【ヨーロッパリーグ予選目前!】最近のトリノFCまとめ
筆者は焦っている。
カブトムシ・クワガタムシの捕獲が停滞の一途を辿っているのだ。正確にはメインターゲットはヒラタクワガタなのだがいかんせんレア度が高い。ぶっちゃけちょっと高嶺の花という感じだ。だからこの際「クワガタ」と名の付く虫ならなんでもいい。腐葉土の敷き詰められたワンルームに早いところ入居者を見つけたい。
なぜ筆者お手製バナナトラップには変な虫しか来ないのだろうか?仕掛ける森がダメなのかトラップ自体ダメなのかもう分からない。皆さんご存知、ゴで始まる「名前を言ってはいけないあの虫」なんかこないだ森に行った時2匹も見た。お前らはお呼びじゃないんだよ。アバダケダブラ!
てな感じで筆者が森を奔走している間にトーロはシーズンに入った。もう2週間もすれば今季初の公式戦が待っている。さあ今季のヨーロッパリーグ本戦出場を祈願して、せーの、2019/2020シーズンキックオフ!
さて、今月末にヨーロッパリーグ予選初戦を控え、先週から毎年恒例のボルミオ合宿に入っている我らがトーロ。ナイジェリア代表としてアフリカネーションズカップを戦っているアイナ、コパ・アメリカを終えたばかりのリンコン、つい先日までU-21ユーロに出場していたルキッチとボニファーツィらはまだ到着していないものの、昨日からはバカンスを終えたシリグとミリコが合流している。
新シーズンに向けて
ヨーロッパリーグ本戦出場を目指す指揮官マッツァーリは、昨年使用した3-5-2と3-4-2-1の布陣に加え、現在はより攻撃的な3-4-3の戦術理解に取り組んでいるところだ。並びは3-4-2-1と似ている(というかほぼ同じ)ため、最初は筆者も「結局3-4-2-1戦術の成熟を図ってるだけじゃね?」と思ったが、トレーニングでウイングを担っているベレンゲルとファルケが非常にワイドな位置にポジショニングした状態でスタートすることから、現在トライしているのは3-4-3であることは間違いないだろう。
現在テストしているのは上の並び。シリグは合流して間もないためロザーティが代役を務めているが、25日の予選1stレグではシリグがゴールマウスに立つだろう。また、今季激しいレギュラー争いが予想される左センターバックだが、ジジとリャンコがまだトップフォームではないため、25日はブレーメルが起用されることがほぼ確実。中盤から前もだいたいこの並びのはずだ。
さて、気になるヨーロッパリーグの日程はこちら。
7月22日 予選3回戦組み合わせ抽選会
7月25日(木)予選2回戦1stレグ (H)
8月1日(木)予選2回戦2ndレグ(A)
※対戦相手はデブレツェニ(ハンガリー)vs.クケシ(アルバニア)の勝者。なお1stレグはデブレツェニが3-0で勝利
突破すれば...
8月5日(月)プレーオフ組み合わせ抽選会
8月8日(木)予選3回戦1stレグ(未定)
8月15日(木)予選3回戦2ndレグ(未定)
突破すれば...
8月22日(木)プレーオフ1stレグ(未定)
8月29日(木)プレーオフ2ndレグ(未定)
突破すれば本戦出場!
8月30日(金)グループステージ組み合わせ抽選会
本戦出場までの道のりは決して平坦なものではない。グループステージに進むには計3チームを倒す必要があるのだ。昨年はあのアタランタですらプレーオフで敗退しており、簡単な予選ではないことは明らかだ。組み合わせのくじ運にも左右される予選パートだが、「ヨーロッパリーグに出られる!」と喜ぶのはまだ早いと言わざるを得ないだろう。地に足をつけた戦い方でグループステージ進出を勝ち取りたいところだ。
今月25日に行われる予選2回戦1stレグはホーム開催だが、その日トーロの本拠地グランデ・トリノではコンサートが予定されているらしく使用不可。そこで今回は同じピエモンテ州のアレッサンドリアにスタディオ・ジュゼッペ・モッカガッタを借りることが正式に決まった。収容人数収容人数約6000人の小さなスタジアムだが、貸し出しを快諾してくれたアレッサンドリアには感謝しなければならないだろう。ありがとう、アレッサンドリア!
