【2021/2022シーズン】トリノFC通信簿
今季から野心溢れる新監督とともに新たなスタートを切ったトリノ。「セリエA残留と未来への土台作り」という現実的な目標をもって臨んだ2021/2022シーズン、トリノはセリエAを13勝11分14敗の10位、コッパ・イタリアをベスト16という成績で終えた。カンピオナートで負け越している上カップ戦でもインパクトを残せなかったとはいえ、チームはシーズンを通してポジティブな印象を抱かせるパフォーマンスを見せたと言って差し支えないだろう。
一貫してマンツーマンディフェンス&ハイプレス→ショートカウンターの戦術でシーズンを戦い抜いたトリノはリーグ屈指の堅牢な守備で上位チームらを苦しめたが、一方で攻撃に関しては主力選手に負傷離脱が相次いだ影響もあって、作り出した多くのチャンス数に対してゴール数が伸び悩んでしまった。あとはネットを揺らすだけという試合は数多くあっただけに、最後まで欧州カップ戦争いに食い込めなかったのは唯一悔やまれる点だろう。ただ、ユリッチ政権発足初年度でチームはかなり成長した。全体としての点数であれば6.5くらいは付けられる。
- 監督 イヴァン・ユリッチ 7.5
- 1. エトリト・ベリシャ 5.5
- 3. グレイソン・ブレーメル 9.0☆
- 4. トンマーゾ・ポベガ 7.0
- 5. アルマンド・イッツォ 6.0
- 6. ダヴィド・ズィマ 6.5
- 7. シモーネ・ザザ -
- 9. アンドレア・ベロッティ 6.0
- 10. サシャ・ルキッチ 7.5
- 11. マルコ・ピアツァ 5.5
- 13. リカルド・ロドリゲス 7.0
- 14. ヨシップ・ブレカロ 7.0
- 15. クリスティアン・アンサルディ 6.0
- 17. ウィルフリード・シンゴ 6.5
- 19. アントニオ・サナブリア 5.5
- 20. シモーネ・エデラ -
- 22. デニス・プラート 6.0
- 23. デンバ・セック 6.0
- 26. コフィ・ジジ 6.0
- 27. メルギム・ヴォイヴォダ 6.5
- 28. サムエレ・リッチ 6.5
- 32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ 5.0★
- 34. オラ・アイナ 5.5
- 38. ロランド・マンドラーゴラ 5.5
- 64. ピエトロ・ペッレグリ 5.5
- 70. マグナス・ワルミング -
- 77. カロル・リネッティ 5.0
- 89. ルカ・ジェメッロ -
- 93. モハメド・ファレス -
- 99. アレッサンドロ・ブオンジョルノ 6.5
監督 イヴァン・ユリッチ 7.5
十八番である3-4-2-1のフォーメーションを一貫して採用。メルギム・ヴォイヴォダが「マンマミーア」と嘆くほどのキツいトレーニングでトリノを走れるチームへと変え、さらにはリーグで5番目に少ない失点数(41失点)を誇る堅守を構築している。さらに、社交辞令という言葉を知らないこの男はメディアやフロントに対しても全く気を遣わずクラブの問題点を次々と糾弾。ウルバーノ・カイロ会長やダヴィデ・ヴァニャーティSDに対しても「お前らちゃんとやれや」と言わんばかりの態度でケツを蹴り上げ、クラブ全体に喝を入れた。彼を新監督に招聘した事による利益はピッチの上だけに及ばないと言えるだろう。
1. エトリト・ベリシャ 5.5
セリエA 10試合出場 8失点 4クリーンシート
コッパ・イタリア 1試合出場 2失点
前半戦は第2GKとしてベンチを温めたがシーズン終盤にレギュラーを奪取。1-1で引き分けた第29節インテル戦をはじめ当たった試合ではスーパーセーブを連発し能力の高さを示したが、試合ごとにムラが目立ち残念ながらパフォーマンスの安定感は皆無だった。現時点では来季も正ゴールキーパーという位置付けだが、正直なところ到底レギュラーは任せられない。来たるべき夏のメルカートに向け首脳陣は新たな正ゴールキーパー候補を物色中との報道もあり、来季も残留するのであれば再び控えに回る事になりそう。
