トリノFC情報局

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【DAZN Talks】ヴォイヴォダ :「当たり前の毎日が幸福の連続」

今季からユリッチに左ウイングバックという新たな役割を与えられ、見事にレギュラーの座を掴んでいるメルギム・ヴォイヴォダ。繊細な足下のスキルや両足を器用に使いこなすプレーぶりで、クリスティアン・アンサルディの正統後継者として評価を高めている。そんなヴォイヴォダが先日、DAZN TalksというDAZN Italiaが提供する番組に出演した。生い立ちやトリノでの日々、そしてプライベートなど様々な質問に答えている。

 

ちなみにDAZN TalksはTwitch*上で視聴者が参加できる形式の番組で、Twitchアカウントを通して選手に直接質問ができるという魅力的なコンテンツである。あまり大きな声では言えないかも知れないが、VPNに接続しTwitchのアカウントを作成すれば恐らく日本からでも視聴可能だ。セリエA各チームの選手たちが定期的に出演しているため、興味がある方はぜひ調べてみて欲しい。

*Amazonが提供するライブストリーミング配信プラットフォーム

 

では、早速視聴者からの質問やコメントを見ていこう。

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ー結婚してるんだっけ?

いや、まだだよ。

 

ー君はすぐ恋に落ちるタイプ?それとも時間が掛かるタイプ?

僕は恋に落ちたことがあまり無い。今の僕はサッカーに集中してるけど、その時はいずれ訪れると思うよ。母からのプレッシャーもあるしね...

 

ーファンタカルチョ*は好き?

*活躍しそうな選手11人を試合がある都度選出し、実際の活躍度合いによって変動するポイント獲得数を競うゲーム

イタリアに来たばかりの時は存在を知らなかったけど、ジジやルキッチに説明されて知った。彼らはいつもプレーしているよ。ある試合で僕はイエローカードを貰ったんだけど、その事をなぜか2人に怒られちゃったんだよね。僕はプレーしていないけど、それでなんとなくファンタカルチョの仕組みが分かったよ。怒られるのが嫌だから、それ以来カードは貰ってないんだ(笑) 2試合連続でアシストを決めた時はなんか褒められたよ。ファンタカルチョをやってるフィジオテラピストのパオロもいつも僕に謎のプレッシャーを掛けて来るんだ。他の選手だとザザ、ベロッティ、ポベガなんかもやってるみたいだよ。

 

ーチームの中で君のニックネームは何?なんて呼ばれてるの?

僕のファーストネームは"メルギム"だけど、ユリッチが最初間違えて"メグリム"って呼んできたんだ。今ではチーム全員がそう呼んでくるようになってしまったよ(笑) イタリア語を普段使っている人たちに僕の名前が発音しづらいのは分かってるから、今さら訂正するつもりも無いけどね。

 

ーチームで1番仲が良いのは誰?

もちろんみんなと仲が良いけど、1番笑えるヤツはイッツォだね。アンサルディも人生楽しんでる感が凄いよ。ただ1人挙げるとするならやっぱりイッツォ。今日はちょうど彼の誕生日*だね。愛してるぜブラザー!誕生日おめでとう!

*この日はイッツォの誕生日の3月2日

 

ーアンサルディの存在はあなたの成長に影響を与えている?

彼と話すのはとても好きだ。とても経験豊富な選手だからね。いつもたくさんのアドバイスを貰っているよ。例えばドリブルを仕掛けるかシンプルにプレーするかの判断とかね。彼はいつも若い選手に対してアドバイスをしてくれる素晴らしい先輩だと思うよ。

 

ーユリッチとの関係はどう?

僕はプロフェッショナルだから、監督との距離感は大事にしている。だけど、彼がチームの前で話す時、なるべく僕はメモを取るようにしているんだ。そして彼が要求した事をピッチで表現できるよう努力している。彼が言う事は正しい事ばかりだからね。たくさんの事を彼から教わっているよ。

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ーユリッチとのエピソードは何かある?

僕を抱きしめて"お前は俺の大事な戦士だ"って言ってくれた事がある。嬉しかったね。クラブや監督への僕の忠誠心を彼に理解してもらっている事が分かったよ。

 

ーユリッチのトレーニングはやっぱりキツいの?