メルカートの動き
ここ数日、メインターゲットとして報じられているのはナポリのシモーネ・ヴェルディ。かつてトーロに所属していたこともあるプレーヤーで、両利きであることが最大の特徴だ。マッツァーリは3-4-3のウイングに最適な存在だと考えており、プレースキッカーとしても貢献できる。昨季のトーロに欠けていた「創造性」を補う買い物としては最高な選択肢だろう。
ナポリは連日ハメス・ロドリゲス獲得への動きが報じられており、彼を獲得するにはヴェルディを売却する必要があるらしい。しかしナポリは€2500万というヴェルディへの要求額を下げる気配はなく、€1800万で獲得したいトーロとの交渉はまだ睨み合いが続いている状況だ。
その他ホットな名前はディエゴ・ラクサール、モハメド・ファレス、クリスティアン・クアメ、アルフレッド・ダンカンなど。中でもテオ・エルナンデスの加入でミランのスカッドから弾き出されそうなラクサールは狙い目だろう。EL予選がスタートする前に、上記の中から少なくとも1人は確保しておきたいところである。
そんな中、我らがカイロ会長がLa7(ラ・セッテ)に対しメルカートについてこのようにコメントしている。
今夏のメルカートでは主力を維持することが大事だ。補強を急ぎ過ぎてはいけない。我々は既にスタメンクラスの11人の他にも素晴らしい選手たちを抱えているのだからね。
攻撃陣の補強?たくさんの名前が報じられているのを見た。複数の可能性があると言えるよ。少なくとも4人から5人をリストアップしている。その内の何人かは既に噂になっているが、まだ報じられていない候補もいるよ。サプライズの可能性がないとは言い切れないね。
以前からカイロは攻撃陣の補強を明言しており、ヴェルディ獲得に動いていることも認めている。しかしご覧の通りLa7に対してはサプライズの可能性も示唆しており、今後の展開に期待ができそうだ。何回も言うが筆者はカプラーリに来て欲しい。
新ユニフォームと親善試合ボルミエーゼ戦
昨日、ついにJomaによるトーロ新ユニフォームが発表された。ファースト、セカンド、キーパーユニともに思ったより悪くなかったというのが個人的な感想。特に背番号のフォントは筆者的にかなり気に入った。例年のように前面に雄牛模様の透かしは入っていないが、まあ良しとしよう。サードユニについては25日のEL予選でお披露目されるとの噂もあり、こちらも楽しみに待ちたい。
また、Instagramでもチームメイトたちが示唆していた通りファルケが今季から背番号10を背負うことが決まった。個人的に去年くらいからずっと望んでいたことだったので、かなり嬉しい。エースナンバーを背負いヨーロッパリーグで暴れる姿を早く見たいところだ。そんなファルケはプレゼンテーションの席でSkyのインタビューに答えている。
この番号を付けるのを楽しみにしていたよ。トーロでも数々の名手たちが背負ってきた数字だしね。10番のシャツはただの数字じゃなく、着る者に責任感を与える数字だ。僕らは今3-4-3と3-4-1-2の戦術に取り組んでいて、監督は僕を様々な役割で使おうとしている。これは僕にとっては重要なことだ。さらに成長できるからね。トーロは僕が来てからずっと成長を続けているチーム。さらなる熱意を持ってやっていくよ。
新ユニフォーム発表の数時間後、トーロは新ユニフォームを纏いボルミエーゼとの親善試合を消化。ファルケが言った通り、マッツァーリはふたつの布陣をテストしたようだ。18-1というスコアの通り力の差はあれど後半からは若手も複数ピッチに送り込まれ、戦術確認としてはいい経験値を得られたはずだ。
最近のトーロはだいたいこんな感じ。メルカートでは苦戦しているものの、ボルミオでの合宿は順調なようだ。選手たちには怪我せず元気に今季への準備を進めて欲しい。
【Toro News編集長に直撃!】トリノFC情報局初の独占インタビュー
クラブが公開しない情報をいち早くキャッチし、サポーターたちに正確に伝える。それがクラブ専門メディアの主な仕事だ。我らがトリノFCにも当然のように専門メディアはいくつか存在し、ティフォージに安心と信頼のニュースを届けてくれる。一介のファンに過ぎない筆者自身も、彼らなくしてこのブログを運営することはほぼ不可能だと言っても過言ではない。彼らのありがたみはファンなら誰もが認めるところだ。
さて先日、ご存知やや日刊ラツィオでラツィオ専門紙記者へのインタビュー記事がアップされていた。日本のラツィオ専門紙であるやや日刊ラツィオと現地ラツィオ専門紙Solo La Lazioのコラボは非常に興味深く、インタビューでも語られている通り「距離は離れているが、愛で繋がっている」ことを感じることのできるものだった。
「距離は離れているが、我々はラツィオへの愛でつながっている」 ラツィオ専門紙の現地記者にインタビュー - やや日刊ラツィオ
このインタビューに感銘を受けた筆者は、こう思った。「僕も、トーロへの愛で繋がりたい」と。そうなれば早速メールしよう。送信!ポチッとな!ほぼダメ元での連絡ではあったが、なんと...
