トリノFC情報局

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2017/2018 シーズン トリノFC 今季の通信簿

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トリノの2017/2018シーズンは、シニシャ・ミハイロヴィッチの下でEL出場権を獲得すべくスタート。ダヴィデ・ザッパコスタやマルコ・ベナッシが移籍したものの、サルヴァトーレ・シリグやニコラ・エンクルをはじめ実力者たちを次々と補強し、SDのジャンルーカ・ペトラーキ曰く「近年のトリノでは最強のスカッド」を擁しEL出場も現実的な目標として語られていた。

 

開幕から5試合負けなしとチームは順調なスタートを切ったかに見えたが、第6節のトリノデルビーでの大敗をキッカケとしチームは調子を落とす。ミハイロヴィッチセリエA中位陣屈指のスカッドを活かしきれず、チームは格下相手にポイントを落とし続けた。10月の時点で既にミハイロヴィッチ解任の噂は出始めていたが、フロントが監督交代に踏み切ったのは1月のこと。まさに時既に遅し。ワルテル・マッツァーリが後任を託された時には既にEL出場争いから脱落していた。結果として、今季目標としていたEL出場は叶わず。

 

しかし残ったのはネガティブな印象だけではない。マッツァーリによる3バック戦術の浸透、シモーネ・エデラやケヴィン・ボニファーツィの台頭など来季の戦いに向け期待を持てる要素も数多くある。今回は今季の総括として、メンバー一人一人の評価を行なっていく。

 

 

指揮官 ワルテル・マッツァーリ 6.5

 

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解任されたミハイロヴィッチの後任として1月からトリノ指揮官に就任。当初は前任者の4-3-3を踏襲しつつ自分の色を出していくスタイルを取っていたが、トリノデルビーを含むカンピオナートで4連敗を喫したことで第30節から代名詞である3バックにシフトチェンジ。マッツァーリの施しを受けたチームは調子を取り戻し、インテルを破るなど見事な戦いぶりを見せた。冬のメルカートではリクエストした補強が一つも実現しなかった中、チーム状態を上向かせることに成功したマッツァーリの仕事ぶりは見事なものだった。

 

GK 1. サルヴァドール・イチャーソ -

 

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ローン移籍していた期間も含め、トリノで3年を過ごしたイチャーソの冒険も今季で終わりを迎えるだろう。実力者シリグ、新進気鋭の若手ミリンコヴィッチ=サヴィッチに次ぐ3番手の序列を変えることはできなかった。今季の公式戦出場はゼロ。契約はあと1年残っているが、売却の線が濃厚だ。

 

DF 3. クリスティアン・モリナーロ 6.0

 

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伸び悩むアントニオ・バレーカを尻目に、アンサルディに次ぐセカンドチョイスの座をがっちりとキープ。アンサルディがヘルニアの手術により約1ヶ月ほど離脱していた際も、左サイドバックの役割を一手に担った。年齢による衰えはやや感じさせるものの、気持ちの入ったプレーを見せてくれた。彼との契約は今季限りだが今のところ契約延長の動きはなく、退団が濃厚。これまでの彼の貢献に感謝しつつ、今後の健闘を祈りたい。

 

DF 4. ケヴィン・ボニファーツィ 6.5

 

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後半戦の活躍ぶりを見れば、彼がマッツァーリ就任の恩恵を受けたことは明らかだ。4バックを採用していたミハイロヴィッチ時代はセンターバックの序列でも最下位に甘んじていたが、3バックへの変更が彼の才能を引き出した。元々良かったビルドアップへの貢献だけでなく、強靭なフィジカルを活かした対人戦の強さも存分に発揮。未来のディフェンスリーダーに相応しいことを自らのプレーで証明した。

 

MF 5. ミルコ・ヴァルディフィオーリ 5.0

 

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ボニファーツィとは違い、彼にとってマッツァーリの就任は悲劇だったと言える。マッツァーリ就任後、元々少なかった彼の出場機会はさらに減少、ほぼ戦力外という状況だ。長短のパスでリズムを作れるのが長所だったはずが、出場してもその長所すらままならないパフォーマンス。運動量も相変わらず少ない。残された契約期間は1年だが、売却は確実だ。

 

MF 6. アフリイェ・アックア 5.5

 

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マッツァーリの就任後も控えという立場は変わっていない。身体能力の高さという意味では貢献できるが、相変わらず不用意なファウル、雑なパスが目立つ。いわばトーマス・リンコンの下位互換といったところだ。しかしその雑さを克服できれば再びレギュラーに返り咲くことも不可能ではない。来季も残留するかは未確定だが、昨年のようなハイパフォーマンスをまた見たいところだ。

 

MF 8. ダニエレ・バゼッリ 6.0

 

