トリノFC情報局

セリエAの古豪・トリノFCの情報を掲載しています。コメントお待ちしてます!

21/22シーズンここまでの振り返りと展望

約3分の1が経過した今季のセリエA。第12節を終えトリノはここまで4勝2分6敗という成績で12位につけている状況だ。ほとんど何もうまくいかなかった昨季はこの時点で1勝3分8敗で19位に沈んでいたのだから、少なくとも今のところは残留争いに巻き込まれそうな気配は無いと見て良さそうだ。

 

イヴァン・ユリッチが新監督に就任した今季、トリノはハイプレス&ショートカウンターを主な戦い方として採用。アグレッシブかつ貪欲にボールを奪い素早くゴールに迫るその戦術は早くもティフォージの心を掴み、ユリッチの評価はトリノの街ではうなぎ登り。ユリッチも話していた通りこのチームは未だ発展途上であるが、ここまでのチームに対する評価としては「ここからの上昇に期待が持てる」と自信を持って言えるだろう。

f:id:sft1995:20211119154110j:plain

 

 

ヒエラルキーの変化

f:id:sft1995:20211120170310j:plain



ユリッチに発破を掛けられたダヴィデ・ヴァニャーティSDは、夏のメルカートで積極的な補強を敢行。これによりチーム内でのヒエラルキーには想像以上に大きな変化が訪れている。新加入組は軒並み期待通りまたはそれ以上の活躍を見せ、これまで不動のレギュラーだった選手達をベンチに追いやった。特筆すべきはトンマーゾ・ポベガヨシップ・ブレカロの2人。前者はユリッチによる高インテンシティなサッカーにばっちりフィットしついに先日ロベルト・マンチーニからお呼びが掛かった。現行契約はミランからのドライローンだが早くもクラブは完全移籍での獲得に向け動いているとの報道も出ており、色んな意味で話題をさらっている。後者は同胞である監督の下左シャドーの役割を与えられ躍動。このまま行けば€1000万に設定されている買取オプションの行使は確実だろう。

 

序列が大きく変化した理由はこれだけではない。今までトリノに所属しながらもその実力を燻らせ続けていた何人かの選手達が、ユリッチの就任に伴い生まれ変わったのも大きく影響している。ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチリカルド・ロドリゲスコフィ・ジジサシャ・ルキッチオラ・アイナなどがパフォーマンスを大きく向上させ、レギュラーの座を手に。特にミリンコヴィッチ=サヴィッチはシーズン前、筆者を含むほとんどのティフォージに懐疑的な視線を向けられながらも試合を追うごとに成長。兄セルゲイの待つセルビア代表にもついに初招集されている。

 

指揮官を苦しめる主力の負傷離脱

f:id:sft1995:20211120151152j:plain

インテンシティの高いサッカーはゲームを優位に進めやすいが、それだけ代償も大きい。ユリッチの練習は「試合の方が楽」との感想が選手から出るほど超ハードな事で知られており、それも影響してか今季のトリノは常にスタメンクラスの誰かが負傷のため欠場。未だにベストメンバーが揃った事は一度も無い状態だ。そして先月ついに事件が発生。負傷者の多さだけでなく彼らの復帰に長い時間が掛かり過ぎている状況に激怒したユリッチは0-1で敗れた第7節のトリノデルビー後、クラブのメディカル部門の仕事ぶりを痛烈批判。これを受けたクラブドクターのパオロ・ミナーフラが職を辞すという事態にまで発展している。

これに追い討ちを掛けているのが代表ウィーク。トリノは代表に招集される選手が比較的多く、そのほとんどがナショナルチームでも多くのプレータイムを与えられている。今回もアントニオ・サナブリアがコンディションを落とした状態でトリノに戻って来た上、リカルド・ロドリゲスも負傷。後者に関しては年内復帰は難しいとの報道も出ており、負傷者たちのコンディション管理や再発防止などが今後の課題となってくるだろう。

 

クラブを去る可能性のある選手達

f:id:sft1995:20211120162750j:plain

欧州争いに食い込んだ3シーズン前のトリノで不動の主力であったアルマンド・イッツォダニエレ・バゼッリトマス・リンコン、そしてトリノ史上最高額プレーヤーのシモーネ・ヴェルディトリノでの年平均ゴール数がたったの4であるシモーネ・ザザの5名はチームの成長とは裏腹に不遇の時を過ごしている。リンコンとバゼッリは新戦力の到着により普通に序列が下がった格好だが、自身の負傷離脱中にポジションを奪われたイッツォに関してはやや不運と言うべきか。ヴェルディやザザはユリッチが就任する以前から余剰戦力として見なされていた上、強力なライバルの加入がトドメを刺した形だ。

 

上記5名は恐らく冬のメルカートで放出リストに名前が記載される事になるが、なかなかチャンスの与えられないメルギム・ヴォイヴォダもここに加えなければならないかもしれない。ユリッチは右ウイングバックのポジションをウィルフリード・シンゴに一任しており、ヴォイヴォダはスタメン出場が今季は一度も無い状況。これに本人が不満を募らせる可能性も低くはないため、移籍の可能性も出てきそうだ。

 

アフリカ・ネーションズカップの影響

f:id:sft1995:20211120164907j:plain

来年1月に開催されるアフリカ・ネーションズカップ。今のところここにオラ・アイナウィルフリード・シンゴが参加する可能性がある。そうなればトリノは新年早々約1ヶ月の間、両ウイングバックのレギュラーを同時に失う事になってしまう。シンゴに関しては今年コートジボワール代表デビューを飾ったばかりという事もあり招集される可能性は五分五分だが、ナイジェリア代表常連のアイナは確実に呼ばれるはず。左サイドを1ヶ月間怪我がちなクリスティアン・アンサルディ1人で凌げるかどうかは正直疑問符が付くため、冬のメルカートでは補強が必要になるかもしれない。右はシンゴが招集された場合代役となるであろうヴォイヴォダのトリノ残留が確実になるが、場合によってはこちらも入れ替わりが起こり得ると言えそうだ。