3. グレイソン・ブレーメル 9.0☆
セリエA 33試合出場 3得点 1アシスト
コッパ・イタリア 0試合出場
セリエA最優秀DF賞を受賞した今季の彼のパフォーマンスの素晴らしさは、今さらここで言及する必要もないだろう。リーグ屈指の堅守を築いた守備陣のリーダーとしての役割を完璧にこなし、アンドレア・ベロッティやロランド・マンドラーゴラ不在時はキャプテンマークも巻いた。トリノにおいて間違いなく今季のベストプレーヤーだったと言える。彼のステップアップは火を見るよりも明らかではあるが、やはり寂しいものだ。しかしプレーヤーとして1人の男として大きく成長したトリノから、より大きな舞台へと羽ばたく彼を笑顔と拍手とともに送り出したいと思う。ありがとう、グレイソン。幸運を祈る。
4. トンマーゾ・ポベガ 7.0
セリエA 33試合出場 4得点 3アシスト
コッパ・イタリア 0試合出場
彼もユリッチのもとで大きく成長した選手の1人。ミランからのドライローンで加入した彼をユリッチは当初「他クラブの若手の修行場にウチを使われるのは好きじゃない」とポベガを干しかねないようなコメントを残したものの、蓋を開けてみるとサスペンションや怪我を除いてほぼ全ての試合に出場。本職のメディアーノだけでなくトレクァルティスタとしての新境地も開拓し、アッズーリにも晴れて初招集を受けるまでに至った。スクデットを獲得したミランに帰る事が濃厚とされるがトリノは完全移籍での獲得に動いているとの報道もあり、「様子を見てみよう」といった状況だ。
5. アルマンド・イッツォ 6.0
セリエA 11試合出場
コッパ・イタリア 2試合出場
プレシーズンの時点では不動のレギュラーという位置付けだったが、シーズン開幕直後に負傷で約1ヶ月間戦線を離脱。その期間に復調を果たしたコフィ・ジジにレギュラーを奪われた上、ダヴィド・ズィマの台頭もあり昨季に続いて再び一時戦力外扱いというまさかの事態に陥ったものの、シーズン後半に訪れたジジとズィマ欠場の機会を見事に活かしレギュラーの座を奪い返す事に成功している。2年連続で同じ状況に置かれたにもかかわらず諦めなかった彼の姿勢はまさに"漢"だ。30歳になりセンターバックとして脂の乗った来季はシーズンを通してレギュラーを守り抜きたい。
6. ダヴィド・ズィマ 6.5
セリエA 20試合出場
コッパ・イタリア 0試合出場
21歳という若さでのセリエA初挑戦となるシーズンだったが、期待以上のパフォーマンスを見せたと言えるだろう。高さを活かした空中戦と一対一の粘り強さ、そして高い戦術眼で瞬く間にイタリアの水に馴染んでいる。主に3バックの右で出場したが、ブレーメル不在時は中央でもプレー。ティフォージの間では「ブレーメルの後釜はズィマでいいのでは?」との意見も見られるほど。ユリッチ曰く「まだまだ学ぶべき事は多い」が伸びしろは十分。次なるブレーメルは彼になるかもしれない。
7. シモーネ・ザザ -
セリエA 9試合出場
コッパ・イタリア 1試合出場
4年前の加入以降期待を裏切り続けてきた今季ついに戦力外に。カンピオナートでの出場数こそ9と思ったより多いものの、合計プレー時間はわずか115分。出た試合でどんなプレーを見せていたか全く印象にないため評価不能である。契約は残り1年なため買い手さえ付けば退団は確実だ。
9. アンドレア・ベロッティ 6.0
セリエA 22試合出場 8得点 1アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