トーロ専門紙として名高いメディアの編集長から快諾を賜った!!!拍手!!!
その名もToro News。Twitterでは公式アカウントも存在し、フォロワー数も約14,000人を数えるトリノFC専門ニュースサイトだ。どう考えてもこちらが本物のトリノFC情報局である...。お忙しい中付き合って下さったジャンルーカ・サルトーリ編集長には本当に頭が上がらない。
Toro Newsのリンクはこちら。Toro News - Tutte le news sul Torino FC
さて、インタビューの内容を早速見て頂こう。
ーインタビューをご快諾頂きありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。
私の名前はジャンルーカ・サルトーリ。ジャーナリストだ。約3年前からToro Newsの編集長をしていて、トリノのCorriere della Seraで共同編集者としても活動しているよ。
ートーロのファンになったのはいつですか?
小さい頃からファンだった。たぶん6歳くらいの時だったと思う。父親にスペルガに連れて行ってもらって、それからだね。
ーファンとしての最高の思い出はなんですか?
間違いなく、サン・マメスでビルバオに勝利したあの夜*だね。ファンとしてだけでなく、ジャーナリストとしても特別な思い出だ。
*2015年2月26日に行われた14/15UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグ。トリノはこの試合を3-2で制しベスト16に進出した
ー今のトーロにとって最も重要な選手は誰だと思いますか?
これは断言できる。アンドレア・ベロッティだ。
サルトーリ編集長は主将ベロッティを最も重要な選手として挙げた
ー18/19シーズンについてお聞きします。全体的にどんな印象ですか?
見事なシーズンだったと思うよ。獲得した勝点63という数字が物語っているね。トーロはヨーロッパに値したと思う。選手たちはうまくやったし、ソリッドでコンパクトなチームであることを証明した。
ー来季のトーロには何を期待しますか?また、メルカートではどう動くべきだと思いますか?
今季の勝点63を超えるポイントを獲得することが目標になるだろうね。補強ポイントは左ウイングバック、トレクァルティスタ(トップ下)、そしてメディアーノ(守備的MF)だと思う。
ー次に、Toro Newsについて詳しく教えて下さい。
Toro Newsは、トーロ専門メディアとしては最初の存在だ。ここまで14年間トーロに関する話題を追いかけ、数万人ものティフォージのために情報をお届けしている。
ーToro Newsの運営理念とこれからの目標はどんなものでしょうか?
私たちは編集スタッフの質の向上にフォーカスしていく予定だ。ジャーナリストの構成も、30歳より若い人間で固めたいと考えているよ。
ーなるほど。トーロの話題に戻りますが、以前大黒将志という日本人FWが所属していたのを覚えていますか?彼についてはどんな印象かお聞かせ下さい。
彼はナイスガイだったよ。最初の印象はプレーも含めポジティブなものだった。だけど、中田英寿や中村俊輔、長友佑都のようにうまくはいかなかったね。残念ながら、まだセリエAでプレーする準備が出来ていなかったんじゃないかな。
元日本代表FWの大黒将志はトーロ初の日本人選手として2006年に加入。トリノでは2年間プレーしたがインパクトを残すことはできなかった
ートーロのメインスポンサーは日本の企業です。SUZUKIの車はお好きですか?
