【新加入選手会見②】ズィマ :「準備は出来ている」
ヴァニャーティSD
“ダヴィドはとても若い選手だが、既にチェコリーグやヨーロッパリーグの舞台などで多くの経験を積んでいる。今年はチェコ代表としてユーロにも参加した。彼の獲得交渉は長いものだったよ。競合相手が複数いた中で獲得できた事を非常に嬉しく思う。ダヴィドは非常に賢い選手で、我々のシステムにも素早く適合している。ディフェンスラインを高く保つ守備についてはスラヴィア・プラハでも同じようにやっていたようだし、彼にとっては慣れたものというわけだ。ユリッチがすぐに彼を信頼し始めたのは偶然ではない。ここに来てからの最初の2週間で彼は我々の期待に応え始めたのだからね”
ー君はとても強い個性を持つ選手だけど、このチームが君に与えた影響はある?
ズィマ
“僕のプレーの特徴がどうやって生まれたのかは分からないけど、沢山の長所を持つ選手である事を示したい。トリノのためにプレーする準備は出来ているよ”
ー君のようにとても若い選手にいきなりチャンスを与える監督は滅多にいない。ユリッチは君への信頼と期待を隠し切れないようだけど、それに応える準備は出来ている?
“僕にはまだまだ学ぶべき事が沢山あるけど、すぐにプレー出来る準備は常にしておきたい。サレルニターナとの試合が僕にとって最後ではない事を願っているよ。できれば金曜日(サッスオーロ戦)もプレーしたいね。前節いきなりチャンスが貰えるとは夢にも思ってなかったけど、自分のプレーぶりには満足しているよ。だけど、もう少し成長するための時間が必要だとも感じている”
ー君に対するユリッチの最初の要求はどんなものだった?また、それを遂行するのに難しさは感じた?
“我慢強く、そして肩の力を抜いてプレーしろ。持てる最大限の能力を見せてこい。とだけ言われたよ。試合の前はいつも緊張するけど、いざピッチに入ると僕は余計な事は考えずただゲームに集中するようにしているんだ”
ーイタリアのサッカーに対する最初の印象はどんなものだった?
“この国には数々の素晴らしい選手たちがいる。そんなイタリアの地で20歳という年齢からプレーさせてもらえる僕は幸運だと思う。クオリティの高いチームが多い印象を受けるよ。当然僕らもだけど。僕たちが常に他のチームを上回っていたいね”
ー君の獲得に動いていたクラブは他にあったの?その中からトリノを選んだ理由は?
“それは僕の代理人に聞かないと分からないけど、とにかくトリノでプレーする機会を得られた事はとても嬉しいよ。そしてこの選択をした自分の決断にも満足している”
ー特に仲の良いチームメイトは出来た?
“チームメイトは全員僕を助けてくれるよ。特にデニス・プラートとは仲が良いと思うけど、彼1人に限定するつもりは無い。みんなが手を差し伸べてくれるんだ”
ーサレルニターナ戦でのパフォーマンスは素晴らしいものだったけど、金曜日の相手はより強力な攻撃陣を擁している。出場への意欲はある?
“当然だよ。以前ドメニコ・ベラルディとは代表戦で対峙した事があるんだ。また対戦できる事を嬉しく思っている”
ートリノは長期的プロジェクトの一環として君に投資した。今後2、3年を見据え、トリノはヨーロッパリーグの舞台に戻っているだろうか?
“そうだといいね。未来がどうなるかは分からないけど、成長と改善を続けていく必要がある事は確かだ。やるべき事は山積みだよ”
ー戦術的観点から見て、君はどんな選手?
“僕はとにかくよく走り、チームが苦しまないよう様々なシチュエーションにおいて注意深くプレーする選手だと思う”
ーどのポジションが一番やりやすい?
“前節は3バックの右でプレーしたけど、ポジションについてはあまり関心が無いんだ。ディフェンスラインならどこでも大丈夫だよ。3バックか4バックかについてもどちらでも構わない。トリノは3バックだけど、スラヴィア・プラハでもやっていたし問題ないよ”
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【新加入選手会見①】ベリシャ :「僕の価値を証明する」
ヴァニャーティSD
“エトリトのこれまでのキャリアを考えると、今さら紹介は不要だろう。私は前のクラブ(SPAL)で幸運にも彼を連れてくる事に成功したが、偉大なプロフェッショナルである事はすぐに分かったよ。たとえトレーニングであっても失点する事を嫌うような男だからね。私の意見ではイタリアでも最高のゴールキーパーの1人だ。今夏、私と彼はトリノでのキャリアがどのようなものになるか、非常に長い時間を掛けて話し合った。彼はすぐに私の熱意に共鳴してくれたよ”
ートリノでの最初の数ヶ月の自己評価は?街やクラブについてはどんな印象?
ベリシャ
“このクラブから話をもらった時、幸せな気持ちになったよ。トーロが素晴らしいクラブである事は誰もが知っているからね。ここ数年の低迷については知っているけど、ここには素晴らしい事を成し遂げられる強いグループがある。違いを生み出せる選手が多くいるんだ。良いシーズンを送れると確信しているよ”
ー感銘を受けた若手選手は誰かいる?
“もちろん沢山いるよ。ブオンジョルノにはポテンシャルがあり、偉大な選手に成長できるだろう。今隣にいるワルミングにも素晴らしいクオリティがある。成長への時間を与えるべきだね。
ー今季のトリノはキーパーからのビルドアップに重点を置いている。それについてはどう思う?
“SPALにいた時、当時の指揮官センプリチは僕らキーパーに対し足下の技術を求めていた。それがきっかけでスキルはだいぶ向上したよ。僕はボールに触れるのが好きだ。ユリッチもセンプリチと同じ要求をする監督。キーパーコーチたちは僕らがその要求に応えるための手助けをしてくれているよ”
ーミリンコヴィッチ=サヴィッチとのポジション争いについてどう思う?第2キーパーとしてここに来た事についてどう考えてる?