負傷に悩まされシーズンの約3分の1を欠場したものの、チーム内得点王となったのはやはり流石。この得点数でトップになれてしまうトリノ攻撃陣の決定力の無さも同時に浮き彫りになったわけだが、得点以外の場面でもファウルを誘う技術やキープ力でチームに大きく貢献した。去就について様々な噂が飛び交う中でもトリノのためにひたむきにゴールを狙う姿には、来季もトリノのキャプテンとして残ってくれそうな期待を持ってしまう。なお、ユリッチは記者会見で「ベロッティ?さっさと契約延長にサインすべきだ」とコメント。全くもってその通りである。
10. サシャ・ルキッチ 7.5
セリエA 35試合出場 5得点 4アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
5年前の加入以降その高い能力を燻らせ続けてきたが、ユリッチの就任によりついに才能が開花。シーズン前ヴァレンティーノ・マッツォーラの栄光の10番を背負う事に対し大きな批判を浴びたが、今や彼以上にその数字に相応しい者はいない。もともと持っていたピッチの広範囲をカバーする運動量とゲームメイク力に加え、今季は課題だった守備力が大きく改善された印象だ。熱くなりやすい性格は相変わらずだが、それもうまく活かせば強みのひとつ。中盤の選手の中ではチームベストの出来だった。
11. マルコ・ピアツァ 5.5
セリエA 24試合出場 3得点
コッパ・イタリア 2試合出場
これまでのキャリアにおいて多過ぎる負傷離脱に悩まされ続けてきたピアツァだが、それはトリノでも変わる事はなかった。加入当初は左シャドーのレギュラー候補だったが、ヨシップ・ブレカロの活躍と自身の度重なる負傷離脱により徐々にベンチに座る時間が大半に。コンディションの良い状態でピッチに立てば能力の高さを示していただけに、コンスタントにプレーできなかった点が非常に悔やまれる。加入形態はユヴェントスからの買取オプション付ローンだったが、残念ながら買い取られない事は確実だ。
13. リカルド・ロドリゲス 7.0
セリエA 34試合出場 1アシスト
コッパ・イタリア 2試合出場
今季のトリノにおいてベストサプライズ賞を授与するとしたら、このスイス代表ディフェンダーが筆頭候補になるはず。加入1年目の昨季は散々な出来だったため放出候補の1人としてピックアップされていたものの、ユリッチによって3バックにおける左センターバックのポジションを与えられ完全復活。堅実な守備と正確なビルドアップ、そして機を見たインナーラップを武器に不動のレギュラーとして見事なパフォーマンスを見せた。年間通してプレーの質が落ちなかった事も評価に値するだろう。
14. ヨシップ・ブレカロ 7.0
セリエA 32試合出場 7得点 2アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
セリエA初挑戦ながらも左シャドーのポジションで躍動。持ち味のドリブルだけでなくライン間に落ちて縦パスを引き出し、そこからサイドに展開し攻撃のスイッチ役を担うなど今季のトリノで攻撃の中核として活躍した。後半戦は若干パフォーマンスの質が落ちてしまったが、トリノでのプレーに対するモチベーションが低下した事が大きな要因だろう。事実、4月ごろ代理人を変更したブレカロはクラブに対し「チャンピオンズリーグでプレーしたい」とトリノに残る意志がない事を表明。これによりクラブは買取オプションを行使しない事を決断し退団が確定した。
15. クリスティアン・アンサルディ 6.0
セリエA 19試合出場 3アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
トリノでの4シーズン目を迎えた今季はベンチが定位置に。スタメンでの出場はわずか5試合だったが、そんな中でも3つのアシストを決めたのは流石である。さらに今季は先輩プレーヤーとして後輩選手の成長にも大きく貢献。ウイングバックとしてのプレーのいろはをヴォイヴォダに叩き込み、彼のパフォーマンス向上に大きな影響を与えている。トリノとの契約は6月いっぱいで満了となるが、既にSNSで退団の挨拶を済ませており、トリノでのプレーにピリオドを打った。5年間ありがとう、クリスティアン。