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今季採用した4-2-3-1、4-3-3、3-5-2、3-4-2-1全ての布陣においてレギュラーの座をキープ。その鋭い戦術眼で前任者ミハイロヴィッチだけでなくマッツァーリからの信頼も勝ち取っている。目立つプレーは少ないが、ボール保持時は非常に注意深くプレーし、守備面でも幾度となく効果的なポジショニングからのインターセプトを披露。バランサーとして新たな境地を見出している。攻守両面において成長したシーズンだったと言えるだろう。

 

FW 9. アンドレア・ベロッティ 5.0

 

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彼にとって良くないシーズンだったということは他でもない彼自身がよく知っているはずだ。EL出場を目指すチームのカピターノとしての重圧、昨年の活躍の再現を期待されるプレッシャー、そしてタイミングの悪すぎた負傷離脱。目も当てられない酷いパフォーマンスを披露した試合も数多くあったが、情状酌量の余地はあるだろう。マッツァーリの下、ゆっくりとでいいから花を咲かせて欲しい。

 

FW 10. アデム・リャイッチ 7.0

 

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この才能溢れるNo.10は、結局マッツァーリの下でも欠かせない大黒柱となった。ミハイロヴィッチのチームで不動の存在だったリャイッチだが、個より組織を重視するマッツァーリ就任後は6試合も出番を与えられず。もはや退団確実というところまできていたが、自らのパフォーマンスでマッツァーリを納得させることに成功している。マッツァーリも「期待しているからこその処置だ」と語っていた通り、再びピッチに立ってからのプレーは凄まじい。攻撃面はもちろん、あれほど守備に奔走するリャイッチを見る日が来るとは思っていなかった。リャイッチはマッツァーリの下、攻守において貢献できる現代的なアタッカーへと進化を遂げたと言えるだろう。

 

FW 11. ★エムバイェ・ニアン 4.0

 

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間違いなく今季のワーストプレーヤー。正直、4.0という点数すら高く感じる。約€20mをミランに寄付することになってしまった。彼に払い続ける給料も無駄なことこの上ない。なぜボールを失う仕事しかできない選手に給料を払わなければならないのか。能力がないのかやる気がないのかもわからない。彼のパフォーマンスは酷いというレベルすら超越している。W杯へ向けたセネガル代表メンバーに選出されたことがなぜなのか誰か説明して欲しい。

 

DF 13. ニコラス・ブルディッソ 6.0

 

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年齢的な衰えがあるものの、経験に裏打ちされたプレーで最終ラインを統率。ミスで失点を招くシーンも見受けられたが、今季後半戦は3バックの中央で概ね及第点以上のパフォーマンスを披露した。ビルドアップ時のパスも非常に精度が高く、攻撃面でも貢献してくれた。契約は今季限りとなっているが、どうやら契約延長は無さそう。引退も囁かれており、トリノとしては後継者探しを強いられることになりそうだ。1年という短い期間だったが、勝者のメンタリティを持つ彼の加入はトリノに大きなものを残してくれた。ありがとう、ニコラス。

 

FW 14. イアゴ・ファルケ 7.0

 

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不調に陥ったエース・ベロッティの代わりに得点源として攻撃陣を牽引。チームトップとなる12ゴールを記録した。高いスキルを持つが球離れも非常に良く、チームプレーを優先できるプレースタイルも評価されて然るべきだ。一時干されていたリャイッチとは違いシーズンを通して主力としてプレー。守備もサボることなく献身的だった。アタランタなどが獲得に動いていると言われているが、流出は絶対に阻止しなければならない。

 

DF 15. クリスティアン・アンサルディ 6.5

 

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ヘルニアの手術で離脱していた約1ヶ月間以外は基本的にフル稼働。両サイド・ウイングバックでのプレーのほか、センターハーフでの起用にも柔軟に応えた。確かな足元のテクニックと突破力で幾度となくチャンスを演出し、守備面での不安を補って余りある攻撃性能を証明している。悩める後輩バレーカにサイドプレーのいろはを叩き込んでもらいたいところだ。

 

FW 20. シモーネ・エデラ 6.5

 

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後半戦最大のサプライズと言っても過言ではない。トリノプリマヴェーラ出身である彼がボールを持った時の期待感は、€20mの男ニアンのそれを遥かに上回っている。ドリブル、パスのクオリティは先輩であるファルケ、リャイッチらに引けを取らないものを既に持っており、課題があるとすればフィニッシュの精度くらいか。若さ故の削りグセも少し見受けられるため、精神的な成長を遂げればさらに化けそうだ。

 

MF 21. アレハンドロ・ベレンゲル 6.0

 

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彼もまた3バックへのシフトチェンジで恩恵を受けた1人だ。移籍の噂が絶えなかったベレンゲルだが、本職のセカンドトップ、左ウイングだけでなく左のウイングバックという役割でも輝けることをアピールしている。このポジションは基本的にアンサルディが務めることが多いが、彼も自身が貴重なオプションであることを証明した。右もできるようになれば夏のメルカートウイングバック補強の必要がなくなるため、ぜひチャレンジして欲しいところではある。

