最終節は背番号24をこの目に焼き付けよう。

 

ありがとう、エミリアーノ。

 

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届かなくても。

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大敗。日曜日、残留争いを演じるエンポリと対戦したトーロは今季最多となる4失点を喫した。

 

残留へ向け並々ならぬモチベーションと共に立ち向かって来た青き戦士たちを前に、今季リーグ屈指の堅守を誇ったエンジ色の壁は脆くも崩壊。今季最悪の試合だったと言って差し支えないだろう。

 

この後ミランフロジノーネから勝点3を挙げたことにより、トーロの欧州行きは完全に消滅。来季に向けたトーロの夢は、儚くも散ることとなった。

 

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俺たちは大敗を演じてしまった。とても残念だし、何より俺たちと一緒に夢を見るためアウェイの地まで駆けつけてくれたティフォージに謝りたいよ。こんな馬鹿げた幕切れは許されない。俺たちはまた立ち上がる。 ー トマス・リンコン

 

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敗北は失敗じゃないよ。クラブ、チームメイト、ティフォージのことを思うととても悲しいけど、トーロの歴史がここで止まるわけじゃないんだ。これからもトーロは自慢のチームメイトたちとの固い絆で結ばれた素晴らしいグループであり続ける。 ー コフィ・ジジ

 

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素晴らしいサポートで我々を支えてくれたティフォージに謝罪したい。だが同時に、真のトーロのスピリットを持ち素晴らしいシーズンを送った我々の戦士たちに賞賛を送らせてくれ。この敗北の責任は私にある。ー ワルテル・マッツァーリ

 

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駆け付けてくれたティフォージには謝らなければならないね。だけど、1度の敗北で素晴らしいシーズンを無かったことにはできないよ。後悔はない。僕らは全てを出し切ったんだ。今季僕らはチームレコードの60ポイントを獲得した。最終節ではこれを63ポイントに伸ばせるよう、全力を尽くすと誓うよ。ーロレンツォ・デ・シルヴェストリ

 

そこにあるのは賞賛のみ。

 

試合後、チーム最年長のエミリアーノ・モレッティに引き連れられたチームはティフォージの元へと向かった。あまりにも低調すぎたパフォーマンスを謝罪するために。その足取りは重かった。ウルトラスの心無い言葉も覚悟していたことだろう。

 

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「夢をありがとう」

 

トーロの戦士たちを待っていたのはブーイングではなかった。シーズンを通しての素晴らしい戦いぶりを賞賛する温かい拍手が、欧州行きを逃し肩を落とす選手たちを出迎えたのだ。選手たちを責める者は誰一人としていなかった。ヨーロッパリーグのみならず、チャンピオンズリーグ出場をも争ったチームへの感謝と賞賛だけが、そこにはあった。

 

悔しさと共に、トーロは再び立ち上がる。

 

トーロの夢は散った。しかし、枯れたわけではない。新たな季節が来る限り、花は何度でも咲き誇り、世界を彩る。

 

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今季は欧州行きを手にすることができなかったが、来季に向けた重要な礎を手に入れた。私に主力を売る意思はない。何があろうと、我々の目標が変わることはない。ー ウルバーノ ・カイロ会長

 

欧州への夢は終わってはいない。たとえ届かなくても、欧州の舞台へ進むため、そしてスペルガに眠る偉大な先人たちにグランデトリノの復活を捧げるため、トリノFCグラナータの誇りを胸に何度でも立ち上がる。今季の挑戦は終わった。しかし来季、傷ついた雄牛はその凶暴さを増していることだろう。猪突猛進ならぬ牛突猛進。トーロよ、来季こそ夢の舞台へ。