17. ウィルフリード・シンゴ 6.5
セリエA 35試合出場 3得点 4アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
トップチーム昇格3シーズン目を迎えた今季もシンゴの成長は止まらない。右のウイングバックで不動の地位を築き、驚異的なスピードとダイナミックなプレーで見る者を楽しませてくれた。ラインの低い守備ブロックを敷く相手に苦労する場面が見受けられるが、そういった守備網を攻略する術が身に付けばアフリカ最高クラスのサイドバックになれるはず。プレーがダイナミック過ぎる分、雑なパスなどもたまに見受けられたが、それを差し引いても見事なパフォーマンスだったと言えるだろう。
19. アントニオ・サナブリア 5.5
セリエA 29試合出場 6ゴール 5アシスト
コッパ・イタリア 0試合出場
ベロッティの離脱期間が長かった今季はワントップのレギュラーとしてプレー。6ゴールを記録してはいるものの、彼に訪れたチャンスの多さを考えれば物足りない数字である。ワンタッチプレーの上手さや効果的なポストプレーはいくつもあったが、ゴール前での怖さは圧倒的に足りなかった。攻撃のアクセントとしてなら十分に機能するが、エースストライカーとして据えるには正直器不足か。ベロッティの契約延長が叶わなかった場合、センターフォワードは確実に補強が必要となりそうだ。
20. シモーネ・エデラ -
セリエA 0試合出場
コッパ・イタリア 0試合出場
昨年5月に負った前十字靭帯断裂の重傷により、今季は治療とリハビリに費やした1年となった。プリマヴェーラ出身の元有望株ではあるが、確実にユリッチのプランには入っていないため、来季は新たなクラブを探す事になるだろう。得意の左足を活かしたドリブルに負傷の影響が出なければ、活躍できる場はあるはずだ。
22. デニス・プラート 6.0
セリエA 23試合出場 2得点 2アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
恐らく今季のトリノで1番"サッカーが上手い"のは彼だろう。思い返せば繰り出すプレーの全てが天才肌のそれだったように感じる。右シャドーのレギュラーとして数々のチャンスメイクに貢献したが、唯一悔やまれるのが負傷離脱期間の長さ。彼が不在の試合でトリノは攻撃の機能不全を起こしており、シーズンを通してプレーしてくれればチームとしてのゴール数ももう少し伸びたはずだ。ただユリッチからの信頼は非常に厚くクラブに対しレスターからの買取をリクエストしたとの報道も出ているため、是非とも残留してもらいたいところだ。
23. デンバ・セック 6.0
セリエA 6試合出場
コッパ・イタリア 0試合出場
冬にSPALから加入した際は将来への投資との見方が強くまだセリエAでプレーするには早いイメージだったが、長い手足を活かしたドリブル突破はスタメン出場した第34節スペツィア戦をはじめ既にセリエAでも通用する事を証明。途中出場した第32節ミラン戦では試合終了後にユリッチに直接ブチギレられていたが、それも期待の表れだ。ポテンシャルはユリッチも認めているため、自身に大きな伸びしろがある事を示せたという意味においてこの半年間はポジティブなものだったのではないだろうか。
26. コフィ・ジジ 6.0
セリエA 25試合出場
コッパ・イタリア 1試合出場
イッツォの負傷離脱もありシーズン前半戦は右のセンターバックでレギュラーの座を獲得。粘り強い守備と切れ味抜群のタックルで加入当初の評価を取り戻したが、シーズンを通して3つものリゴーレを献上しているのだけはいただけない。ペナルティエリア内での慎重さを欠くディフェンスを繰り返してしまった事、そしてイッツォの復活により後半戦は主に再びベンチに座る事となったものの、リゴーレさえ与えなければレギュラーに値する実力者である事は誰の目にも明らかだった。