“僕は今夏ヴァニャーティSDと話をして、僕の経験は必ずチームの役に立つという事を伝えたよ。その時点で自分の序列については正直知らなかった。だけど僕は必ずチームの力になれる。自分の価値を証明する時は必ずやって来ると信じているよ。そこから誰がゴールマウスに立つのか、決めるのは監督だ”
ージェメッロやサヴァについてはどう?
“ジェメッロは技術的にも優れていて、レスポンスの速さが武器だね。素晴らしいキャリアを歩む事ができると思う。ただ、彼らにも時間が必要だね”
ー君のアイドルは誰?
“僕の中で最高のキーパーはいつだってファン・デル・サールだよ。いつも非常に落ち着いていて、他とは一味違うキーパーだ。僕もこうありたいと思っている。チームを落ち着かせ、常に助ける事を意識しているんだ”
ーアルバニア代表監督のレヤはトリノを指揮した事がある。彼とは何か話した?
“彼とは全てを話す仲だ。レヤはフェラーラにいた事もあるしね。彼は経験豊富な監督で、このクラブの事もよく知っているよ”
ー君はガスペリーニのアタランタでのプレー経験があるよね。ユリッチのチームと比較してどう?
“とてもよく似ていると思うよ。戦術だけじゃなく、試合へのアプローチもね。このやり方には慣れているし、僕個人にとってはアドバンテージになると思うよ”
Next記者会見 ▶︎▶︎▶︎ ダヴィド・ズィマ
イアゴ・ファルケ :「人生で最高の日々だった」
トリノFCは双方合意の下、イアゴ・ファルケとの契約を解除した事をここに発表する。クラブは同選手の献身性、プロフェッショナリズム、トーロへの多大なる貢献に感謝すると共に、彼のこれからのキャリアの成功を祈る – 9月1日、トリノFC公式Twitterより
2016年7月16日ローマからトリノへとやって来たスペイン人アタッカーの冒険は先日9月1日、契約解除というあまりにも残念すぎる形で終幕を迎えた。
トリノを退団後現在フリーエージェントとなっているイアゴ・ファルケ。そんな彼に9月7日、Tuttosportがインタビューを試みている。
ティフォージについて
“ここを去らなければならないのはとても残念だよ。僕はカロリーナ(ファルケの婚約者)とトリノのチェントロに家を買った。2人ともこの街の美しさに恋をしていたからだ。僕はここでキャリアを終えるつもりだった。トーロのユニフォームを着てね。色んなクラブを渡り歩いて来たけど、トーロは特別だよ。ティフォージは僕を愛し、勇気をくれ、応援し、そして守ってくれた。僕がトーロの選手ではなくなった今でもそれを続けてくれる。本当にファンタスティックだよ。今でも道で彼らに会うと声を掛けてくれるんだ。「ここに残ってくれ」ってね。僕はチームに残るための努力を惜しまなかったし、このクラブで続けるに値したと思っている”
トリノでのキャリア
加入当初から悪夢の2019年まで。彼はトリノでのキャリアを振り返る。
“僕がトリノでプレーした日々は本当にあっという間だったよ。僕に対して重要なオファーが届いた事もあったけど、僕はトリノと共に歩みたかった。この街で成長を続けたかったからだ。しかし4年目、僕は負傷という不運に見舞われてしまった。かつてヴァレンティーノ・マッツォーラが袖を通した栄光の10番を背負い、ヨーロッパリーグの舞台でプレーするはずだったその年にね。ヨーロッパリーグ予備予選の試合中に足首を骨折してしまった*僕はしばらくして戦線には復帰したけど、そこからの2ヶ月間はほとんど出場機会を得られなかったね。その影響もあってフィジカル面の問題が新たに発生するという負のスパイラルに陥ってしまった。そして1月、とうとう監督の構想から外れてしまったんだ”
*2019年7月25日に行われたEL予備予選2回戦デブレツェニ戦にてファルケは足首を負傷。ここから彼がトップフォームを取り戻す事はなかった
ローンでのトリノ退団
トリノで構想外となった後、イアゴ・ファルケはジェノアとベネヴェントへローン移籍。スペイン人アタッカーはその経験について次のように語っている。
“トリノで3年半を過ごした後、ジェノアにローンされた僕は何かが変わってしまった事に気が付いた。感覚的なものだけど、強くそれを感じたよ。メカニズムが壊れた時、それを以前のように戻す事は困難だ。あの時、トリノではもう以前の僕に戻れない事には気が付いていたんだ。否定はしないよ。とても難しい時期だった。ジェノアにローンされ、そして次にベネヴェントにローンされた。これまでのキャリアで最もハードな経験だったよ。この現実に向き合う精神的な準備が出来ていなかったし、それがフィジカル面にも影響を与えていたのかもしれない”
イヴァン・ユリッチについて
“僕はチーム練習には参加せず、今夏のプレシーズンの時間ほぼ全てを個人トレーニングに費やしたけど、最後の数週間は全体練習に参加するチャンスがあった。イヴァン・ユリッチは常に100%を要求し、常に高いインテンシティを望む監督だ。彼の下で1週間続けられたなら、それはフィジカル的に良い状態である事を意味する。そうでなければ彼の求めるレベルを持続する事は不可能だからね。トリノが彼を指揮官に選んだのは良い選択だと思うよ。僕はガスペリーニの下でプレーした事があるけど、ユリッチは彼の弟子でもあるし、試合へのアプローチや哲学が似ているね”
自身の将来
現在フリーエージェントとなっているファルケ。自身のコンディションは今のところ良いと語る。なお、将来については次のようにコメントした。
“状態は良い。「イアゴ・ファルケという選手がいた事」をサッカー史に刻んでキャリアを終えたいと思っている。正直契約解除という形でクラブを去りたくはなかった。僕は31歳だしまだまだこれからだよ。昨季はうまくいかなかったけど、それもキャリアの一部だ。問題は、一度貼られたレッテルを剥がすのは難しいという事。僕はまだ終わっちゃいない。それにすぐ気付かせてみせるよ”
別れの挨拶
“トーロのティフォージは特別だ。彼らの心を掴むのは簡単な事じゃないけど、一度掴めばずっと僕らの事を心に留めておいてくれるんだ。これは僕が実際に経験させてもらった事だよ。僕はたくさんのクラブでプレーしてきたし、トリノより大きなクラブにいた事もあるけど、モーレ・アントネッリアーナの下での日々はかけがえの無いものだ。トリノでの冒険では本当に色んな事があったよ。良い思い出だけでなく後悔や過ちもね。だけど、それらも含めトリノで過ごした年月は疑いようもなく素晴らしいもので、僕の人生において最高の日々だったよ。ティフォージは僕を愛してくれた。このユニフォームを見に纏い、君たちと最後まで一緒にいたかったな。それは現実にはならなかったけど、たとえ悲しい結末だとしてもいいじゃないか。だって、華やかな愛の物語が無かった事にはならないんだからね”
In bocca al lupo e ti voglio bene.