もちろんだよ!特に、白い雄牛の模様がグランデトリノの選手たちの名前で象られていたあの青いやつはすごく気に入っていたよ。
SUZUKI VITARAのトリノFCエディション
ー最後に、日本のファンに向けて一言お願いします。
日本にもティフォージがいるのは知っているよ。Toro Newsを代表して強い抱擁を送りたい。これからも私たちのニュースを見て、トーロの情報を仕入れてくれると嬉しいね。
いかがだっただろうか?サルトーリ編集長は筆者からの質問全てに真摯に答えて下さり、本当に感謝しかない。編集長も仰っていた通り、Toro Newsにはこれからも末永くお世話になる予定だ。この場を借りて改めて感謝したい。
Grazie di cuore, Gianluca!
プリマヴェーラ期待の若手をピックアップしてみた
6月も折り返し地点を過ぎ、各クラブは来季に向けた動きをそれぞれスタートさせている。珍しいことに北の三強は揃って監督を替えたし、ナポリはハメス・ロドリゲスの獲得が近いそうだ。アタランタは退任の噂が絶えなかったガスペリーニとの契約を延長したし、ローマは監督を替えただけでなくレジェンド2人と劇的な別れを経験している。要は、上位陣は軒並み何かしら既に話題を提供しているということだ。
さてトリノはどうだろう?7位が上位に入るかという議論は置いといて、ミランがELに出場しないことが有力となってきた今繰り上げでヨーロッパの舞台に立ちそうなトリノも何かしら動きを見せているのが普通だ。
しかし、ほんとに何もない。いやマジで。まあジャンルーカ・ペトラーキの契約を巡るDS問題が解決しない限りまともに動けないのだろうけど。「トリノが◯◯の獲得に興味」とかいうニュースは毎日のように出ているが、唯一ディ・マルツィオ先生から「獲得が近い」と報じられたラデ・クルニッチは取り逃がしてしまった。あとはEL予備予選に出れるかどうかという話題もあるが、それはUEFAとミラン次第である。今日UEFAがミランに対する処分を公式に発表するということで、これに関してあとは待つのみという状況だ。んーどうしよう...。
そうだ、トップチームの話題がないんならプリマヴェーラの話をしよう!
ということで今日はプリマヴェーラの話題を。彼らもトップチームと同じく先日カンピオナートを終えたところ。プレーオフ準決勝でアタランタに敗れスクデットには手が届かなかったが、そんな中でも彼らは近未来のトーロを背負って立つ可能性を秘めていることを証明した。今日は、今季プリマヴェーラも観戦した筆者イチオシの選手を数人ピックアップして紹介したいと思う。近いうちにトップチームでの活躍が見られる選手もいるかも?
ニコロ・デ・アンジェリス
・セリエAで例えるなら... イスマエル・べナセル
昨年1月ローマからやって来たレフティ。身長は170cmと小柄なものの、パスセンス、推進力、キープ力を高い水準で備えたゲームメイカーだ。中盤の深い位置で攻撃を組み立てたかと思えば、機を見たゴール前への飛び出しでフィニッシュにも関与する。メッザーラが主戦場だが、レジスタとしてのプレーも可能。ちなみに筆者的には1番好きなタイプの選手だ。
ベン・ラシヌ・コネ
・ポジション ミッドフィールダー(攻撃的MF、センターハーフ) / フォワード(ウイング)
・セリエAで例えるなら... フェデリコ・ベルナルデスキ
今季プリマヴェーラで背番号10を背負ったコートジボワール人アタッカー。彼もレフティである。高いテクニックを持ち積極果敢にドリブルで仕掛けていくプレーもさることながら、豊富な運動量も併せ持っており守備時はがむしゃらにボールホルダーに喰らいつく。質と量を兼備し攻守に渡って貢献できる現代的なプレイヤーだ。中盤から前は基本的にどこでもこなすため、どのポジションで花が開くか今から楽しみである。
ウィルフリード・シンゴ
・ポジション ディフェンダー(センターバック、右サイドバック)
・セリエAで例えるなら... カリドゥ・クリバリ
フィジカルとスピード、闘争心を備えたコートジボワール人ディフェンダー。一対一よりはインターセプトに秀でたタイプで、縦パスへの積極的なチャレンジが光る。今年の1月に加入したため、実質ペトラーキがトーロのDSとして連れて来た最後の選手だ。トップチームでも背番号を貰い受けている通りマッツァーリからの評価も非常に高い。
