トリノFC情報局

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成功への鍵はブラッチェット・デストロ

25/26セリエA第7節、ホームに王者ナポリを迎えたトリノはジョヴァンニ・シメオネの恩返し弾により1-0で勝利。見応えのあるゲーム内容と納得のパフォーマンスで、監督交代を要求していた我々ティフォージを黙らせたナポリのミスにも助けられた部分は大きかったが、期待感の全くなかったこれまでの試合での攻撃や自動ドアのような守備はもはやなく、マルコ・バローニのチームは徐々にそのポテンシャルを見せ始めたと言えそうだ。

 

ようやく光が見え始めたトリノにどんな変化があったのか。ピッチ上での具体的な変化と継続へのヒントを見ていこう。

 

 

バローニはコンテに相性良し。2009年から続く不敗神話を更新した

Cambiamento del modulo

modulo(フォーメーション)のcambiamento(変更)。4-2-3-1に始まり4-3-3、3-4-2-1などベース布陣が定まらず半ば暗中模索状態だったバローニ・トリノナポリ戦の勝利を受け最適解が見つかった!と判断するには時期尚早とも思えるが、この試合でバローニが採用した流動的な3-4-1-2は、ここ2ヶ月の戦いの中で最もポジティブな印象を与えたと言って差し支えないだろう。

0-5と惨敗した第1節インテル戦のスタメン

プレシーズンから一貫して採用していた4バックは人選を問わず攻守両面で安定感に乏しかったが、第3節ローマ戦から3バックへ変更し守備面は改善の傾向にあった。あとは攻撃面というところだったが、ウイングのニコラ・ヴラシッチやシリル・エンゴンゲは孤立し個での打開に頼らざるを得ない状態に陥っていた。チェーザレ・カザデイなどといった前線への飛び出しを得意とする中盤の選手もうまく絡めずチームとして機能不全に。そもそもサイドが本職ではないヴラシッチは非常に窮屈そうに見えた。

1-0で勝利した第7節ナポリ戦のスタメン

悪夢のインテル戦からスタメンが実に6人入れ替わっている事実も当然のことながら、チームとして取り組むことにも変化が。ズバリ、オフザボールの動きである。ポジションチェンジが少なく相手に読まれやすい陣形で攻撃を試みていた4バックの時と比べ、ナポリ戦の3-4-1-2は非常に流動的に押し上げやスライドを行なっていた。

 

得点は1のみであったが、幾度となくナポリ守備陣を混乱に陥れたフレキシブルなサッカーは確実に継続すべきものだ。しかし継続へのヒントは一体どこにあるのだろうか。

 

La chiave è braccetto destro

イヴァン・ユリッチのトリノを覚えているだろうか。あのチームのボール保持局面において鍵となっていたのが当時のキャプテン、リカルド・ロドリゲスであったことは以前も当ブログにて触れたことがある。

giapponegranata.hatenadiary.com

当時のロドリゲスのポジションはbraccetto sinistro(ブラッチェット・シニストロ。"左腕"の意)。3バックにおける左を指すイタリア語の表現である。一方バローニの3バックにおいて鍵となりそうなのは逆のサイド。braccetto destro(ブラッチェット・デストロ。右腕の意)である。

 

ナポリ戦でその役割を見事に果たし、今後の浮上の鍵となるのはユリッチ就任前のロドリゲス同様、今夏放出候補だったアドリアン・タメーズだ。中盤が本職の彼がトリノの流動的なサッカーを支えていくことには早くも確信の空気感がある。

 

下の画像はナポリ戦の平均ポジション。タメーズはボール保持時機を見て何度も最終ラインを離れた。これによって全体が右にスライドし前方のカザデイも持ち場を離れ前線に参加、トレクァルティスタのヴラシッチも幾度となく左後方に落ちてビルドアップに参加したりと、時に3-5-2、時に4-2-2-2とトリノはチームとして非常に流動的なポジションチェンジをしていたことが分かる。事実、シメオネの得点も持ち場を離れて攻撃参加したタメーズのパスが起点となった。

ブラッチェット・デストロのタメーズは時に1.5列目として振る舞った

タメーズの存在により、不調が続くカザデイもパフォーマンスの向上が見込まれる。得意ではないビルドアップの局面での貢献を強いられていたこれまでと比べ、タメーズの押し上げで得意なゴール前への飛び出しにより専念できるからだ。ロングボールのターゲットとしても、より前目の位置でこの役割を担えることはチームにとっても利点が多い。

 

ナポリ戦で見えた光。今後のトリノにおいて、この流動的3-4-1-2の鍵を握るのはブラッチェット・デストロのタメーズで間違いない。