マンマミーアって言いたくなるレベルでキツいよ...ただ、正しい手法ではある。常に強い気持ちを持ってハードワークする。これが僕らのメンタリティだ。

 

ー君のアイドルは誰?

ロナウジーニョ。彼はいつも笑顔を忘れずプレーしていたからね。僕と同じポジションでならダニ・アウヴェス。言うまでもなく偉大なスペシャリストだね。

 

ークルヴァ・マラトーナ*の声援は力になっている?

*トリノのサポーターが陣取る観客席

もちろん。僕らには彼らが必要だ。残念ながらコロナのせいでしばらく一緒に戦えなかったけどね。彼らの熱い声援は大好きだよ。試合も70分くらいになると足に疲労を感じ始めるけど、そんな時彼らがエネルギーを分けてくれるんだ。

 

ースペルガへ最初に行った時の感想を聞かせて。

個人的に行ったのは去年だ。コロナのせいでチームでの訪問は出来なかったけど、友人とプライベートで行ったよ。歴史を作ったこのユニフォームを纏う事に誇りを感じたね。

 

ートーロから最初にコンタクトがあった時はどうだった?

美しい歴史を持つクラブはすごく好きだ。僕が前いたスタンダール・リエージュもこの点においてトーロと似てると思うよ。ヴァニャーティSDから最初に連絡を貰った時、すぐにイエスと言った。トーロの魅力的な歴史の話を聞かせて貰い、僕はすぐに魅了されたんだ。今ここにいる事がとても幸せだよ。目に見える結果を残したいね。

 

ーイタリアのサッカーに適応する上で苦労した事は?

ベルギーとイタリアはあらゆる面において異なるね。ここイタリアはより戦術的で、とても頭を使う。例えばベルギーではスペースを見つけ次第すぐに使うけど、イタリアではそこを使うべき適切なタイミングの判断も求められる。ベルギーでのサッカーは本能的な要素が濃かったけど、イタリアでは従うべきセオリーが常に存在しているんだ。

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DAZN Talksの放送風景。中央の美女はジャーナリストのバルバラ・チリッロ(Barbara Cirillo)嬢と当方にて調査済み。

 

ー"メルギム・ヴォイヴォダ"という男について聞かせて。

僕はドイツで生まれた。当時僕たちの国コソヴォは戦争中だったからね。僕の父も兵士として参加していたよ。その後コソヴォに帰り、1年半を過ごした。戦争が終わった後家族でベルギーに移り、そこで僕は育ったんだ。僕はこれまでの人生でたくさんの犠牲を払ってきた。その経験が僕という人間を作っていると思うよ。当たり前の日常がいかに幸せかを理解する事ができる。

 

ーたしか君の家はとても大家族だよね。

そうだね。僕には姪っ子もいるんだ。母は"孫が欲しい"と僕にいつもプレッシャーを掛けてくるよ。いつ結婚するの?彼女はできた?って電話してくるんだ(笑)

 

トリノの街に家族を招待した事はある?

僕はこの街が大好きだ。コロナのせいもあってまだ探索していない場所もあるんだけど、姪っ子たちとアルバに行った事はあるよ。ここは食べ物が本当に美味しいね。

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アルバの風景。トリノから南東に約50km離れているが、鉄道も整備されており日帰りでの観光も可能。白トリュフや赤ワインが名産として知られる。

ー食べ物は何が好き?

パスタがめちゃくちゃ好きだよ。魚が入ってると最高だね。

 

トリノに訪れる人々に食べ物で何をオススメする?

プリンや肉入りのラヴィオリ。僕の家に来れば振る舞ってあげるよ。

 

ー料理するんだね。

たまにね。母が家に来た時は作ったりする程度だよ。

 

ーロッカールームでよく踊ってるのは誰?

イッツォ。そしてアンサルディ。音楽を掛けるのはアイナだけど、踊るのはイッツォだ。DJアイナはよくヒップホップを掛けるけど、イタリアの曲も掛けてるよ。

 

ーユリッチは厳格なイメージがあるけど、彼がロッカールームに入って来たら君たちは静かになるの?