Sempre forza Iago Falque!
Ciao Iaguito!
了
【2021/2022】TORINO FC PRIMA SQUADRA
今夏の移籍市場も閉幕を迎え、各クラブは今季の陣容を確定させた。トリノは前節1-2で敗れたフィオレンティーナ戰後、「ここまで移籍市場に投資をしないなんて聞いてない(怒)」とクラブへの不満をぶちまけた指揮官イヴァン・ユリッチのコメントに奮い立ったのか、ウルバーノ・カイロ会長とダヴィデ・ヴァニャーティSDがメルカート最終日を目前にして有力選手を複数人獲得。スカッドの大幅なレベルアップに成功している。ちなみにトリノの選手たちの市場評価額の平均は現在セリエA10位だそうだ。
さて今回は期待の新戦力たちを含めた新生トーロの選手紹介を背番号順に書いていこうと思う。ちなみに今季のトップチームの平均年齢は25.7歳。セリエAでは5番目に若いチームとなっている。総員29名と人数がやや多いため長文での投稿となるが最後まで読んで頂ければ幸いだ。
- 監督 イヴァン・ユリッチ NEW!
- 1. エトリト・ベリシャ NEW!
- 3. グレイソン・ブレーメル
- 4. トンマーゾ・ポベガ NEW!
- 5. アルマンド・イッツォ
- 6. ダヴィド・ズィマ NEW!
- 7. シモーネ・ザザ
- 8. ダニエレ・バゼッリ
- 9. アンドレア・ベロッティ
- 10. サシャ・ルキッチ
- 11.マルコ・ピアツァ NEW!
- 13.リカルド・ロドリゲス
- 14. ヨシップ・ブレカロ NEW!
- 15. クリスティアン・アンサルディ
- 17. ウィルフリード・シンゴ
- 19. アントニオ・サナブリア
- 20. シモーネ・エデラ
- 22. デニス・プラート NEW!
- 24. シモーネ・ヴェルディ
- 25. ベン・ラシヌ・コネ
- 26. コフィ・ジジ
- 27. メルギム・ヴォイヴォダ
- 32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ
- 34. オラ・アイナ
- 38. ロランド・マンドラーゴラ
- 70. マグナス・ワルミング NEW!
- 77. カロル・リネッティ
- 88. トマス・リンコン
- 89. ルカ・ジェメッロ
- 99. アレッサンドロ・ブオンジョルノ
監督 イヴァン・ユリッチ NEW!
1975年8月25日生まれ
クロアチア国籍
エラス・ヴェローナでの大躍進が記憶に新しい名将。アタランタ指揮官のジャンピエロ・ガスペリーニを師に持ち、彼と同じ3-4-2-1の布陣を好む。インテンシティの高いハイプレス&ショートカウンターを身上とするため、リトリート&ロングカウンターが主体であったダヴィデ・ニコラのトリノとは全く違うチームを作ってくるだろう。なお、審判団に対する猛抗議や暴言での退席の多さはワルテル・マッツァーリを彷彿とさせるためなんだか少し懐かしい。
1. エトリト・ベリシャ NEW!
1989年3月10日生まれ
アルバニア代表
契約解除にてクラブを去ったサルヴァトーレ・シリグの穴を埋める形でSPALより加入したアルバニア代表キャプテン。序列としては第二GKとしてのスタートが予想されるが、プレシーズンのAZ戰では安定したパフォーマンスを披露。ゴールキックやパスの精度にはやや難ありだが、セリエAや国際舞台での豊富な経験を武器に正守護神の座を狙う。個人的な予想だがシーズン中にレギュラー奪取しそう。
3. グレイソン・ブレーメル
1997年3月18日生まれ
ブラジル国籍
ニコラ・エンクルが去り、今季から本格的にディフェンスリーダーとしての活躍が期待される武闘派センターバック。ビルドアップ時の堅実性やパスセンスはまだまだ前任者に及ばないものの、強靭な肉体と闘争心を活かした対人の強さはプレミアリーグの強豪も興味を持つほど。空中戦の強さも武器で、セットプレー時の得点源としても貢献できる。プレシーズンに「チャンピオンズリーグに出たい」との不穏なコメントを残しティフォージを恐怖に陥れたが無事残留。
4. トンマーゾ・ポベガ NEW!
1999年7月15日生まれ
U-21イタリア代表
1年間のドライローンにてミランから加入した万能型センターハーフ。昨季ローン修行に出向いたスペツィアでブレイクした。豊富な運動量や展開力、球際の強さなど様々な特長を持つ有望株で、ユリッチのサッカーにもフィットしそうだ。3-4-2-1の布陣では主にボランチの位置でプレーすることが予想されるが、レギュラー奪取へ向けライバルは多いため懸命なアピールが必要となるだろう。顔がびっくりするくらい丸い。
5. アルマンド・イッツォ
1992年3月2日生まれ
イタリア代表
一対一の強さや機を見た攻撃参加が持ち味のセンターバック。ロッカールームではチームに闘魂を注入する兄貴的存在であり、平均年齢の若い守備陣を統率する漢気溢れるプレーが最大の特徴だ。「今季は次のW杯に向けてアッズーリ復帰を目標にする」と公言したが、3バックの右専門家として知られておりロベルト・マンチーニの採用する4バックでは真価を発揮できないのが痛いところ。ただ年齢的にも脂の乗った時期なため、継続的なハイパフォーマンスを見せられればノーチャンスではないだろう。
6. ダヴィド・ズィマ NEW!