ニコラ・ラウティ
屈強なフィジカルと抜群の決定力を備えたプリマヴェーラの主砲。虎視眈々と狡猾にチャンスを窺うそのプレースタイルはトップチームのカピターノそっくりである。今季の公式戦では39試合に出場し21ゴールと見事な数字を叩き出した。U-19世代でのイタリア代表にも召集されており、イタリア国内でも期待の若手として認知されている存在だ。
ヴィンチェンツォ・ミリコ
・セリエAで例えるなら... ロレンツォ・インシーニェ
負傷の影響で10試合以上を欠場したにもかかわらず、公式戦ではシーズン29得点という驚異的なパフォーマンスを見せた神童。無駄のないシンプルな仕掛けから正確なフィニッシュでゴールを陥れるそのプレーぶりはマッツァーリの目にも留まり、めでたくトップデビューも果たしている。ラウティ同様U-19イタリア代表でも常連。
さて、今日は5人に絞って紹介したが、あいつも書こうかな...と思った選手も2、3人ほどいる。要するにトーロプリマヴェーラは才能の宝庫なのだ!え?トップチームに最近は主力輩出してない?すみません聞こえません。
彼らの中にもプリマヴェーラを卒業し、来季からローン修行に出向く選手もいるだろう。彼らがいずれトーロのトップチームで開花し、セリエAの舞台で輝く日はきっと来るはずだ。その時は、この記事を思い出して「あー先見の明があるすごい人だったなあ」と筆者のことを思い出して欲しい。わかったな?おなしゃす。
おしまい
【ゆるふわ座談会】セリエA通信簿 2018-2019に参加してきた
先日、ご存知ASローマ速報の如月さんよりお誘いを頂き、日本人ミラニスタの聖地、BAR MILANISTAで行われたゆるふわ座談会に参加してきた。
筆者以外に5名のセリエAティフォージが集い行われた座談会だったが、なんというかものすごく濃い時間を過ごしたという感覚だ。各方面に精通したいわばスペシャリスト揃いの中で、筆者は終始小さくなりながらその場に座っていた。まあ元から身長は低いのだが。やかましいわ。
などという筆者の感想はさておき、座談会の様子を是非セリエAティフォーゾのあなたにも見て頂きたい。
【ゆるふわ座談会】セリエA通信簿 2018-2019 第1節 : AS ローマ速報
座談会は3時間弱にも及んだため、今回の第1節に始まり第3節が最終節となる。この膨大な量の会話を文字起こしして下さった如月さんにはこの場を借りて改めてお礼をさせて頂きたいと思う。ありがとうございました。
第2節も乞うご期待!
【インタビュー】トーロにはファンタジーアが必要だ。そう、リャイッチのようなね!
まずは最悪なお知らせからこの回を始めざるを得ないことを非常に残念に思う。
先日、九州南部が梅雨入りしたと気象台が発表したのである。ああ最悪だ。てか早くね?去年の今頃はまだ雨なんて降っていなかったような記憶があるのだが、調べてみると昨年より5日ほど早い梅雨入りだそうだ。あれそんなに早くもなかった。
筆者が住んでいるのは九州の中ほどにある田舎だが、先週末くらいから天気は悪く今日も無数の水滴たちがコンクリートの地面を激しく打つ音が外から聞こえている。この音自体嫌いではないのだが、梅雨の何が嫌っていうと湿気。電車、バスなどなど公共交通機関の車内なんかもう地獄である。英語ではHumidity。イタリア語ではUmidità。これを機にこの忌々しい単語をみんなも覚えよう!という訳の分からん前置きから始めてしまい、これ以降をどう書こうかと思い悩んでいるが、あながちこの前置きとリンクしないでもない話題を今日は書いていこうと思う。
筆者の心は昨年夏からずっと梅雨が続いている。そう、愛しき我らの10番アデム・リャイッチだ。彼がトルコに行ってしまってから心の雨はしとしと降り続いている。トーロのティフォージならきっと誰もがそうだろう。さらについ先日ベシクタシュが彼の買取オプションを行使したことを公式発表したためもう心の雨は災害レベルに。みなさんも自治体の指示に従って避難して下さい。
写真はかつてトリノのプリマヴェーラで指揮を執り、トップチームでもベンチに座ったジャンカルロ・カモレーゼ。だれ?まあとりあえず、Torinogranata.itが彼にインタビューを試みたようなので見ていこう。
ー今季のトーロについてはどういう印象ですか?