 

MF 22. ジョエル・オビ 6.5

 

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彼がもしスペ体質でなければ、レギュラーの座を不動のものにできていただろう。守備時はファウルぎりぎりの激しいチェックで相手のチャンスを摘み、攻撃時はポジショニングセンスの良さでチャンスに絡み続けた。カンピオナートではMF陣最多の5得点を記録したことがこれを物語っている。昨季は序列で上だったアックアを今季は追い越しており、あわよくばリンコンさえもベンチに追いやる勢いだった。負傷癖が本当に悔やまれる。

 

DF 23. アントニオ・バレーカ 5.0

 

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将来を嘱望されるサイドバックの今季は不本意なものとなった。アンサルディの加入や自身の負傷など不利な要素が重なりはしたものの、出場した試合ではいずれもインパクトを残せず。最終節ではスタメンに抜擢されるも胃腸の調子が悪くプレー不可という不運にも見舞われた。プレー面ではミスが多いというより、手数が少なく相手にバレバレなシーンが多かった印象だ。左ウイングバックの序列では来季3番手スタートが予想されるため、彼にとって今は正念場と言えそう。

 

DF 24. エミリアーノ・モレッティ 6.5

 

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4バックではエンクル、ブルディッソに次ぐ3番手だが、3バックへの変更で左センターバックとしてレギュラーに返り咲いた。年齢を重ねたが堅実なビルドアップと鋭い読みは衰え知らずである。今季彼の正確かつクリーンなタックルで封じられたアタッカーは数知れず。希少価値の高いレフティセンターバックという特性を存分に活かし不動の地位を築いている。彼との契約も今季限りだがクラブは延長の意思を示しており、まだ彼のプレーを楽しむことができそうだ。

 

DF 29. ロレンツォ ・デ・シルヴェストリ 6.5

 

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この元アッズーリは右のサイドバックからウイングバックへとポジションを変えたことで、ついにその真価を発揮し始めた。持ち味の身体能力の高さとエリアへの積極的な侵入は今のトリノにとって大きな武器となっている。簡単に足を出す癖があった守備面でも、しっかりと身体を当てに行くなど大きな改善が見られた。空中戦も相変わらず非常に強く、セットプレーでは得点源へと変貌。今では彼に対する懐疑的な目もほとんど無くなった。

 

GK 32. ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ 6.0

 

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シリグがフル稼働したためカンピオナートでの出場は最終節の1試合のみ。しかしコッパ・イタリアの3試合ではいずれも印象に残るパフォーマンスで実力を証明した。自らのポテンシャルの高さを知らしめることに成功している。来季はよりプレータイムの得られるチームへのローン修行が囁かれており、さらなる成長が見込めそうだ。

 

DF 33. ☆ニコラ・エンクル 7.5

 

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今季のベストプレーヤーにはエンクルを推薦したい。元々このカメルーン代表DFへの期待度は高かったが、それをさらに上回るプレーぶりを披露。文句のつけようのないパフォーマンスで瞬く間に主力となった。安定感極まりない守備はもちろん、足元のテクニックはセンターバックとしては飛び抜けて高く、中盤も問題なくこなせそうなほどである。そのハイパフォーマンスでイタリア国内外からの関心が伝えられたが、本人は残留を宣言。来季以降もトリノの戦士として貢献してくれそうだ。

 

GK 39. サルヴァトーレ・シリグ 7.0

 

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まさに“守護神"。目を疑うようなミラクルセーブを幾度となく披露した。彼をフリーで連れて来たペトラーキには改めて感謝しなければならない。マンチーニ新監督のもとアッズーリ復帰も勝ち取ることに成功。足元の技術はやや不安があるが、それを補って余りあるセービング能力をここトリノでもいかんなく発揮してくれた。

 

MF 88. トーマス・リンコン 6.0

 

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彼の獲得に費やした€9mという金額は、高いものだったかもしれない。だが、決して間違った買い物でもなかった。彼の経験値はトリノのミッドフィールドには非常に貴重なものをもたらしている。後半戦に入りやや調子を落としたが、変わらず主力として中盤に君臨。まだ本領発揮とはいっていないが、来季は今季前半戦のコンディションを再現し走り回って欲しい。

 

DF 97. リャンコ・ヴォイノヴィッチ 6.0

 

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オビと同じく、彼も負傷がなければ...という印象だ。「20歳という年齢、海外初挑戦でさらにセリエAという舞台でレギュラー争いに名乗りを上げた」。これだけで彼の持つ才能を語るには充分だろう。若いながら完成されたフィジカルを持ち、そこから繰り出される強烈なハードチャージは同胞の先輩チアゴ・シウヴァを思い起こさせる。トリノセンターバック陣の例に漏れず、足元のテクニックも非常に高い。来季は負傷せず元気にプレーして欲しいところだ。