2000年11月8日生まれ
チェコ代表
スラヴィア・プラハから€500万の移籍金にて加入した若きセンターバック。190cmの長身を活かした守備と高いビルドアップ能力が武器なため、3バックでは中央が最も適したポジションとなるだろう。弱冠20歳という年齢ながらもチェコA代表として既に2キャップを刻んでおり、さらにクラブレベルでも欧州の舞台を経験済み。トリノでもレギュラー争いに食い込む活躍が期待される。“ズィマ”か“ジマ”かで意見が割れそうだが恐らく前者。
7. シモーネ・ザザ
1991年6月25日生まれ
元イタリア代表
トリノ加入後3年目を迎える今季は、背番号を変えて心機一転。ユリッチの3-4-2-1ではワントップの3番手という非常に厳しい立場からのスタートとなっており、移籍が有力視されたが負傷の影響もあり結局残留した。加入当初から移籍金と期待に見合う活躍は未だに出来ておらず、ティフォージから愛想を尽かされている感は拭えないが、持ち前の明るいキャラクターと我武者羅に走り回る闘争心で今季こそ得点数を増やしたい。昨季同様スーパーサブ的な立場としてなら出場機会はありそう。
8. ダニエレ・バゼッリ
1992年3月12日生まれ
元イタリア代表
運動量とパスセンス、鋭い戦術眼や端正な顔立ちなど様々な武器を備えており実力で言えばレギュラー候補ではあるが、今夏は度重なる怪我や新戦力たちの加入により評価が暴落。構想外であるとして退団すら実しやかに噂された。ダブルボランチだけでなくシャドーにも対応可能なイケメンだが、序列的には現状ベンチが定位置。まずはコンディションを整えて指揮官を納得させたい。
9. アンドレア・ベロッティ
1993年12月20日生まれ
イタリア代表
ステップアップの噂が市場を賑わせたのが記憶に新しいが、今季もトリノのカピターノとしてアームバンドを巻く。契約延長についてはまだ不透明な状況だが、彼の残留はひとまず“補強”として捉えていいだろう。前線からガンガンプレスを掛けていくスタイルはユリッチのサッカーにも合うはず。強力な援護射撃を期待できる新たな仲間も多く加わったため、今季はより一層の爆発が望まれる。
10. サシャ・ルキッチ
1996年8月13日生まれ
セルビア代表
トリノでの5シーズン目を迎えるゲームメイカー。広い視野とテンポの良い散らしでリズムを作るプレーが得意だがここ2シーズンは低調なプレーぶりに終始しており、今季から背番号10に袖を通す事に対しティフォージからは非難が殺到している。ユリッチからは一定の評価を得ているものの、新戦力たちの到着によりとりあえずはベンチ行きが濃厚。試合中我を失ってラフプレーに走る事も少なくないため、もう少し精神的な成長が必要だろう。
11.マルコ・ピアツァ NEW!
1995年5月6日生まれ
クロアチア代表
宿敵ユヴェントスからの買取オプション付ローンにてトリノに加入した大型ウインガー。屈強なフィジカルを活かした迫力あるドリブルで相手守備陣を切り裂く。本人もコメントしている通り加入直後からコンディションが非常に良く、左シャドーの位置で早くも攻撃の中心となっている。代表からは約3年ほど遠ざかっており、ここに復帰することがトリノでの個人的な目標になりそう。
13.リカルド・ロドリゲス
1992年8月25日生まれ
スイス代表
トリノ1年目の昨季は、獲得をリクエストしたマルコ・ジャンパオロが早々とクラブを去ったため、後半戦はほぼ構想外。ユリッチの下でもノーチャンスかと思われたが、3バックの左という役割を与えられ一気にレギュラー候補になった。積極的な攻撃参加とビルドアップ能力を買われてはいるものの、守備に関しては危ういシーンが散見されるため未だに昨季のネガティブなイメージは拭えていない。若手ブオンジョルノとのレギュラー争いに勝利できるか。
14. ヨシップ・ブレカロ NEW!
1998年6月23日生まれ
クロアチア代表
同胞ピアツァとともにツーシャドーの一角を担うアタッカー候補として、ヴォルフスブルクより買取オプション付ローンにて獲得。複数ビッグクラブからの関心もあった中、なぜかユリッチ率いるトリノを新天地に選んだ。ピアツァとは違い主にスピードを武器とするスタイルなため、主にカウンター発動時などにおいて真価を発揮してくれるだろう。新たなイケメン枠として、また主砲ベロッティをサポートする働きに期待大だ。
15. クリスティアン・アンサルディ
1986年9月20日生まれ
元アルゼンチン代表
トリノ加入後4年間に渡ってクリスティアン・モリナーロ、オラ・アイナ、ディエゴ・ラクサール、ニコラ・ムッルらとのレギュラー争いに巻き込まれながらも見事全勝中のベテランウイングバック。左サイドが主戦場ではあるが両利きなため、縦に突破してクロスやカットインしてミドルシュートなど様々なプレーパターンを誇る。卓越したテクニックで何度もチャンスを演出してきた主力中の主力であり、休みの日は子供たちと過ごす良きパパでもある。なおInstagramのストーリーは毎回宗教染みていてクセが非常に強い。
17. ウィルフリード・シンゴ
2000年12月25日生まれ
コートジボワール代表
昨季本格的にブレイクした右サイドのスピードスター。今年は代表デビューも果たし、東京五輪にも出場するなど目覚ましい成長を見せており、今季も右ウイングバックのレギュラーとして大きな期待がかかる。攻撃だけでなく守備においても粘り強いマーキングで貢献できるため、選手として年齢に見合わない成熟度が非常に素晴らしい。しかしひとたびピッチを出るとインタビューの時異常に緊張していたりするのでギャップ萌え必至。
19. アントニオ・サナブリア
1996年3月4日生まれ
パラグアイ代表
昨季は冬の移籍市場でトリノに加入し、重要な場面でのゴールでチームのセリエA残留に貢献。ベロッティのように屈強なフィジカルがある訳ではないが、足元のスキルではカピターノを上回るものを持っており、味方からの縦パスを収める技術が非常に高い。ボールを収めてからのサイドチェンジやチャンスメイクも得意なプレーなため、シャドーとして起用しても面白そうだ。
20. シモーネ・エデラ
1997年1月9日生まれ
イタリア国籍
レッジーナからローンバック。セリエBでは好プレーを見せていたためレッジーナは買い取る意向を見せていたものの、シーズン終盤に靭帯断裂の重傷を負ってしまい完全移籍の話は白紙に。治療とリハビリのためトリノへと帰還した。スピード溢れる仕掛けが持ち味だが近年は大きく伸び悩んでいる。一応背番号を貰ってはいるもののトリノでは既に構想外なため、戦線に復帰し次第再び新天地を探す事になるだろう。
22. デニス・プラート NEW!