27. メルギム・ヴォイヴォダ 6.5
セリエA 29試合出場 3アシスト
コッパ・イタリア 1試合出場
シーズン開始当初は右ウイングバックのシンゴの控えという立場だったが、シーズン中盤に左にコンバートされレギュラーを奪取。前述の通りアンサルディからのアドバイスが非常に大きいとは本人も語っており、アンサルディが得意とするキックフェイントから逆足に持ち替えての正確なクロスを見事に受け継いでいる。トリッキーなボールタッチと豊富すぎる運動量で左シャドーのブレカロと強力なアタッキングユニットを形成した。左サイドに回った事によりカットインからのシュートという新たな引き出しも手に入れたため、アシストだけでなく来季はゴールにも期待したい。
28. サムエレ・リッチ 6.5
セリエA 21試合出場 1得点 1アシスト(エンポリ)、12試合出場(トリノ)
冬の加入後数試合は出場機会がなかったが、その"順応期間"を経てピッチに立つとレギュラー争いに名乗りを挙げるようなパフォーマンスを見せてくれた。マンドラーゴラの負傷離脱もあったとはいえ、シーズン終盤はほとんどの試合にスタメン出場しルキッチとの連携を深めている。パスセンスや展開力も装備しながら同時にボール奪取の能力にも秀でているため、レジスタというよりトゥットカンピスタ(万能型)という表現の方が近い印象がある。ユリッチのもとで彼がどのような進化を遂げていくのか、非常に楽しみだ。
32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ 5.0★
セリエA 27試合出場 33失点 4クリーンシート
コッパ・イタリア 1試合出場 1クリーンシート
元から期待値が低かったという事を差し引いても、今季のトリノでは間違いなくワーストプレーヤーだった。ゴールキーパーからのビルドアップを重視するユリッチによって足元のスキルの高さを買われ正ゴールキーパーを任されたものの、肝心の"ゴールを守る"仕事がセリエAのレベルに達していないというのが正直なところである。少しだけ調子の良かった昨年11月ごろセルビア代表デビューを果たしたが、このままでは二度と呼ばれないだろう。シーズン終盤にベリシャにレギュラーを奪われた後から退団の噂が絶えない状況だ。
34. オラ・アイナ 5.5
セリエA 21試合出場
コッパ・イタリア 2試合出場
シーズン序盤は左ウイングバックにおいて大半の試合でスタメン出場したが、相変わらず微妙なプレーぶりに終始。アフリカネーションズカップに参加しチームを離れている期間にヴォイヴォダが安定したパフォーマンスを見せたため、後半戦はベンチが定位置となった。攻撃の面においてもパスミスやボールロストが目立ったが、何よりも守備面において軽いディフェンスが散見されるという弱点を全く克服出来ていない。右ウイングバックとして最後の2試合にフル出場したがこのチャンスをも活かせず。来季も残るのであれば基本的にベンチから試合を眺める事になるだろう。
38. ロランド・マンドラーゴラ 5.5
セリエA 21試合出場 2アシスト
コッパ・イタリア 2試合出場 1得点
出場した試合ではいずれも及第点のパフォーマンスを見せたが、彼の能力を考えれば正直物足りない印象だった。コンビを組む事の多かったルキッチに比べ存在感の感じられない試合もちらほら。後半戦は負傷の影響もあってコンディションが整わない中新加入のリッチが台頭したため、もはや絶対的なレギュラーではなくなった格好だ。ただ、トップフォームさえ取り戻せばチームの柱となれる選手だけに、現在交渉中であると報じられるユヴェントスからの完全移籍実現を願いたいところである。
64. ピエトロ・ペッレグリ 5.5