素晴らしいシーズンだったと思う。数字がそれを証明しているよ。トーロは今季、勝点3制度導入後最多となるポイントを獲得した。その上最後の日までヨーロッパを争ったんだ。いくつかの取りこぼしはあったし、モノにすべきだったチャンスは確かにある。しかし、全体的に見ると賞賛に値するシーズンだった。
ーそれはなぜでしょう?
今この時点でたくさんのチームが監督を替えている。私の意見では、ほぼ全ての監督が今季それぞれ設定した目標を達成したと思うのだがね。しかし一方でトーロはワルテル・マッツァーリが築いた確かなベースを元に来季もスタートすることができる。そしてさらなる飛躍へのポテンシャルもあるんだ。これは評価すべき事実だろう。
ー未来への基盤はベンチだけでなく、ピッチ上にもありますね。今チームに必要なのは改革ではなく、地に足を付けて進んでいくことです。
「トップレベルのチームに成長するために欠けているピースは、わずかにあと2つか3つだ」とコメントしたカイロ会長の意見に賛同する。この枠組みを強化するには、次のメルカートでの主力の残留と少しの接ぎ木が必要だと思うよ。
ーしかし、欠けている残りのピースとはどんなものなのでしょうか?
フリーキックから得点できる選手であったり、予測不可能なプレーをする選手。創造性のあるプレイヤーだね。今季マッツァーリはまさにそのタイプの選手を失っている。トーロがさらに飛躍するためには、まさにリャイッチのような選手が必要なんだよ。
ーなるほど。では今季トーロで印象に残った選手を教えて下さい。
守備陣は軒並み素晴らしいパフォーマンスだった。豊富な経験で若手を助けたという意味では、モレッティとデ・シルヴェストリが決定的な働きをしたと思う。そして彼らを後ろから指揮したシリグ。彼は間違いなくイタリアで最強のゴールキーパーだよ。アッズーリが何かの決勝を戦う時、マンチーニは彼をゴールマウスに立たせるべきだ。
ー逆にガッカリだった選手は?
私にとって、カンピオナートを見事に戦い抜いたトーロにガッカリだった選手などいない。ザザは他の選手に比べるとあまり貢献はしていないかもしれないが、彼への期待度があまりにも大きかったことを我々は忘れてはならないよ。チームにフィットすれば、来季は取り返すことができるはずさ。
という感じだ。カモレーゼ=筆者か?というくらいに意見が同じである。彼の言う通り、トーロに欠けているピースはまさにアデムだ。あのようなタイプが1人いるのといないのとでは、正直チームとしての怖さが格段に違ってくる。
しかし彼はもうトーロの選手ではない。トーロは彼に続くファンタジーアを求め、ロベルト・ペレイラ(無理じゃ)やジャンルーカ・カプラーリ(高え)などの選手を物色している最中だ。仮にトーロが創造性を補う補強に成功した場合、カモレーゼの言うようにマッツァーリのチームはさらなる進化を遂げるはずだ。新DSと目されるマッシモ・バーヴァにはそう言った意味でも期待をしたい。
筆者の心の雨が止むことを祈って。
おしまい
【さよならペトラーキ】トーロの新DSは、だあれ?
