新シーズンのポジション争いはこんな感じ
25/26シーズンはまさかの監督交代からスタートした。
浮き沈みの激しいチームではあったものの、限られた戦力からある程度戦える集団を構築したパオロ・ヴァノーリ前監督だったが、ウルバーノ・カイロ会長の暴走により解任。トリノはマルコ・バローニを新監督に据え再スタートを切っている。しかしここまでの戦いはポジティブなものなのか。それともネガティブな印象を与えているのか。ティフォージなら誰もが後者だろう。第6節ラツィオ戦のパフォーマンスは及第点をつけられるものだったため一旦は首が繋がったバローニだが、セリエA監督解任レースにおいてはいまだCL争いを演じていることは疑いようがない。
バローニがあとどれくらいトリノのベンチに座っているかかなり不透明ではあるが、今回はここまでの戦いで見えてきたポジション争いの現状を整理していく。

ポジション争い
GK

ナポリへとステップアップしたヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの後釜として選ばれたのは元ユヴェントスU23のフランコ・イスラエル。派手さはないがセービングも比較的安定しており、ヴァンヤほどではないもののキックの精度も悪くないといった印象だ。まだ25歳と若く伸び代も残しているため、ひとまずはポジション確保と見て良さそうだ。
ベンチにはアルベルト・パレアーリとミハイ・ポパが控えているが、前者はコッパ・イタリア2回戦のピサ戦で好パフォーマンスを披露し、後者もプレシーズンマッチで評価を上げた。レギュラー奪取は困難だが、彼らの存在がGKの層を厚くしていると言えるだろう。
DF

センターバックで最も序列が高いのはギジェルモ・マリパン。プレシーズン初頭はバローニからの評価が低く3番手ほどの扱いであったが徐々に信頼を得ていった形だ。マリパンに続くヒエラルキーはサウール・ココ、アルディアン・イスマイリ、アダム・マジーナの順番となっており、メイン戦術が3バックか4バックか不確定な状況もあってメンバー構成は比較的流動的な印象だ。サゾノフ...
サイドバック/ウイングバックは右がマルクス・ペデルセンがファーストチョイスで、左がニエル・エンクンク。ペデルセンは元々持っていた走力に加え今季はキックの精度も心なしか上がっているような印象で、少しずつポテンシャルを発揮し始めている格好だ。フランクフルトから加入したエンクンクは一言で言うと左利きのウィルフリード・シンゴ。突破力やクロスの精度で早くもティフォージの心を掴んでおり、前節ラツィオ戦でも見事な突破からチェ・アダムスのゴールをアシストしている。
一方でヴァレンティーノ・ラザロやクリスティアーノ・ビラーギにはいいプレーがほとんどなく立場は非常に苦しい。夏にセリエB行きを拒否したアリ・デンベレにも自らの愚かな選択のツケが回ってきているという状況だ。
MF

メディアーノの序列トップはチェーザレ・カザデイ。パフォーマンスはプレシーズンから全く良くはないが、チーム随一のダイナミズムを買われてポジションを守り続けている。次点がインテルから加入したクリスティアン・アスラニで、それに続くイヴァン・イリッチ、アドリアン・タメーズがほぼ横一線といったところだ。
コンディションが全く整わないファウスティーノ・アンジョリンも半ば蚊帳の外で、若手のエミルハン・イルカンやグヴィダス・ジネイティスにはデュエル面で不安がありバローニからあまりチャンスを貰えていない。MFのセクションは全員が安定感に乏しい状況で、上記の通り絶対的な存在がいない状況。採用する戦術によって起用される選手は変わっていきそうだ。
FW

トレクアルティ(1.5列目)はシリル・エンゴンゲがバローニ本人のリクエストした補強ということもあって序列トップ。徐々にコンディションを上げてきており得意のドリブルにもキレが見られるようになってきた。一方ポジションをサイド寄りに移されたことでパフォーマンスの低下が著しいニコラ・ヴラシッチはやや評価を下げている。キープ力や運動量は流石だが、ゴール前で決定的な仕事ができていないため、やはりピッチ中央寄りでプレーさせてあげたいところ。
トゥールーズから加入したザカリア・アブクラルはいまだセリエAの水に馴染めておらず、レギュラー奪取はしばらくお預けだろう。ボールを持ってもどこかバタバタしておりリズムを掴めていない。トゥールーズでは攻撃の核だったため能力に疑いの余地はないが、イタリアに慣れるにはもう少し時間が必要か。負傷から復帰して間もないがプリマヴェーラ出身の若手アリウ・エンジエは比較的コンディションが良く、イルカンやジネイティス同様もう少しチャンスを与えても良さそうだ。
チェントラヴァンティ(最前線)はジョヴァンニ・シメオネが早くもチームにフィット。組み立ての局面だけでなくゴール前でも相手の脅威となっている。途中出場がメインのチェ・アダムスもパフォーマンス自体はレギュラークラスだが、2トップを頑なに採用しないチーム事情によってベンチに追いやられている格好だ。カピターノのドゥヴァン・サパタは長期の離脱から復帰はしているものの、トップフォームではないとのことでほとんど出場なし。フィジカル的にどういった状態なのか不明だが、レギュラーの座を失ってしまったことは間違いない。

補強ポイントは明白
もともと質も量も担保できていないが、アフリカネーションズカップが開催される今季、さらに補強の必要性は増している。ココ、マジーナが召集された場合本職はマリパンとイスマイリのみとなるセンターバックのセクションだ。仮に補強しなかった場合デンベレやビラーギをここで使わざるを得ないという地獄のようなシナリオが待っている危機的状況である。他のセクションは頭数は足りているが質が低い状態。しかしセンターバックは質どころか頭数すら足りていない。ここに補強がないとすれば、確実に残留争いにおいて苦しい戦いを強いられるだろう。
苦しい出だしとなったバローニ・トリノ。まずはパフォーマンスの継続性を見出し、監督解任レースから抜け出したい。