そんな事もないよ。僕らは家族みたいなものだし、働く時は働く、冗談を言う時は一緒に笑う。全員で夕食を食べに行く事もあるしね。

 

ー将来の自分はイメージできる?

分からない。僕は一日一日を大事に生きているからね。当たり前の毎日が幸福の連続なんだよ。だから5年後や10年後自分がどうしているかは分からないね。

 

ー試合前、君を焚き付けるものは何?

僕の兄だ。7つ歳上なんだけど、幼い頃から色んな事を彼から教わった。サッカーを教えてくれたのも兄だったんだ。父には"プロサッカー選手になれる人間は少ないのだから、勉強を頑張りなさい"と言われていたけど、一方で兄はいつも僕に可能性を感じてくれていた。今でも試合後にダメ出しを食らったりするし、改善すべき点を教えてくれたりするんだよ。

 

ーチームで1番オシャレなのは?

僕だね。うん、冗談だよ。これもイッツォかな。からかってる訳じゃなくて、本当だよ。彼の私服姿はとてもカッコいいと思う。ベルギーではこんなにエレガントな着こなしをする人を見た事がないよ。あとはマンドラーゴラやルキッチもとてもオシャレだね。

 

ーアンサルディって結構ダサいよね?(ボルハ・バレーロからのコメント)

そうだね(笑) 彼は服装に気を遣わないからよくからかわれてるんだけど、あんまり気にしてないみたいだよ。

 

ーぶっちゃけブレーメルってそんな凄いの?

本当にバケモノだよ。物凄い成長を遂げているね。彼はまだ若いし、ここからさらに成長するだろう。契約延長もしたし、まだまだここにいて欲しいね。

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ーブレーメルのどういうところが凄い?

まずフィジカルが凄く強いけど、1番はトレーニング量だね。彼は常にジムかピッチにいるイメージだ。彼の成長は、努力をそばで見てきた僕からすれば案の定って感じだよ。

 

ーベロッティやヴァンヤとの関係は?

ヴァンヤとは1年間スタンダールで一緒にプレーしたから、よく知る仲って感じだね。僕がトーロに来た時は驚いていたよ。イタリアでの生活に慣れるよう助けてくれた。"セリエAこそが本当のサッカーだ"って言ってたよ。ベロッティはトーロを象徴する選手で、セリエAで100ものゴールを記録してきた。尊敬に値するよ。チームのために全てを尽くす男だね。

 

ー試合前のルーティーンはある?

ピッチで神に祈りを捧げている。お互いのチームに怪我人が出ない事、そしてチームの勝利のためにね。それ以外は特にないかな。

 

ーオフの時間は何をするのが好き?

1人でいる時は、テレビを見たりNetflixを見たり、あとは音楽を聴いたりしてるかな。家でゆっくり過ごすのがとても好きなんだ。

 

ーサッカー選手になっていなかったら、何になりたかった?

これは即答できる。整備士とか電気技師とか、手を使って作業する仕事に就いていたと思う。学校には行ってたけど勉強が好きではなかったから、サッカー選手としてお金を貰っているのはとても幸運な事だと思っているよ。

 

ー音楽は何を聴くの?

フランスの音楽をよく聴くよ。お願いだから、今歌ってとか言わないでね?

 

ー記憶に残ってる試合はある?

トーロでのデビュー戦。アウェイのフィオレンティーナ戦だったんだけど、ユニフォームを着てピッチに立った瞬間、自分がセリエAというハイレベルな舞台に辿り着いた事を実感した。もう1つはサポーターでいっぱいのスタジアムで、コソヴォ代表としての初ゴールを決めたチェコ戦だね。

 

ー君にとって代表は何を意味する?

代表でプレーする事はたくさんのものを背負うという事。国を守る兵士のような感覚だよ。サッカーを通して、コソヴォという国の存在を主張できる。実際、僕のイタリア人の友人はコソヴォという国を知らなかったらしいけど、セリエAでプレーするムリチやラフマニ、そして僕などのコソヴォ人選手の影響で存在を知ってくれたと言ってたよ。