1994年5月14日生まれ
ベルギー代表
2年ぶりにセリエAの舞台へと帰って来たベルギー代表プレーメーカー。レスター・シティからの買取オプション付ローンにてトリノに加入した。なんと言っても正確なキックとキープ力、パスセンスが素晴らしく、トリノでも司令塔として主力となる事が期待されている。中盤なら基本的にどこでもこなせるが、果たしてユリッチはどこで使うか。個人的にはマンドラーゴラとコンビを組んでほしい。
24. シモーネ・ヴェルディ
1992年7月12日生まれ
元イタリア代表
両足を器用に扱ったドリブル突破からのフィニッシュが持ち味!という触れ込みでトリノへと来たが、ザザ以上に移籍金に見合うパフォーマンスを見せられていないのが現状。ボローニャ時代名を馳せたフリーキックも枠に飛ぶことすら珍しいという有様で、近年は完全なるスランプに陥っている。ブレカロやピアツァの加入で立場はますます危ういものになっており、トリノ3シーズン目となる今季が正念場かもしれない。
25. ベン・ラシヌ・コネ
2000年3月14日生まれ
コートジボワール国籍
2シーズン前のプリマヴェーラで背番号10を背負った左利きの攻撃的ミッドフィールダー。昨季コゼンツァでのローン修行で評価を上げた。テクニックと運動量を兼備する現代的なアタッカーで、守備時の貢献にも期待できる。メルカート最終日にペルージャへのローンが決まりかけたが時間に間に合わず破談。少なくとも冬まではトリノに残ることとなったが、同ポジションの先輩たちに阻まれ出場機会を得るのは難しそうだ。
26. コフィ・ジジ
1992年11月30日生まれ
コートジボワール国籍
欧州の切符を争った3シーズン前のトリノで、エンクルやイッツォと共にセンターバックの一角として堅守を支えた。翌シーズンから調子を落としベンチ行きとなったため昨季はクロトーネにローン。帰って来た今季も控えからの再出発となるが、フォームを取り戻せばレギュラーに返り咲く能力は充分にある。スピードのある相手には滅法強いが、フィジカルのあるタイプには手を焼くことが多い。
27. メルギム・ヴォイヴォダ
1995年2月1日生まれ
コソヴォ代表
フットサル選手のような繊細な足元のスキルと豊富すぎる運動量が武器の右ウイングバック。187cmと上背もあり守備力も高いため3バックの右にも対応可。トリノ1年目の昨季はレギュラー候補として迎えられたが、シンゴの台頭や自身のコロナ感染など不運な要素が重なり不完全燃焼に終わった。スピードを武器とするシンゴとはタイプが異なるため、相手によってこの2人を使い分ける起用法も面白そうだ。
32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ
1997年2月20日生まれ
セルビア国籍
恵まれた体格を活かしたダイナミックなセービングとフィールドプレーヤー顔負けの足下のスキルが特徴。トリノ4年目となる今季は、シリグが去った事でユリッチに正守護神の座を与えられたが、未だに期待に見合うパフォーマンスは披露できていない。弱点である低い弾道のシュートストップやコラプシングの稚拙さを改善できればもう一皮剥けられるか。年齢的にもまだまだこれからだ。
34. オラ・アイナ
1996年10月8日生まれ
ナイジェリア代表
フルアムでのローンを終えて復帰。両サイドを高いレベルでこなすが、マッツァーリ政権同様左ウイングバックでの起用が主になるだろう。強靭なフィジカルとシザースを多用したドリブルでチャンスを演出する。代表でも不動の地位を築いており、国際舞台での経験も豊富。ただ2シーズン前は戦犯とも言える体たらくだったため、今季こそ先輩アンサルディとのレギュラー争いに勝利し汚名返上と行きたい。
38. ロランド・マンドラーゴラ
1997年6月29日生まれ
イタリア代表
ピンチの芽を摘むハードプレスで守備を締め、攻撃時には精度の高いパスと強烈なミドルシュートで相手ゴールを脅かす。高い個人能力で冬の加入後瞬く間に不動のレギュラーとなった。現行契約はユヴェントスからのローンだがユリッチのトリノでも中心選手として期待されており、ベロッティ不在時にはキャプテンマークも巻いている。チームの飛躍と共にアッズーリへのコンスタントな招集を目指す。
70. マグナス・ワルミング NEW!