セリエA 6試合出場(ミラン)、9試合出場 1得点(トリノ)
コッパ・イタリア 0試合出場
ユリッチがジェノアでデビューさせた教え子だけあって、負傷癖が治らない割には比較的多くの出場機会をゲット。トリノでのこの半年間で自身に眠るポテンシャルは確かに見せた。持ち味のポストプレーに加え荒削りながらも果敢なドリブルは強豪相手でも確実に通用していたように思えるが、サナブリア同様ゴール前での怖さが足りない上やはり怪我が多過ぎる。この負傷癖のせいで来季もトリノに残るかどうかには大きなクエスチョンマークが付いてしまうが、個人的にはもう少しトリノで見てみたい。
70. マグナス・ワルミング -
セリエA 4試合出場
コッパ・イタリア 1試合出場
デンマーク2部リーグからセリエAへと急激なステップアップを遂げた今季、指揮官を納得させる事に失敗。夏からトリノに加入したにもかかわらず同ポジションで冬加入組のセックに出場試合数で負けている事からも、ユリッチにとってはまだ戦力として計算出来ないという事だろう。コンスタントな出場機会さえ得られれば伸びそうな器だけに、来季はローン修行などで自身の価値を監督にアピールしたいところだ。
77. カロル・リネッティ 5.0
セリエA 16試合出場 2アシスト
コッパ・イタリア 2試合出場 1アシスト
率直な感想を述べるなら中途半端。センターハーフを主戦場とするリネッティだがメディアーノで起用するにはプレー強度が足りず、トレクァルティスタで起用するにはクオリティが足りない。ユリッチ流3-4-2-1のフォーメーションには居場所がない印象だ。現所属選手の中で最もユリッチ戦術にフィットしていない選手と言わざるを得ない。トリノには昨シーズン大きな期待とともに加入したが2年目の今季もインパクトを残せず。セックやリッチが加入した今立場はさらに厳しいものとなっており、新天地を求める事はほぼ確実だ。
89. ルカ・ジェメッロ -
セリエA 1試合出場 1クリーンシート
コッパ・イタリア 0試合出場
近未来の正守護神候補筆頭であるジェメッロは今季第3キーパーとしての立場でチームに残留。第21節フィオレンティーナ戦でトップチームデビューを果たし見事にクリーンシートを達成している。安定感はベリシャやミリンコヴィッチ=サヴィッチを既に上回っており、現代的なゴールキーパーとして足元の技術も堅実。ティフォージからは「シーズン後半戦はジェメッロを正キーパーに」との声も非常に多く挙がったほどだ。ゴールキーパーの補強次第ではローン修行に出向く可能性もあるが、出来るだけ高いレベルのカテゴリーで腕を磨いて欲しいものだ。
93. モハメド・ファレス -
コッパ・イタリア 0試合出場
冬にジェノアでのローンを打ち切り、4年越しとなるトリノ加入が実現したものの加入数日後の練習中に前十字靭帯断裂の大怪我を負ってしまった。個人的には4年前からアンサルディの後継者として望んだ選手だったためこのような結末は非常に残念だが、トリノでの公式戦は1試合も出場がないままラツィオに返却される事が濃厚。本人にとっても悔しい結果となったため、新天地での再起を期待したい。
99. アレッサンドロ・ブオンジョルノ 6.5
セリエA 23試合出場 2アシスト
コッパ・イタリア 2試合出場
3バックの左でロドリゲスとハイレベルなポジション争いを繰り広げた。22歳という年齢ながらも落ち着き払ったその守備技術で今季もさらに評価を高めた印象だ。3バックの両脇にインナーラップでの攻撃参加を求めるユリッチのリクエストにも柔軟に対応。状況を見据えた上でのオフザボールの動きからは戦術理解度の高さが窺える。ズィマと同じくブレーメル不在時に中央でもプレーしたがこちらでもユリッチの期待に応えており、ついに先日イタリア代表合宿にも晴れて初となる招集を受けた。来季もロドリゲスとのポジション争いに挑み、レギュラーの座を狙う。