さて昨日チャンピオンズリーグの決勝が行われた。今季はヨーロッパリーグと同じくイングランド勢同士の対決。今季トーロに手一杯だった筆者は今季チャンピオンズリーグをそこまで見ておらず、「アヤックスすげえ」「白黒おい!」といった陳腐な印象しか持っていなかったが、やはりファイナルはすごい。そもそもスタジアムがすごい。
アトレティコ・マドリーがホームとして使用しているエスタディオ・メトロポリターノでの開催だったわけだが、超満員の中Imagine Dragonsのパフォーマンスでウォーミングアップを完了させた会場はファイナルならではの雰囲気を放っていた。画面越しにでもあの雰囲気なのだから、その場にいる選手やスタッフ、観客たちの感情は表現しきれないものがあったことだろう。試合内容には敢えて触れないが、CLアンセムで火蓋が切って落とされたファイナルの空気に筆者も鳥肌が立ったことは言うまでもない。起きててよかった。
試合前にも黙祷が行われたが、ファイナルを前にサッカー界を揺るがす悲劇が起きてしまった。元スペイン代表FWのホセ・アントニオ・レジェスが死去したのである。享年35。交通事故でのあまりにも早すぎる訃報だった。
彼を知っているから、知らないからという話ではもちろんないが、名前をよく知る選手がこんなにも早くこの世を去ってしまうというのは、とてもやり切れない思いだ。レジェスもかつてプレーしたマドリーの地で、彼に捧げる試合を繰り広げたリヴァプールとトッテナムの両軍には拍手を送りたい。天国のレジェスもきっと見ていたはずだ。どうか安らかに。
さて、今日はトーロの新DSについて書いていきたい。DSとは所属選手との契約延長の話し合いをしたり、獲得候補を吟味し交渉に向かったりするお仕事。毎年カルチョメルカートでは各クラブのDSたちが暗躍しビッグディールを成立させては賞賛されたり、時にはエムバイェ...ゴホン、”失敗”として記憶されるような選手たちを買って批判の的になったりしている。トーロの現DSはジャンルーカ・ペトラーキだ。
「DS?SDじゃね?」
実際はどちらも正解だ。SD(Sports Director)は英語圏、DS(Direttore Sportivo)はイタリアでの呼び方である。筆者はこれまでSDと呼んでいたがちょっとイキりたいのでこれを機にイタリア語での呼び方に変えさせてもらおうと思う。
ここ最近報じられている通り、現DSのペトラーキはASローマに仕事場を移すことが時間の問題となっている。というか既にあちらでの仕事も始めているらしい。ここ10年トーロのDSとして辣腕を振るってきたペトラーキだが、トーロ会長ウルバーノ・カイロとの関係は既に修復不可能なところまで来ており、さながら「ちょっと距離を置こう」という片方からの謎の提案に合意し結局はそのまま別れてしまうカップルのような状態が続いている。
ペトラーキのトーロでの見事な仕事ぶりは下記のエントリーにまとめてあるので、こちらも是非参照されたい。
2年以内に欧州へ。トーロに今必要なのは「結果」 - トリノFC情報局
ヨーロッパの舞台へ向けクラブ一丸となるべきシーズン中にもかかわらずローマとの接触が報じられたため、ティフォージの大半から”裏切り者”の烙印を押されてしまったペトラーキだが、10年前にはセリエBにいたトーロが近年ヨーロッパの舞台を争えるほどの成長を遂げたのは彼の功績によるところがかなり大きい。後釜となる人物にはその座に相応しいノウハウが求められる。
そんな後任候補の筆頭となっているのがこの人物。名をマッシモ・バーヴァという。彼は既にクラブの人間であり、このままペトラーキの後釜として据えられた場合内部昇格という形の人事となる。しかし彼の現職はいったい何なのか?DSとしての能力は如何なものだろうか?
バーヴァの現在の肩書きはResponsabile del settore giovanile。プリマヴェーラを頂点とするユースセクター全体を統括する責任者である。略してRSGとでも呼ぶか。RSGはトップチームで言うなればそれこそDSがそれに当たる。選手をリストアップし交渉に向かい契約を結ぶ。そういったプロセスに関してバーヴァは既に経験者というわけだ。
2012年に現職に就任したバーヴァだが、RSG(合ってんのかな?)としての実績も素晴らしいものがある。14/15シーズンにプリマヴェーラは23年ぶりとなるスクデットを獲得した上、翌シーズンのスーペル・コッパも制覇。17/18シーズンにはコッパ・イタリアでも優勝を果たした。バーヴァはその見事な手腕でプリマヴェーラを勝てる集団へと変えた人物なのだ。トップチームにも何人もの卒業生を送り出している。ちなみに、指揮官フェデリコ・コッピテッリに率いられたプリマヴェーラは今季もスクデット争いを演じているところだ。
いや、当然トップとプリマヴェーラは土俵が違う。動くカネも大きく違う。しかし、マッシモ・バーヴァがジャンルーカ・ペトラーキの後釜を務めるのに充分な能力を持ち合わせた人物であることは信じてもいいはずだ。今夏は彼が主導となって突入する初めてのメルカート。注目だ。カプラーリ連れて来い!
おしまい