2000年6月8日生まれ
U-21デンマーク代表
デンマーク2部リンビーから移籍金€150万で引き抜いたドリブラー。長い四肢を活かしたカットインからのフィニッシュが持ち味だ。海外初挑戦な上1部レベルでのプレーが今季初となっており、将来への投資との見方が強い。プレシーズンのキャンプでもユリッチからは「まだまだ」という評価を受けておりローン修行が噂されたが残留。ちなみに新たなイケメン枠の1人でもある。
77. カロル・リネッティ
1995年2月2日生まれ
ポーランド代表
大きな期待とともにサンプドリアから加入した昨季は散々な結果に。質と量をチームにもたらせる現代的なセンターハーフだが、ここまでのところ本来の力を発揮出来ていない。プレシーズンにユリッチによってシャドーへのコンバートもテストされたが結果は不合格。2センターハーフの位置でレギュラーを目指すシーズンとなりそうだ。サンプドリアで共にプレーしたプラートの加入を復活へのキッカケとしたいところ。
88. トマス・リンコン
1988ねん1月13日生まれ
ベネズエラ代表
加入後4シーズンの間レギュラーポジションを守り続けてきたが、今回の監督人事は彼にとって向かい風となりそう。センターハーフの序列では恐らく現状最下位となっており、事実メルカート最終日にはサンプドリアとの交渉が盛んに報じられた。代表では長らくキャプテンを務めており、国際経験も豊富。鋼のようなフィジカルで中盤を耕すファイターとしてセリエAでも名の知れた選手ではあるが、今季は苦しいシーズンとなりそうだ。
89. ルカ・ジェメッロ
2000年7月3日生まれ
イタリア国籍
コッパ・イタリアを制覇した3シーズン前のプリマヴェーラのメンバー。昨季はセリエCのレナーテに貸し出され正キーパーとして活躍した。今季もローンに出される事が濃厚だったがプレシーズンのキャンプで目覚ましい成長ぶりを見せ付けユリッチの評価を得る事に成功。第3キーパーという立場ではあるが見事残留を勝ち取っている。セービング能力に加えキックの精度も悪くなく、順調に成長すればトリノでの公式戦デビューも遠くなさそう。
99. アレッサンドロ・ブオンジョルノ
1999年6月6日生まれ
U-21イタリア代表
クラブ生え抜きの左利きセンターバック。クレバーかつ鋭い読みで相手アタッカーを封殺するそのプレーぶりはエミリアーノ・モレッティを彷彿とさせる。左足から繰り出されるパスの精度もかなり正確で、自らボールを運ぶ技術さえ向上すればリカルド・ロドリゲスとのポジション争いにも勝利できるはず。今季からヴァニャーティSDの補佐として強化部門で働くモレッティにも直々にアドバイスを貰っており、順調にいけば正統後継者として覚醒してくれそうだ。
了
ユリッチ・トーロの現在と展望
一時は最下位にまで落ち込んだチームを残留に導いたにもかかわらず、前指揮官ダヴィデ・ニコラとの決別を選んだトーロ。ウルバーノ・カイロが後任に選んだのは説得力のある実績を持った人物だった。ジャンピエロ・ガスペリーニの弟子にしてヴェローナを期待以上の順位にまで押し上げたクロアチア人指揮官、イヴァン・ユリッチである。
5月というかなり早い段階でトーロのベンチに就いたユリッチ。サンタ・クリスティーナでの合宿に加えレンヌ、AZといった海外有力クラブとの強化試合でチーム内でのヒエラルキーや補強すべきポイントも明確になってきた。今回はそんなユリッチ・トーロの現状とメルカートにおけるこれからの展望を分析していきたい。
チーム内ポジション争いの現状
「正守護神はヴァンヤだ」とのユリッチの宣言は、サルヴァトーレ・シリグをジェノアにプレゼントしたクラブに対する更なる不満要素としてティフォージを憤りの渦に巻き込んだ。事実、正キーパーの座を手にしたヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチは、シリグの後釜としての重圧もあってかプレシーズンを含むここまでのところ期待に添えるパフォーマンスを全く見せられていない。彼の控えとして獲得したはずのエトリト・ベリシャがAZ戰で好プレーを見せた事で、早くも彼の立場は危ういものとなっている。シーズンはまだ始まったばかりだが、ユリッチに見限られる日もそう遠くはないかもしれない。
ニコラ・エンクルが去り、リャンコ・ヴォイノヴィッチのサウサンプトン行きも時間の問題となっているセンターバックのセクションは、一定の変革期を迎えている。クロトーネからローンバックしたコフィ・ジジを含め頭数は現在5人となっており、新たなディフェンスリーダーとして不動の存在であるグレイソン・ブレーメルを除けば、彼の両脇を誰が固めるのかは正直まだ不透明な状況だ。そんな中、退団が確実と思われていたリカルド・ロドリゲスがユリッチを納得させることに成功し、左センターバックとしてレギュラー候補の一人となっている事実はかなりのサプライズだろう。
右ではウィルフリード・シンゴとメルギム・ヴォイヴォダがしのぎを削り、昨季に引き続き前者が一歩リードしているという状況。シンゴは先日コートジボワールA代表デビューも果たしており、さらには東京五輪も経験。ユリッチの下でも更なる成長が見込まれるだろう。左には不動の存在であるクリスティアン・アンサルディが君臨するが、やや怪我がちであるという唯一の弱点に対し、フルアムからローンバックしてきたオラ・アイナにもチャンスは充分にあるだろう。アイナは右にも対応可能なため、指揮官にとって有能な手駒として重宝されるはずだ。
残留の立役者の一人であるロランド・マンドラーゴラの相方を一体誰が務めるのか。唯一にして最大の疑問点がこのセクションの焦点だ。現状のメンバーで一歩リードしているのは今季から背番号10を背負うサシャ・ルキッチだが、レギュラーとその背番号に相応しいプレーを見せているとは確実に言えない。ダニエレ・バゼッリは怪我でやや出遅れたため、ここからの巻き返し次第ではスタメンの座に返り咲くことも難しくはないはずだ。立場が厳しいのはトマス・リンコンとヤコポ・セグレ。この二人はユリッチの構想に入っていないと連日伝えられており、トリノを去る可能性もありそうだ。
