トリノFC情報局

セリエAの古豪・トリノFCの情報を掲載しています。コメントお待ちしてます!

【不調はある意味必然的?】低迷するトーロの現在

5勝2分7敗の14位。悲しいかな、第14節終了時点でのトーロの戦績だ。モレッティが引退した以外は夏のメルカートで主力を1人も売却しなかった上、ヴェルディラクサールなどチーム力の引き上げが期待できる新戦力も獲得。リャンコボニファーツィなど成長目覚ましい若手もローンバックし、現地メディアの中にはトーロのチャンピオンズリーグ争い参戦を予想した媒体もあったほどだ。

 

しかしながらここまでのトーロは欧州争いどころか降格圏の方が近いという醜態を晒している。今季はまだまだ始まったばかりとはいえ、昨季の粘り強さは見る影もない。ホームではなんと2ヶ月も勝利がなく、挙げた得点もたったの6。チームとしてのポジティブな話題もほぼなく、状況はどう考えても最悪だ。

 

そこで今日は、お馴染みWhoscored.comからデータを拝借し現在のトーロを分析してみようと思う。様々な事象を"見える化"することでトーロの現状と課題、解決策を探っていこう。数字は多くを語る。不調の理由もそこに隠されているはずだ。


f:id:sft1995:20191206013504j:image

攻撃面でのスタッツ

※順位はセリエA他チームとの比較。数字は第14節終了時点のもの

  • ポゼッション : 49.6%(12位)
  • 平均シュート数 : 11.1回(18位)
  • 平均枠内シュート数 : 3.8回(16位)

 

いきなりだが不調の原因はほぼこれだろう。ボールを保持できていない上、フィニッシュまでの到達率が完全に残留争いレベル。大枚を叩いて獲得したヴェルディの不振、ファルケの負傷離脱など運の悪さも相まって酷すぎる数字がデータに表れている。

 

  • 平均ドリブル数 : 17.4回(5位)
  • 成功 : 10.7回(5位)
  • 失敗 : 6.6回(6位)
  • 平均被ファウル : 14.4回(5位)

 

ドリブルが多いのは、それしか選択肢がないから。試合を見ていれば分かるがオフザボールの動きが非常に少ないトーロは、味方ボールホルダーへのサポートがないに等しい。パスという選択肢がない分、個での打開を試みざるを得ないのだ。だが闇雲に仕掛けるドリブルの成功率などたかが知れている。絶対数が多い分成功数も多いが、失敗数も同様に多い。

 

  • 平均ロングパス成功数 : 33回(5位)
  • 平均ロングパス失敗数 : 27.5回(5位)
  • 平均ショートパス成功数 : 269.3回(15位)
  • 平均ショートパス失敗数 : 51.2回(12位)

 

ロングパスは成功数も失敗数もともにリーグ上位。要するに中盤を省略し前線へ放り込む、数打ちゃ当たる戦法を採っているということだ。ポストプレーやキープ力に優れるベロッティ目掛けて蹴りまくっていることが、恥ずかしいくらい顕著に数字に出ている。上記の被ファウル数の多さもそのため。相手を背負ってボールを受けたベロッティがなんとか相手のファウルを誘ってくれた結果である。実際にベロッティ個人の被ファウル数は平均3回。これはセリエA全選手の中で現在3位の数字だ。

 

  • 平均タッチミス数 : 16.4回(3位)
  • 平均ボールロスト数 : 10.2回(5位)

 

ここに表れているのは、"なぜ数打ちゃ当たるロングパス戦法を採用しなければならないのか"。理由はシンプル。このデータの通り、サッカーが下手だからである。一部を除き、今のトーロの選手たちには短いパスをたくさん繋いでゴールに迫るなど無理な話。昨季はフィジカルのゴリ押しで誤魔化せていた、チームとしてのテクニックの乏しさに他クラブはもう気付いており、ミスを誘うための守備を敷かれてしまっている。ラグビーが通用するのは1シーズン限定だったというわけだ。

 

  • 空中戦の平均回数 : 37.1回(4位)
  • 勝利 : 19回(2位)
  • 敗北 : 18.1回(4位)

 

これに関して感想はただ一つ。ロングボールばっか蹴ってるんだしそりゃそうだ。

 

スタッツから分かる攻撃時の現状
  • ショートパスの精度の低さにより、ロングボールに頼り過ぎている
  • オフザボールの動きに乏しいため、ボールホルダーがドリブル突破を強いられる場面が多い
  • タッチミスや不用意なロストが多すぎる

 

守備面でのスタッツ

 

  • 平均タックル数 : 23.4回(16位)
  • 成功 : 15.8回(8位)
  • 被ドリブル突破 : 7.6回(17位)

 

タックル数は少ないにもかかわらず成功数はますまず。被ドリブル突破も少ない。昨季に引き続き、一対一の局面で負けていないことが分かる。だがそこからマイボールになることはあまりなく、カウンターに繋げることができた印象はない。なぜか?まあなんとなく分かるけど。

 

f:id:sft1995:20191206030701j:image

  • 平均ファウル数 : 15.6回(1位)

 

やっぱり。

 

  • 平均インターセプト数 : 12.7回(1位)
  • 平均被シュート数 : 16.9回(5位)
  • 平均シュートブロック数 : 4.4回(5位)
  • 平均クロス阻止 : 1.4回(14位)
  • 平均パス阻止 : 7.4回(3位)
  • 平均クリア数 : 21.2回(6位)
  • 平均セーブ数(GK) : 4.1回(3位)

 

攻撃のクオリティの低さは守備陣にツケが回ってくる。守る時間が必然的に増えるからだ。今季ここまで守備陣の印象は昨季ほど良くないが、被シュート数の多さに表れている通り攻められる時間が多い中、シリグをはじめとした守備陣は良くやっている方だ。エンクル問題が解決してなかったらどうなっていたことか...考えただけでも恐ろしい。

 

スタッツから分かる守備時の現状
  • 攻撃陣の不甲斐なさにより必然的に守備の時間が多く、守備陣は完全にオーバーワーク
  • 昨季ほどバイタルエリアの締まりが良くなく、シュートを撃たせすぎている。シリグの能力ありきのディフェンス
  • 昨季に引き続きファウルが多過ぎる

 

 

【まとめ】一番の問題は技術面。もっとサッカー練習しろ!

 

先ほども述べた通り、トーロはとにかくサッカーが下手。それは昨季から分かっていたことではあるが、マッツァーリによるフィジカルを活かしたアグレッシブな戦術に他チームがうまく対応し切れていなかった昨季とは異なり、今季はもう弱点がバレバレなのである。ここまでの不調はある意味必然的だったと言わざるを得ないかもしれない。

 

解決策としては以下の3つが挙げられるだろう。

  • アクセントとしてボールスキルに優れた司令塔タイプの選手を獲得する
  • ショートパスの成功率を上げるため、またベロッティの孤立を防ぐため選手間の距離をコンパクトに保つ(今のトーロは間延びが酷い)
  • さっかーをもっとれんしゅうする

 

最もシンプルかつ効果的なのは3つ目で間違いない。ラグビーこそトーロ再浮上のカギだ。監督解任の噂や怪我人情報など、良い話題が何一つとして出ない最悪な時期ではあるが、昨季見せた不屈の魂で何とか盛り返して欲しいところ。ここからの巻き返しに期待したい。