シャドー
ユリッチ戦術の最大の特徴でもあるツーシャドーにも不確定要素が蔓延。シモーネ・ヴェルディは相変わらずだし、イアゴ・ファルケに至っては完全に構想外。本職ではないカロル・リネッティが現在右シャドーのレギュラー候補の筆頭という状況になっている。一方、左シャドーは指揮官の希望で獲得したマルコ・ピアツァが合流してから期待に応えるプレーを連発しており、ひとまずはレギュラー確保と見て良さそうだ。ちなみにユリッチは先日、開幕節アタランタ戰の前日会見にて「ヴェルディ、バゼッリ、リネッティ、ルキッチの内あなたがシャドーとして考えているのは誰ですか?」との質問に対し「誰もいないよ」と笑いながら返答。”補強が必要である”とのクラブに対するメッセージとも捉えられるため、ユリッチも結構イライラしているのかもしれない。
このセクションはなんと言ってもカピターノであるアンドレア・ベロッティの残留が確定した事が非常に大きい。契約延長については現在話し合われているとの事だが、少なくとも今季はまだグラナータのユニフォームを身に纏ったガッロが見られそう。アントニオ・サナブリアがベンチに控えている事も非常に頼もしい。相手によって二人を使い分ける事も有効な起用法だろう。シモーネ・ザザは今季も苦しい立場からのスタートとなるが、背番号を7に変えた事で心機一転・起死回生を期待したい。
ポジション争いまとめと補強戦略
現在ダヴィデ・ヴァニャーティSDが最も力を入れて補強に動いているのがセンターバック。トップターゲットはカリアリのセバスティアン・ヴァルキエヴィッツだが、選手本人の希望にもかかわらずカリアリとの合意がなかなか得られない状況が続いており、スパルタク・モスクワのサムエル・ギコ、バーゼルのエライ・キュマルトなど複数の名前が代替案として挙がっている。二つ目の補強ポイントはユリッチも言及している通り右シャドー。噂に挙がっているのはクロトーネのジュニオール・メシアスやボローニャのリッカルド・オルソリーニなどだが、いずれも所属元の要求額が高い。すぐに余剰戦力を放出して移籍金を工面できない限り獲得は難しそうだ。三つ目はマンドラーゴラの相方だが、こちらは新戦力の到着が既に濃厚。トンマーゾ・ポベガをミランから借り受ける事が内定しており、ミランがティエムエ・バカヨコの復帰を決め次第正式に決まる見込みである。
メルカート最終日まで一週間を切り既にカンピオナートも開幕した今、今季の成否を占う時期に来ている事は疑いようがない。今季も残留争いに巻き込まれるか、トップハーフでフィニッシュできるか。全てはヴァニャーティとユリッチの仕事次第だ。
Ora tocca a te, Davide!
筆者が更新をサボっていたこの約半年の間で、トーロは激動の時を過ごした。"ラグビーからサッカーへの転向"を託されたマルコ・ジャンパオロによる新生トーロはこれでもかというほど勝利に恵まれず、一時は最下位にまで順位を落とすなど残留争いの主役に。ワルテル・マッツァーリの遺産である強度の高い対人戦にジャンパオロが施したパスワーク重視の戦術がミックスされ、チームは比較的機能してきたところではあったが、セリエB降格を危惧したクラブは先月ついにジャンパオロを解任。クラブOBであり残留争いのスペシャリストであるダヴィデ・ニコラを新監督に据えている。
久々の更新となる今回は、短命であったジャンパオロ政権の振り返りとニコラを招聘し冬のカルチョメルカートを終えたトーロのセリエA後半戦の展望を綴っていきたい。まずは前半戦のレビューを駆け足でやっていこう。
勝負弱さが際立ったジャンパオロ・トーロ
ジャンパオロを指揮官に据えスタートした今季はサンプドリア時代に指導したニコラ・ムッル、カロル・リネッティ、フェデリコ・ボナッツォーリらに加え、リカルド・ロドリゲスやアメル・ゴヤク、メルギム・ヴォイヴォダらを獲得したものの、補強の目玉となるはずだったルーカス・トレイラ、デニス・プラートらの獲得には失敗。新戦力たちもここまでインパクトを残しているとは言い難く、特に中盤の構成力不足や安定感のない守備が大きな課題として挙げられた。
4-3-1-2
GOODポイント
・真逆のタイプでありながらも、レジスタの役割を任されたトマス・リンコンが思いのほか機能
・サシャ・ルキッチがトレクァルティスタとして新境地を開拓
・アンドレア・ベロッティのコンディションが非常に良く、ゴールにアシストに大活躍
BADポイント
・グレイソン・ブレーメルを除いてほぼ全てのDFたちが安定感に欠けるプレーを連発
・サルヴァトーレ・シリグが完全にスランプに陥るという計算外の事態
・ハイライン&ハイプレスが全く機能せず
3-5-2
GOODポイント
・ウィルフリード・シンゴの覚醒
・3バック採用に伴うアルマンド・イッツォの復活
・アレッサンドロ・ブオンジョルノの台頭
・リャンコが新たなディフェンスリーダーとして急成長
BADポイント
・内容は良いが勝ち切れない勝負弱さ
・続くシモーネ・ヴェルディの低パフォーマンス
・低調が続いたニコラ・エンクルが半ば戦力外状態に
・スアリオ・メイテはどうして試合に出ていたのかという謎
当初は自身の代名詞である4-3-1-2の布陣で戦っていたジャンパオロだが、現在のスカッドには合わないと判断し途中からマッツァーリ政権を彷彿とさせる3-5-2へチェンジ。選手たちが慣れ親しんだ布陣のおかげか内容は劇的に良くなりあとは成熟を目指すところであったが、昇格組にも勝ちきれない勝負弱さが解任への引き金になったと言えよう。筆者としてはここから巻き返し!という雰囲気を感じていたため非常に残念な人事だった。ジャンパオロのトーロは上記の通り良かった点もたくさんあったが、悪かった点があまりにも結果に響き過ぎたというのが個人的な総括だ。次の職場となるクラブでは是非結果を残して欲しい。In bocca al lupo, Marco...
冬のメルカートの動き
監督交代人事が為されてから間もないトーロは、比較的忙しいメルカートを過ごした。残留争いに巻き込まれている現状では当然のことであるが、ここまで動きがあった冬は久々だ。補強をした冬は少なくとも4年ぶりくらいな気はする。
IN
MF
ロランド・マンドラーゴラ ← ユヴェントス(買取義務付ローン : €1000万)
FW
アントニオ・サナブリア ← ベティス(完全移籍 : €700万+ボーナス€300万)
OUT
GK
アントニオ・ロザーティ → フィオレンティーナ(完全移籍 : 金額不明)
MF
ヤコポ・セグレ → SPAL (買取オプション付ローン : SPALのセリエA昇格で買取義務化。金額不明)
スアリオ・メイテ → ミラン(買取オプション付ローン : ローン料€50万。買取オプション€800万+ボーナス150万)
FW
シモーネ・エデラ → レッジーナ(ドライローン)
ヴィンチェンツォ・ミリコ → フロジノーネ(ドライローン)
チームメイトやティフォージからも愛される存在だったアントニオ・ロザーティの退団は寂しいが、今回のメルカートでトーロは素晴らしい動きを見せたと言って良いだろう。負傷による長期離脱で戦線を離れていたダニエレ・バゼッリの復帰も大きな補強だ。ニコラの構想から漏れたスアリオ・メイテ、シモーネ・エデラらを放出し、ロランド・マンドラーゴラ、アントニオ・サナブリアの即戦力2名を獲得。マンドラーゴラの到着で居場所を失ったヤコポ・セグレをメルカート終幕直前で売却することにも成功している(良い選手なのでドライローンで出して欲しかったが)。ニコラ・エンクルとニコラ・ムッルの売却を決められなかった点は後悔が残るが、それを抜きにしてもやはりダヴィデ・ヴァニャーティはやれば出来る男である。退団が確実視されたフェデリコ・ボナッツォーリも新天地が見つからなかったが、新戦力サナブリアに加入早々COVID-19陽性反応が出てしまいチームへの合流が遅れるため、この点は結果オーライだろう。
残留争いへ向けたニコラ・トーロの予想布陣
ニコラは監督キャリアの中で主に3バックを多用してきた指揮官だが、記者会見でも語った通り型にはまらない指導が特徴。フォーメーションがガラッと変わる可能性も否定は出来なさそうだ。報じられている中で可能性が最も高そうなのは3-5-2の継続と4-4-2の採用。今回はこの2つでここからの序列を展望しよう。
3-5-2
レギュラーがほぼ確定しているのはシリグ、リャンコ、イッツォ、ベロッティ、シンゴのみと、複数のポジションで熾烈なレギュラー争いが展開されるはず。マンドラーゴラが加わった中盤も見どころ満載だ。左のセンターバックで今季から台頭してきたプリマヴェーラ出身のレフティ、アレッサンドロ・ブオンジョルノはニコラから高い評価を受けており、ブレーメルを押し退けてレギュラーを奪取する可能性もありそう。前指揮官のリクエストによりトーロへとやって来た選手たちは全員厳しい立ち位置からのスタートが予想される。
4-4-2
この布陣が採用された場合、ともに3バックと3センター向きであるイッツォ、ルキッチは確実にベンチ行き。一方サイドでのプレーを得意とするヴェルディは恩恵を受けるだろう。また、4-4-2採用の場合ゴヤクの左サイド起用も有力らしくこちらも楽しみである。今季途中からレギュラーの座を失ったエンクル、ヴォイヴォダ、ロドリゲスらの奮起にも期待したい。
【まとめ】冬のメルカートで戦力はアップ。あとはニコラ次第
今回はここまで。久々の更新だったためかなり時間が掛かってしまったが、今読んで下さっているそこのアナタに現在のトーロの事情が少しでも伝わったのであれば本望だ。あとはトーロが今季セリエA残留を決めて来季からヨーロッパ争いをしてくれるのなら願ったり叶ったりだ。
以上、あざっした!
Sempre Forza Toro
【参加者募集】『セリエA座談会はしご酒』開催のお知らせ
更新を怠っていたこの2ヶ月の間でトーロはマルコ・ジャンパオロが新監督に就任したり、クリスティアン・アンサルディやサミル・ウイカニとの契約を延長。さらにはヤコポ・セグレの買い戻しオプションを行使したりリカルド・ロドリゲスやカロル・リネッティ、メルギム・ヴォイヴォダがトーロに加入した。オラ・アイナもフルアムに買取オプション付ローンで移籍が決定...などなど色んなことがあり過ぎたのにもかかわらず本サイトを更新しなかったのはシンプルに怠けていたからだ。20/21シーズンが開幕する今月からは少しずつ更新していくつもりなので乞うご期待!
さて、今回はこの場を借りてZOOMイベントの告知をさせて頂く。その名も『セリエA座談会はしご酒』!ご存知ASローマ速報さんにて先日開催された『ゆるふわ座談会:セリエA 2019-2020を振り返って | ASローマ速報〜ROMANISMO』の二次会的なノリと考えて頂ければと思う。要はZOOMを活用して酒を飲みながら(ソフトドリンクでもOK)カルチョトークしませんか?というお誘いだ。
一次会と違う点は視聴者参加型であること、そしてアルノ川の畔からでお馴染みKyazuさんと私が加わること。参加希望の方は下記のTwitterアカウントをフォローしDMにて参加希望の旨をお聞かせ願いたい。事前の話題募集として質問箱も設置してあるので是非ご活用されたい。
匿名で聞けちゃう!セリエA座談会 はしご酒公式さんの質問箱です | Peing -質問箱-
ASローマ速報の人気企画セリエA座談会のメンバーが喋り足りず(飲み足りず)に二軒目に行くそうです。みなさんもおじさんの飲み会に相席してみませんか?
— セリエA座談会 はしご酒公式 (@serieazadankai) 2020年9月3日
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合言葉はレッツセリエ! pic.twitter.com/ySWquuTTfV
それでは皆様のご参加をお待ちしております!!!